ごみ収集のイメージ写真。本文とは関係ありません

 自治会に加入しない住民が増える中、非会員がごみステーションの使用を禁じられ、自治会とトラブルになる事案が全国で相次いでいる。福井県の福井市では、男性がごみステーションを利用する権利の確認を求めて自治会を提訴し、係争中のケースもある。国立環境研究所(茨城県つくば市)は「自治会頼みの共助の仕組みが機能しにくくなっている。加入が当たり前という前提でできた回収のやり方を考え直す必要がある」と指摘する。

 同研究所が2020年に全国の市町村を対象に行った調査では、ごみ収集に問題があると答えた841自治体のうち7割が「自治会未加入者がごみステーションを利用できないトラブルを抱えている」と回答した。ごみステーションの設置・管理は、自治体が定めるごみ処理計画などに基づき自治会が担っているだけに、行政側も対応に苦慮。当事者同士の話し合いや清掃センターへの持ち込みの案内にとどまることが多いようだ。

 増加する未加入者に自治会はどのように対応しているのか。同研究所がつくば市の402自治会を対象に実施した調査では、67%が「未加入者の利用を許可していない」と回答。ごみステーションの管理には会員から集めた自治会費を使っているから―というのが主な理由だ。しかし利用を禁じることで、自治会未加入者が勝手に使ったり、さらに分別も守らないといった問題も生じている。

 一方、33%の自治会は非会員も利用できるようにしていて、そのうち約半数では利用料金を徴収している。料金は年500円から1万2千円と幅があり、他の会員と負担の差がないように自治会費と同額にしているところもあった。

 同研究所資源循環社会システム研究室の田崎智宏室長は「システムを地域の共助によって維持するのか、お金で解決するのか。過渡期の今だからこそ全国でトラブルが多発している」と指摘する。都市部では戸別収集に切り替える自治体もあるが、財政が厳しい地方ではコストの問題がのしかかる。「自治会は必要経費の情報を出すなどして費用負担に納得してもらう必要があるし、住民側も地域(のコミュニティー)が無料で成り立っているのではないと認識しなければならない」と訴える。

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 福井県内では、坂井市でも自治会と非会員の住民との間でごみステーション利用を巡るトラブルがあったという。同市の担当者は「新型コロナ禍以降、地域のコミュニケーションが不足していて、これまで問題にしていなかったようなことでも、もめるようになってきている。災害などでは地域の支え合いが必要。理解を広げていきたい」と話した。

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