これは、2010年に開始となった、Steam上の全機種版が1度の購入で手に入る仕組み「Steam Play」の拡張として位置づけられるもの。Windowsとの互換性を提供するプログラム“Wine”ベースで開発された新システム“Proton”をSteamのLinuxクライアントに組み込む内容です。
CodeWeaversとValveによる共同開発である“Proton”は、既存の“Wine”に比べ、マルチスレッドゲームのパフォーマンスの大幅向上や、フルスクリーン時の仮想デスクトップなどが不要に。また、コントローラーはSteamがサポートするもの全てが利用可能となる他、DirectX 12がVulkanベースで実装され、DirectX 11の互換性も大幅改善しています。
そして、最大の特徴とも言えるのは、「Linux版がないゲームについて、Steamからの直接インストールが可能になった」ということ。この方式でインストールしたゲームもSteamworksとOpenVRをネイティブサポートします。
現時点で“Proton”による互換性サポートテスト済みのタイトルは下記。リストにないタイトルも試すことが可能とのことです。
Beat Saber
Bejeweled 2 Deluxe
Doki Doki Literature Club!
DOOM(2016リブート版)
DOOM II: Hell on Earth
DOOM VFR
Fallout Shelter
FATE
FINAL FANTASY VI
Geometry Dash
Google Earth VR
Into The Breach
Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers 2012
Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers 2013
Mount & Blade
Mount & Blade: With Fire & Sword
NieR: Automata
PAYDAY: The Heist
QUAKE
S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl
Star Wars: Battlefront 2
Tekken 7
The Last Remnant
Tropico 4
Ultimate Doom
Warhammer 40,000: Dawn of War - Dark Crusade
Warhammer 40,000: Dawn of War - Soulstorm
2016リブート版の『DOOM』や『DOOM VFR』、『ニーア:オートマタ』のほか、今でも熱心なファンの多い『S.T.A.L.K.E.R.』などが既に対応していると発表されたのは嬉しいところでしょう。ただし、複雑なDRMやアンチ・チート・システムを使用しているゲームの中には、サポートが困難なものや、不可能なものもあるとのことなので注意です。
なお、“Wine”も“Proton”もmacOS上で動作しますが、いずれも現時点では「Steam Play」の拡張対象には含まれないとのこと。“Proton”はオープンソースとなっており、こちらからソースコードの取得が可能。ゲーム開発者向けには「Vulkanのサポートを最低でもオプションとして提供することと、第三者DRMの使用を行わない」ことを今回の更新での最大限の恩恵を受けるための指針として公開しています。