ネット公募で集めた性描写をテキトーに繋ぎ合わせただけの駄本「The Diamond Club」がiTunesで発売早々、有料電子書籍部門ランキングで全米ベストセラー「Fifty Shades of Grey」3部作の次の第4位まで順位を上げ、世も末と騒がれていますよ。
「The Diamond Club」の著者名にはアダルト系ポッドキャスト「The NSFW」ホストのブライアン・ブラッシュウッド(Brian Brushwood)さんとジャスティン・ヤング(Justin Young)さんの名前が出てるんですが、書いたのは主人公のキャラ設定からセックス描写まで全部ファン視聴者のみなさんなのです。
駄本がどこまでいけるかの実験
こんな駄本を敢えて売り出した目的とは一体? ふたりはこう説明していますよ。
BB:ブライアン・ブラッシュウッドです。
JY:ジャスティン・ヤングです。
BB:ネットでコメディ番組司会者をやってます。
JY:だね。
BB&JY:ぶわっはははー!
BB:iTunesストアのトップ10ランキング眺めてたら、あることに気づいたんですよ...
JY:そう、エロ3部作「Fifty Shades of Grey」が疫病みたいに売れまくってる影響で、今は全部エロなんだ。表紙が「Fifty Shades of Grey」そっくりなだけで中身はどうしようもない駄作。なのに見るからにソレ系だってだけで売~れる売れる...
BB:で、ふたりである実験をやってみることにしたんです。
JY:もうインターネットに書かせたらどうなの?ってことね。
BB:俺らは1行も書かない。
JY:全部100%クラウドソース。こっちは章と章を繋いで、ちょっと性描写加えるだけ(手をバシバシ=性交)。
BB:創作上のルールは3つ。
1. 表紙は「Fifty Shades of Grey」を真似る
2. セックス描写をとにかく沢山盛り込む
3. 登場人物はトレンディーにする。例えばカップケーキのアーティスト...
BB:ビデオブロガー...
JY:改造自転車のサイクリストもいるんだっけな...
BB:...(手をバシバシ)
JY:「The Diamond Club」は本日発売。99セント。
BB:今日買ってね。トップ10入りしたら、他の人もそれ見て買うだろ。ずっとトップ10に残ったら、他の小説も大差ないってことだからさ。
JY&BB:あはははは!
...と愉快に話してるふたりですが、実験を思い立った背景には、まともな本がまったく反映されない今のランキングシステムに対する皮肉も込められています。ほんとにアマゾンもアップルもバーンズ&ノーブルもエロ一色で、とてもお子様に見せられたものじゃないですもんね...。上の動画では手をバシバシさせて変態一歩手前のヤングさんですが、こう真面目に話していますよ。
そもそものきっかけはブライアンの書いたマジックの本「Scam School Book 2」さ。あいつ、そっちの本の売上げ伸ばそうとがんばってるうちに、iTunesトップ10は全部エロ小説だって気づいたのさ。
それがほんとうに酷くて、ジャネット・イヴァノビッチ(Janet Evanovich)みたいな大御所の作家ですらiBooksストア売上げTop 5には食い込めない、それもこれも「Shades of Grey」ブームにあやかって一儲けするエロ小説のせいでね。
それ見て「あんなもん俺だって書ける!」って思ったらしいのね。
実験結果
で、こちらが発売初週の結果。書いた二人も傑作とか全く思ってない会心(?)作「The Diamond Club」は現在もランキング上位快走中。
ここでは6位ですが、翻訳段階では4位に戻ってて、当分落ちる気配もありません。評価も2000件以上ついてて平均で星4.5個。レビューは1000件超えてますが、偽物だって批判してるのは1件ぐらいで、あとはみなさん好意的です。
そんなわけで、これからベストセラー書きたい人は今アメリカで一番売れてる「Fifty Shades of Grey」みたいな装丁と筋でな~んか書けば中身なくても結構いいところまで行けるみたいですよ? さ、今日からみなさんも...。
[Vook via Tech Dirt via Geekosystem]
Casey Chan(原文/satomi)