バラバラだったAndroidのあり方が少し、変わっていきそうです。
Androidといえば、オープンであることが最大の長所でもあり、短所でもあります。どんなメーカーでも使うことができるので、リリースされてから一気にシェアを伸ばしてきましたし、ハードウェアメーカーや携帯キャリアは、Androidをベースにした独自スキンの提供が可能でした。ただ、そうしたカスタマイズはユーザーにとって有用なものばかりではありませんでした。またカスタマイズによって、Androidのバージョンがあがっても各端末でのアップデートはすぐにできない問題があります。同じAndroidユーザーであっても、「現行」のOSのバージョンが機種によってバラバラで、使える機能にも差が出てしまっています。
でも、そうした状況に変化を起こす動きがありました。
Bloombergによれば、グーグルはここ数ヵ月Androidを使うパートナー事業者への制限を強めています。グーグルはAndroidのライセンスを与える事業者に対し「非細分化条項」にサインさせており、それによってグーグルがプラットフォームの変更に決定権を持つことができるようにしています。パートナー側はこの変化に納得していませんが、これはユーザーにとっては有意義なことだと思われます。というのは、グーグルはこれによって「Android」プラットフォームを一貫性のあるものにして、ユーザーにとってわかりやすくすることができるからです。
スキンが無駄だということではありません。たとえばHTC Senseは、素のAndroidより評価されています。ただ問題は、メーカーがAndroidをいじればいじるほど、ユーザーはファームウェアアップデートを待つ必要があり、ひいては最新のアプリや機能を使えるまでのタイムラグも大きくなってしまうことです。しかも端末によっては、結局アップデートが行われないままになってしまう場合すらあります。
もっと言えば、端末メーカーが新製品をリリースする際は世代遅れのAndroidが使われ続けています。メーカー自体の動きが遅いせいか、キャリアからの要望か、事情はあると思われますが、せっかく新しい端末を買ったのに中身が世代遅れでは、うれしさ半減ではないでしょうか。たとえば昨年8月にDell Aeroを買った人は一応Android端末を買ったと言えますが、その端末で動いていたのは三世代前のAndroidでした。
そんなわけで、もしグーグルがパートナーにきっちり一貫性のあるユーザーエクスペリエンスを保証させたいなら、それでいいはずです。彼らの作ったプラットフォームですから、彼ら自身がクオリティコントロールするのは健全なことではないでしょうか。むしろこれまでのAndroidの姿は、かつてのマイクロソフトのWindows Mobileに似ています。Windows Mobileも、ハードウェア要件が欠落していたために生態系がめちゃめちゃになってしまい、最終的に全てスクラップしてWindows Phone 7で出直すことになってしまいました。
とはいえ、今回のグーグルの動きはやりすぎではないかという懸念もあり、たとえばVerizonに対して一部の機種でマイクロソフトのBingを使わないようプレッシャーをかけているという噂もあります。でも今グーグルは、これまでずっと先送りしてきた課題への解決策を示そうとしているのです。若干遅かった感はありますが、少なくともユーザーにとっては、より良いエクスペリエンスへの第一歩になるのではないでしょうか。
Brian Barrett(原文/miho)