では、iPhone 4でFaceTimeがやって来た今、我々は「未来」にいるのでしょうか?
続きで考えてみます。
FaceTimeは、アップル流に実現されたテレビ電話です。テレビ電話自体は新しいものではありません。ヨーロッパや日本の携帯電話ではすでに何年も前からテレビ電話が可能ですし、アメリカでもHTC Evoが、これを手軽に実現しています。が、アップルはiPhone 4において、FaceTimeをメインストリームに持っていこうとしています。
まず使ってみると、FaceTimeはイケてます。通話相手の顔が見えます!「FaceTimeだねー、テレビ電話だねー」なんて言いながら。クールです!自分のサムネイルを画面上であちこちフリックしたり、フロントカメラとバックカメラをひょいひょい切り替えたりして遊べます。
が、ひとしきりいじってみて、通話相手とともにそのクールさも確認し、お互いの居場所を見せ合ったりするのも終わって、さあ、FaceTime以外の話もしようかという段になると、ちょっと変な感じになります。
というのは、何を見て話せばいいんでしょう?何を相手に見せればいいんでしょう?普通の電話なら、うろうろ歩きまわったり、メールチェックしたり、何か別のことをしながら話すのに慣れています。でも、テレビ電話だと、それはできません。ずっと自分の前にぎこちなく電話を持ったまま、同様にぎこちない視線をこちらに送る通話相手を見つめるしかありません。そして思うのです。
なんでこんなことやってるんだっけ?なので、FaceTimeは、というかテレビ電話は、誰かに何かを見せたいときは素晴らしいです。たとえば、新しい服とか家とか、子供とか。でも、単なるおしゃべりでは、所在なさを感じてしまいます。
また、Wi-Fi限定なのが残念なのも、まさにこのことが理由のひとつです。自宅以外の、Wi-Fiが使えない場所であれば、人に見せたいものももっとあることでしょう。洋服屋さんで気に入ったシャツがあったときに、彼女に見せて確認してもらうとか、レストランでこれから食べる巨大チーズバーガーを友達に自慢するとか、休暇で遊びに来た名所を両親に見せるとか、そんなことがWi-Fi限定ではまずできないのです。
なので、FaceTimeっていつ使うんだろう? というのが今の疑問です。今はまだ、iPhone 4を買った人と通話しあうだけで楽しいですが。
FaceTimeは未来からやって来たのかもしれませんが、僕らが本当に未来のすごさを感じるには、空飛ぶ車の登場を待たなくてはいけなさそうです。
Adam Frucci(原文/miho)