そのクリックは「言論」か否か。
今米国バージニア州の裁判所で、Facebookが「いいね!」には憲法に基づく言論の自由が認められるべきだと主張して、争っています。
実はすでに下級裁判所で「いいね!」に言論の自由を認めないとする裁定が下っていて、Facebookはそれを覆そうとしています。その裁定の背景には、こんな事件がありました。ハンプトン刑務所の元看守ダニー・カーター氏は、彼の上司にあたる保安官が選挙で再選を目指しているとき、上司の対抗候補のFacebookページで「いいね!」をクリックしました。それにより、いいね!したFacebookページの画像とリンクがカーター氏のFacebookにポストされました。が、結局選挙では彼の上司が選出され、保安官は就任後にカーター氏を解雇したのです。カーター氏はそれを不当として、自分の「いいね!」は自由な言論として守られるべき、と訴えたわけです。
Facebookの「いいね!」に言論の自由を適用すべきという立場には、すでに反対意見があります。それは2012年4月、地方判事のレイモンド・ジャクソン氏による裁定で、「いいね!」は憲法で保護を保証された「実体のある声明(substantive statement)」には当たらないとするものです。
でも今回、巡回裁判所判事のステファニー・サッカー氏は次のように述べました。「カーター氏が『いいね!』をクリックしたのは、彼が何かを『いいね』と思ったからです。それは庭に『I like Ike』(訳注:かつてアイゼンハワー大統領支持を表明する際に使われた標語)と書かれた看板を置くのとどう違うんでしょうか?」ちなみに、庭に看板を置く行為については、1994年に最高裁判所が言論の自由を認めています。
当面議論は続きそうですし、今回の裁判で決着が付くとも限りません。さしあたっては、「いいね!」するときは社会的な立場上問題ないか、ちょっと気をつけた方がいいのかもしれません。
JAMIE CONDLIFFE(原文/miho)