富士通の”いま”と”未来”が見える!
「富士通統合レポート2024」3つのハイライト

大きな緑の森に青い川が曲線を描きながらかかっているイメージ画像

2024年10月、富士通グループは「富士通統合レポート2024」を発行しました。この統合レポートは、私たちの事業活動と新たな価値創造の取り組みについて、財務情報と環境・社会・ガバナンス(ESG)などの非財務情報を併せてご報告し、富士通の現在地と将来ビジョンをすべてのステークホルダーの皆様と共有するものです。
私たちが何を考え、どのように行動し、どのような未来を目指しているのか。富士通をもっと知っていただくために、富士通統合レポート2024から、特に注目していただきたいポイント3点を抜粋してご紹介します。

目次
  1. ポイント①:2023-2025年度中期経営計画を加速させ、ビジョンを具現化
  2. ポイント②:4つの注力分野を連動させ、持続的な成長へ
  3. ポイント③:サステナビリティ経営と事業をつなぎ、企業価値の向上へ
  4. すべてのステークホルダーとのコミュニケーションのために

ポイント①:2023-2025年度中期経営計画を加速させ、ビジョンを具現化

私たちは、2030年のあるべき姿として、「デジタルサービスによってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニーになる」というビジョンを掲げています。その実現へ向け、バックキャストして策定した「2023-2025年度中期経営計画(以下、中計)」は中間地点を過ぎ、具体的な成果が現れています。ここでは、4つの重点戦略(図1参照)における主要な施策の進捗と、中計最終フェーズの目標を紹介します。

事業モデル・ポートフォリオ戦略、カスタマサクセス戦略/地域戦略、テクノロジー戦略、リソース戦略の4つの重点戦略をピラミッドで表している。 図1)2023-2025年度中期経営計画 重点戦略

1)事業モデル・ポートフォリオ戦略

今後、事業ポートフォリオの主軸となる「Fujitsu Uvance」事業は、中計初年度にジャンプアップしました。2023年度末の売上収益は前年度比84%伸長の3,679億円を達成、事業拡大のドライバーであるオファリング(複数のお客様との仮説検証をもとに開発した富士通独自のサービス)を37種提供しています。中計後半もオファリングの適用を中心に、売上ベースで2025年度7,000億円にまで拡大する計画です(図2参照)。

Fujitsu Uvanceの売上構成比を表す図。2022年は2,000億円、2023年は3,679億円を突破。2024年は4,500億円、2025年は7,000億円の売上伸長を計画している。 図2)Fujitsu Uvanceの状況

2)カスタマサクセス戦略/地域戦略

日本から世界へ、グローバルでのお客様フロントの強化と併せて、コンサルティング事業の強化を図っています。2024年2月には、コンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」を立ち上げ、13のコンサルティング重点領域(プラクティス)を策定。2025年度コンサルタント10,000人体制を目指して、コンサルティング人材の拡充を進めています。

3)テクノロジー戦略

AIを中心とする5つのキーテクノロジー(5 Key Technologies)を、Fujitsu Uvanceに実装することで、テクノロジーカンパニーとしての競争優位性を強化し、テクノロジーを駆使した新たな価値の創造に挑戦しています。特に、急激な進化を見せるAIについては、先端AI技術とFujitsu Uvanceのオファリングを融合させるAI戦略(※1)を策定し、機敏かつ柔軟な実装を推進しています。

4)リソース戦略

事業と連動した人材戦略を推進するとともに、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を通じて生産性の向上に取り組んでいます。人材戦略においては、中長期的な競争力の向上を目指し、日本国内の全職層の社員を対象に報酬制度の見直しと報酬水準の引き上げを実施。今後とも、事業推進の主体である人を重視し、注力領域における人材の強化を図ります。

ポイント②:4つの注力分野を連動させ、持続的な成長へ

2030年およびそれ以降のあるべき姿を目指して、私たちは「Fujitsu Uvance」を中心にサービスの拡大を図りながら、競争力向上に資する「コンサルティング」の強化、「AI戦略」の実行、お客様のDX/SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を支える「モダナイゼーションとデリバリー変革」の4分野に注力しています(図3参照)。ここでは、4つの分野を担務する4人の副社長のメッセージより、各注力分野の概況と成長戦略を共有します。

コンサルティング力の強化、Fujitsu Uvanceの成長シナリオ、技術的競争優位性を加速するAI戦略、モダナイゼーションとデリバリー変革によるDX支援の4つの注力分野が存在する。 図3)4つの注力分野

1)コンサルティング力の強化

社会にポジティブなインパクトをもたらすテクノロジーカンパニーとなるためには、課題を俯瞰的に捉え、解決への道筋を具体化するコンサルティングが不可欠です。
背景には、社会とビジネス環境のドラスティックな変化があります。産業構造の変化に伴い課題が複雑化・多様化し、クロスインダストリー(業界横断)での課題解決が求められる一方で、AI・量子コンピューティングなどの先端技術はあらゆる産業に影響を及ぼしつつあり、テクノロジーを活用した革新的な事業モデルも求められています。私たちはこのような状況を踏まえて、これまでに培った知見や技術力にコンサルティングを掛け合わせ、より付加価値の高いサービスを提供することを目指しています。
Uvance Wayfindersは、ビジネスとテクノロジーの両サイドから課題にアプローチ。エコシステムの形成や新たなデジタルサービスの共創をリードし、また、私たちの強みであるFujitsu Uvanceやモダナイゼーションを効果的に導入して、社会課題やお客様の経営・事業課題を解決へと導きます。

2)Fujitsu Uvanceの成長シナリオ

Fujitsu Uvanceは、業種を越えたクロスインダストリーのオファリングを中心に、お客様のビジネス課題と社会課題の解決を両立させるサービスです。テーマは多岐にわたりますが、提供する価値はビジネスとしての収益性とサステナビリティの両立に、ひいては経営や事業の変革につながっています。
Fujitsu Uvanceは、オーダーメイドのSI(システムインテグレーション)を事業の中心に置いてきた当社にとっても、事業モデルを変革する挑戦です。この新しいビジネスモデルの競争優位性は、オファリングの価値の中にあります。
オファリングとは、多くのお客様とともに仮説検証を重ねて開発したソリューションを、他のお客様にも展開する1対Nのサービスです。「型」として標準化されているため、比較的短期間にベストプラクティスを導入でき、さらに、短いサイクルで効果を確認しながら導入範囲を拡大することが可能です。

3)技術的競争優位性を加速するAI戦略

私たちは、AIを中核として、コンピューティング、データ&セキュリティ、ネットワーク、コンバージングテクノロジー(デジタル技術×人文科学)からなる5 Key Technologies にリソースを集中し、先端技術の研究開発、実用化、実装に注力しています。中でも、ビジネスへの活用が急速に広がっている生成AIをイノベーションの要と捉え、2024年2月に発表したAI戦略で、企業における生成AI活用を牽引するグローバルトッププレイヤーを目指すと表明しました。
同時に、AIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」を商用化。富士通独自の生成AI技術や、AIモデルの公平性を検証・改善するAIトラスト技術など、7つの領域の先端AI技術をFujitsu Uvanceのオファリングに実装し、付加価値の高いサービスを提供しています。2024年7月には、企業ニーズに対応する特化型生成AIを自動生成し、企業が持つ膨大なデータの活用を促進する「エンタープライズ生成AIフレームワーク」をリリースするなど、企業における生成AIの活用をリードしています。

4)モダナイゼーションとデリバリー変革によるDX支援

モダナイゼーションは、古い技術で構築されたレガシーシステムを最新のテクノロジーで近代化することですが、単にシステムを刷新するだけでなく、データドリブン経営を可能にし、DX/SXの実現を目指す取り組みです。私たちには基幹情報システムの開発・構築を通じて蓄積してきた技術と知見があり、加えて、モダナイゼーションとDX/SXの豊富な経験と実績、その中で培った提案力・実行力にも強みがあります。2022年にはモダナイゼーションに関する知見、ベストプラクティス、人材を集約したモダナイゼーションナレッジセンターを設立。サービスの標準化や戦略パートナーのツール・サービスの検証・整備・デリバリーなどを推進しています。
システムの構築・運用・保守を包括するサービスデリバリーの変革、その目的は生産性、品質、セキュリティのすべてを高めることです。グローバルで高品質のサービスをスピーディに提供するため、工程・作業の標準化・自動化を推進し、グローバルデリバリーセンター(GDC)の活用を拡大。GDCとジャパン・グローバルゲートウェイ(JGG)を合わせたデリバリー体制を、2025年度4万人にまで増員する計画です。

ポイント③:サステナビリティ経営と事業をつなぎ、企業価値の向上へ

事業活動を通じてお客様と社会にポジティブなインパクトを。その目標に向けて、富士通のサステナビリティ経営は、実践段階へとギアチェンジしました。すなわち、私たちの事業がもたらすインパクトを、社会的な評価として企業価値の向上につなげていく段階に入った、ということです。
サステナビリティ経営により蓄積したESGに関する知見・ノウハウを、Fujitsu Uvanceをはじめとする事業に融合することは、ネットポジティブの実現に深く関わっています。お客様とともに取り組むSXを一歩前進させる、その一例として、サプライチェーン変革の先行事例を紹介します。

PACTプログラム ― サプライチェーン全体のCO2排出量の可視化に成功(※2

富士通は、WBCSD(※3)(持続可能な開発のための世界経済人会議)のPACT(※4)(炭素の透明性のためのパートナーシップ)メンバーとして、製品カーボンフットプリント(PCF)情報の企業間データ連携の実現に向けた世界初の社会実装プログラム「PACT Implementation Program」に参画し、リアルなサプライチェーン全体のCO2排出量の見える化に成功しました。
今回のプログラムでは、当社のソリューション「ESG Management Platform/Fujitsu Track and Trust」などを活用してPCFのCO2排出量の算出と企業間のデータ連携を実現。また、サプライヤーの実データを用いたPCFのデータ連携を通じ、サプライヤー・エンゲージメントの向上やエコシステム構築といった、リアルなサプライチェーンにおける課題抽出も実施しました。
現在私たちは、PACTプログラムでの経験を活かし、GHG排出量の目標設定および削減施策(PCFのデータ連携と算出)について、サプライヤーの皆様との情報共有を進めています。また、バリューチェーン全体のGHG排出量を2040年度にネットゼロにすることを目標に、具体的なアクションプランを策定し変革を進めています。

すべてのステークホルダーとのコミュニケーションのために

富士通統合レポートは、パーパスを起点とし、業績、経営・事業の戦略や目標などを、データを用いながらストーリー化した報告書です。私たちはこの統合レポートを活用しながら機関投資家をはじめとするステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを深めています。
また今年度は、若年層の皆様とも統合レポートを活用しながらコミュニケーションを図りました。それを踏まえて、学生の視点からフィードバックもいただく予定です。読者の皆様も、富士通統合レポート2024をご一読いただき、ぜひご意見・ご質問をお寄せください。

大学の教室で15名ほどの学生が、富士通社員から説明を受けている様子 大学生向け説明会(2024年11月開催)
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