本日グーグル本社で「Chrome OS」の開発進捗を披露するイベントが開かれ、7月の発表以来ずっと言葉のコンセプトでしか知らなかったOSがいったい何者で、どういう外観で、どう仕組みか、やっと見えてきましたよ!
説明会では、ソースコードが公開になっただけだとグーグルも説明に躍起でしたけど、パブリックベータもずっと先になりそうだし、一般向けリリースは1年後でしょうね。
一応今回の発表の情報の前に、前から分かってる情報はこれ
Google Chrome OSはオープンソースの軽量なOSです。「当初はネットブックがターゲット」で、「ユーザーエクスペリエンスはほぼ全部ウェブ上で起こる」、つまりGoogle Chromeは「Linuxカーネル上の新ウィンドウ・システム内で走る」、ウェブをプラットフォームとするOSなのです。
x86(Core 2 Duoなど)でもARM(全携帯搭載) のチップでも動き、その下には、ウィルスと無縁でアップデートが簡単な新アーキテクチャを一からリデザインしました。
...まだ分からないこと山ほどありますよね!
それでは、今回の発表を元に、ひとつひとつ見てみましょう。
Chrome OSとは何なのか?外観• 基本、単なるブラウザです
既存のウェブサービス(例:Gmail、Google Docs)の周辺に構築しています。普通のアプリはなくなり、ウェブアプリだけになります。なんにもインストールしなくていいし、なんにもアップデートしなくていい、なんにもなしですよ、いや本当。
• ウェブアプリしか動かせない
かつてないほどOSに深くウェブアプリを統合するので、(a)ウェブアプリというより、まるでネイティブアプリのように使えるほか、(b)既存の例えばFirefoxで使うのみたいな典型的なウェブアプリより、もっとローカルのリソースが活用できます。名前はウェブアプリですが、ネイティブのパワーを備えたものになりますね。
• どう実現する?
「HTML 5」で、ですよ。 HTML 5はHTMLの次世代バージョンで、ブラウザはもっとローカルのリソース(ロケーション情報、オフライン・ストレージなど通常ネイティブアプリと関連付けるようなもの)にアクセスできるようになる、というものですね。HTML 5の詳細はここ。
• ChromeはChrome
Chrome OSのユーザーエクスペリエンスは、Chromeブラウザのそれと基本的に同義です。 Chrome OSは建前上、LinuxベースのOSということになっていますけど、Ubuntuや他の一部LinuxディストリビューションでやるようなLinuxバイナリのインストールはしなくていいんです。手持ちの「アプリ」はすべてブラウザ内で使います。 Chrome OSは実質的にはChromeの新バージョンですね。そこ(ブラウザ)から一歩も出れないOSなんでございますよ。グーグルがこれをプッシュする理由(いくつかあります)については、また後ほど。
• 超軽量
既にお察しのように超軽量。数秒で立ち上がり、ブラウザ内に直にブートします。同様に、ChromeブラウザはChrome OSにものすごっく最適化してるので、こんな速いの見たことないってぐらい高速になるはず。
• ハードドライブはサポートしない
サポートするのは単にソリッドステートのストレージだけです。ハードドライブは死にかけてるし。って確かにそうだけど、かなり強気な動きではあります。ハードウェア・サポートはかなり狭くなるようです。だって...
• Chrome OS対応端末買わなきゃならない
今お使いのマシンにハックして入れることもできるかもしれないけど、インストールしてWindowsと置き換えることはできないし、例えば次のラップトップで選んだりもできない。 グーグルが承認したハードウェアを、コンポーネント別に買うか、パッケージ丸ごと買うかしないとダメ。リファレンスデザインは既に開発中ですよ。
• 今のところネットブック向け
デスクトップ向けは想定外の外で、グーグルは「第1世代のChrome対応ハードウェアはセカンダリマシンになる」と言ってるぐらいですよ。
いつ、どうリリースするの?• Chromeブラウザそっくり
前に見たリークのショットみたいですよね! ブラウザみたいにタブがありますけど、これはタスクバーにも使えますよ。タブの左にスタートメニューっぽいものがあり、ここからショートカット満載のパネルが開くんですね、これが「お気に入り」。みなさんが持ってるアプリです。(分かります、この妙な感覚には慣れが要るかも。グーグルならでは、ですよね)
•タブの上に常時表示も可能
小さなウィンドウにペグを立てると、チャット専用ウィンドウや楽曲プレーヤーみたいにタブの上に常時表示も可能。これはGmailのGchat機能にすごく似てますよね、コーナー(隅)のボックスというところが。
• バーチャルデスクトップも装備
タブと並んで、バーチャルデスクトップも装備しました。つまり、Chrome OSの「ウィンドウ」(各々別のタブ・セットを備えている)を複数開いて切り替えができるんですね。なので(バーチャル)デスクトップ1台は仕事用、1台は遊び用、1台はポルノ用などなど使い分けることができますね。Macで使うSpacesにちょっと似てる。ただし、ブラウザでこれをやるところが違い。
なぜ重要なのか?さすが、グーグル、細かい! 一般リリースの日付けはズバリ「来年のいつか」だそうですよ!
ソースコードは今日公開になりました。が、これは準備オーライという意味じゃ全然なくて、ここから先はオープンソースで開発していくからね、というぐらいの意味ですねー。ビルドがこれからオンラインに出てきますよ。VirtualBoxなんかのバーチャルマシンアプリで使うと、きっと動作が素晴らしんでしょうねー。
コードはChromium OS(ChromeのオープンソースのMacバージョンやったことある人なら、Chromium/Chromeディストリビューションのことはもう知ってますよね)プロジェクトの一環としてここで公開になってます。
Chrome OSでグーグルが(ある意味無理やり)やろうとしてるのは、OSの完全オンライン化。グーグルのエバンジェリスト(伝道者)たちに話を聞くと、「ブラウザは既にほとんどの人々のコンピュータエクスペリエンスの中心になっている」と熱っぽく語るはずですよ。OSの残りの部分とネイティブアプリをレンダリングできるぐらいブラウザをパワフルにする、という発想ですね(これは議論の余地あり)。
多くの人が予想したよりピュアです。グーグルが「Chrome OSはウェブ中心のOSになる」と言った時、大体の人は単に軽量のLinuxディストリビューションにGoogleウェブサービスを深く統合したものを想定したと思うんですけど、それじゃない。ブラウザなんです。
ただ、タブごとに異なる処理を行えるブラウザで、ローカルのOSのリソースにもアクセスがあって、ある程度はオフラインで作業もできる。つまり、今僕らがブラウザと呼んでる意味でのブラウザではないし、そこで使うウェブアプリも今慣れてるのとは違うものになる。考え方の基本としては、シンクライアントの軽量・超セキュアなフレームワークを維持しながら、ネイティブOSの機能を全部は無理としても大部分複製するということですね。換言すると、グーグルはユーザーに「やり方を変えろ」とは頼んでない。ユーザーにこうしたことをさせるように、OSを変えようとしているんですね。ユーザーからは目に見えないところで。
例えばこう考えてみましょう。タスクバーやドックのボタンがこれからはタブです。メールクライアントはブラウザの中で動くんだけど、MailやOutlookみたいにオフラインで保存もできるし、ドキュメントは数クリックで開くんだけど、リモートで保存できるんです(選んだ場合のみ、ローカル保存も可)。
ね? やってることは一緒。提供の仕方が違うんです。
John Herrman(原文/satomi)