blinkと言えばその昔ネット創生期にマイクロソフトvsネットスケープのブラウザ戦争でマイクロソフトが頑として対応しなかった点滅チカチカ要素...穏やかじゃないですね...
グーグルが今Chromeで使ってるレンダリングエンジンWebKitの使用をやめ、モバイルもPCも独自のBlinkに乗り換えると発表しました。
...と言われてもチンプンカンプンですが、これが重要な転機でして、レンダリングエンジンはウェブサイトのHTMLとかCSSとかJavascriptを咀嚼してレイアウトを決めるプログラムですから、その差が広がれば同じサイトでもブラウザごとに見え方が違ってきてしまうんざますよ。
なぜフォーク?
WebKitは現在ChromeやSafari等で使っているレンダリングエンジンなわけですが、切り換える理由についてグーグルは、WebKitだとブラウザの開発が遅れるからだ...と話しています。Chromeは他のブラウザとウェブページ表示の手法が異なり、タブごとにプロセスが分かれているマルチプロセスアーキテクチャだから、WebKitとは相性合わない部分も大きいんでしょうね。
英紙ガーディアンによると、このマルチプロセスをWebKitにいかに取り込むかをめぐってアップルとグーグルの間には壮絶なバトルがあったみたいです。
マルチプロセスをWebKitに取り込むことをグーグルが長年拒否してきたため、アップルは独自のマルチプロセスアーキテクチャを開発してWebKit2を今年出したわけですが、それがグーグルにとっては寝耳に水だったんですね。
Hacker NewsのスレッドでアップルSafari&WebKit開発部門トップのMaciej Stachowiak氏とグーグルChromeセキュリティ部門のJustin Schuh氏の鞘当てが読めるんですが、WebKit2を書く前にグーグル上層部に内々で協力を打診したのに拒否された、何を今更驚いてるんだとアップル側が言えば、グーグルはグーグルで、いつでもマルチプロセスはWebKitに取り込めるようにしてきた、拒んだのはアップルではないかと言う。どっちの言ってることが本当なものやら...お互いフォーク避けたい気持ちは山々でも、引き返せないところまで行ってしまったようですね...。
移行後の影響
ともあれ、乗り換え後はChromeもベター&高速になることが予想されます。グーグルはこう説明してますよ。
これは容易な決断ではなかった。新しいレンダリングエンジンを採用すればウェブに大きな影響が出ることも承知している。が、レンダリングエンジンが複数存在することで(ブラウザが複数存在することと同様に)イノベーションが刺激され、長い目で見ればオープンなウェブのエコシステム全体の環境改善に繋がると我々は確信している。
残りのネットにどう影響が出るのかは、まだなんとも言えません。モバイル版ブラウザはSafariのシェアが大きいので、モバイルウェブに関してはSafariのWebKitが独占的ですし、BlinkはWebKitをフォークしたものであって土台から別途開発したものではないので、デベロッパーのみなさんも移行に合わせて対応する必要はそんなになさそうです(とりあえず最初のうちは)。
Chrome以外では、今年2月からWebKit使い始めたOperaもグーグルの動きに追随し「ブラウザに新エンジンを採用する」意向を明らかにしています。
マイクロソフト(IEでTrident採用)やMozilla(Gecko採用)にとってはグッドニュースかもしれませんね。モバイル版サイトはWebKitの天下なので、ホラ独占は良くないんだよ、もっと非排他的な陣営においでおいでと開発者を手招きする説得材料に使えそうです。アップル(WebKit最大のユーザー)的には、まあ、そんなに気に病んでる節はありません。
いずれにせよ日々のネット利用に影響が出るのはもっと先の話ですね。Blinkはまだ開発途中で、Chromeの前にまずChromiumから採用となります。
[The Guardian, Google/日本語訳 via Verge]
Jamie Condliffe(原文/satomi)