独文学専攻
歴史語用論、ドイツ語史
ことばの使い方から当時の社会や人間関係を読み解くような言語史研究に魅力を感じて、研究者になりました。例えば私はいま、モーツァルトの手紙やベートーヴェンの筆談帳を研究して、今から200年ほど前に書かれた言語データから当時の社会や書き手たちの人間関係を再構成するという研究をしています。
西洋史学専攻
ドイツ現代史・ユーゴスラヴィア史
ナチズムがヨーロッパ周縁の多民族社会にもたらした支配体制の実態と地域の権力関係、社会変容を明らかにする研究を進めています。ドイツとバルカンにおける国民統合、「民族共同体」構築やネイション形成プロセスの解明につなげ、「国民国家」をめぐる議論にも向き合います。
民族学考古学専攻
比較文化、民俗学、南方熊楠研究
生物学者・民俗学者である南方熊楠を中心に扱っています。熊楠の著作、原稿、標本類を扱うことで、近代科学の発展がどのようなひとびとによって進められたのか、またそれを支えた社会的インフラの整備について明らかにするのが目標です。 合わせて生物の絶滅という問題についても関心があり、環境という側面と人間の文化の両面から迫れればと考えています。
人間科学専攻
社会心理学
「社会的認知」と呼ばれる自己や他者に関する理解が、言語表現に反映される過程について、実験社会心理学的検証を行っています。また、言語表現が人間の認知・思考に与える影響についても検証を行っており、言語と認知の相互の関係性を明らかにすることに取り組んでいます。
社会学専攻
社会心理学、環境行動論、リスクコミュニケーション,ゲーミング
人々の環境行動の普及について説得的コミュニケーションや合意形成に関する社会心理学的研究を行っています。環境問題は健康や経済といったリスクともかかわり、個人的利益と社会的利益との葛藤の解消も必要です。そのためのリスクコミュニケーションにかかわる「説得納得ゲーム」や「ステークホルダーズ」といったゲーミング・シミュレーションを開発し、問題構造の探索・分析や問題解決につなげる学習方法の提案を行っています。
中国文学専攻
中国近現代文学、日中比較文学
日中戦争時期に日本軍占領下の北京や上海などに留まり文学活動を続けた中国人文学者について研究しています。また長編小説『駱駝祥子』や戯曲『茶館』などの作品がある満州族作家・老舎についても研究しています。
日本史学専攻
日本古代史
律令制を中心に、奈良・平安時代の国家と社会との関係に関心を持っています。日本律令の母法である中国律令との比較や、中国から継受した律令が日本に定着してゆく過程について、都造りや官人の制度から研究を進めています。
英米文学専攻
近現代イギリス文学、ファンタジー文学
特に18〜19世紀の詩と韻律論、および中世主義、またそこから派生した現代ファンタジーなどに興味があります。
英米文学専攻
近代イギリス文学
ロマン派から20世紀初めにかけてのイギリス文学と音楽との関わり合いに関心があります。具体的には、ロマン派の詩における音と音楽のイメージ、シェイクスピアと音楽の影響関係、ワーグナーとイギリスの関係、G・B・ショーの音楽評論家としての活動などに注目しています。また、翻訳としては、ワーグナーのオペラ《ニーベルングの指環》についてのショーの独創的なコメンタリー、ナチスによるモーツァルトのイメージ操作の研究、20世紀を代表する指揮者ブルーノ・ワルターの伝記、20世紀イギリスの主要作曲家レイフ・ヴォーン・ウィリアムズの伝記などを手がけています。
自然科学部門
発生生物学、免疫生物学
ナマコはウニやヒトデと同じ棘皮動物の仲間です。姿かたちは脊椎動物と大きく異なりますが、進化的には近く、免疫の進化を考える上ではとても重要です。私はマナマコを対象に、免疫細胞の凝集について研究しています。我々がもつ免疫細胞は、体内へ侵入した異物を取り囲み、排除するために凝集しますが、マナマコの免疫細胞は異物が存在しなくても凝集します。なぜ細胞が凝集するのか、その意味を探索しています。
仏文学専攻
16世紀フランス文学
専門はフランス・ルネサンスの文学で、主にモンテーニュとラ・ボエシーを研究しています。当時の思考の枠組みのひとつであった修辞学の観点から、作家が模倣を通じてどのように文学的な個性を表現しようとしていたかを考察の出発点にしています。方法論的な問題として、読むことにおけるアナクロニスムにも関心があります。
西洋史学専攻
フランス現代史、国際関係史
スイスのジュネーヴに拠点を置く赤十字国際委員会の活動をつうじて、第一次世界大戦期とその後のヨーロッパにおける人道主義の展開を研究しています。また、未曽有の規模となった戦争が終結後も長く社会の様々な面に与え続けた影響を、フランス社会を対象に考えています。最近では感情史に関心を持っており、他者の痛みに対する感情の在り様を、19世紀後半以降の国際人道法の整備と赤十字運動の拡大のなかで読み解いていきたいと思っています。
独文学専攻
ドイツ言語学,言語理論
ドイツ語を中心とした言語研究を行っています。
自然言語は,「数十の音を組み合わせて無限のものを表象するしくみ」として,驚異的な「普遍性」というべきものを備えています。この普遍性には,構造的なもの(人間が種として与えられているもの)という側面を持つ一方で,他方で機能的(それが何のために備わっているのか)に決定されているという特徴を持っているわけですが,私は,特に後者の機能面を中心に,ドイツ語や日本語,その他の言語を比較,対照することを通して解明することを目指しています。
哲学専攻
科学哲学
科学哲学の中でも特に生物学の哲学を専門としており、進化生物学・微生物学・発生生物学・細胞生物学などにおける概念的・理論的・方法論的諸問題を考察しています。また、人間の心や道徳に対する自然主義的アプローチにも関心があります。
社会学専攻
文化社会学、都市社会学、歴史社会学
都市文化現象(思想、表象、技術を含む広義の文化現象)にあらわれる近代性(モダニティ)の諸相を社会学的に考察する、というのが主な研究テーマです。現在はとくに照明・交通・建築など、都市の社会生活を支える基盤的テクノロジーが、都市をめぐる知覚・想像・経験様式の変容と結び合いつつ、独特の厚みをもつ社会性を獲得してゆく歴史的プロセスに関心をもっています。
仏文学専攻
19世紀フランス文学
ボードレール、ユイスマンスの美術批評を主要な研究対象として、「超自然主義」の系譜に関心をもっています。
倫理学専攻
イギリス倫理思想史
倫理学史、倫理学理論、応用倫理学の分野で研究を行っています。倫理学史では、近代イギリスの倫理思想の歴史を辿り、その全体像を捉えることを、倫理学理論では、現代の倫理学における主要な理論を検討し、その可能性と限界を示すことを、応用倫理学では、経済における倫理的な問題について考察し、その原因を明らかにすることを試みています。
英米文学専攻
アメリカ文学
アーネスト・ヘミングウェイ、ラルフ・エリソン、ジェイムズ・ボールドウィンを中心に、20世紀のアメリカ文学・文化を研究しています。
人間科学専攻
社会学
社会における「責任」のあり方を中心に社会学的な観点から研究を続けています。民事・刑事の法的責任に関わる問題のほか、現代の経験科学は人間の自由や道徳性、社会制度とどのような関係にあるのかといった問題に関心を持っています。
中国文学専攻
中国語教育、音声学(中国語)、中国語学
私の研究分野は主に3つあります。1つ目は学生の中国語の発音能力に関する調査研究で、学生の声調の習得について追跡調査を行なっています。2つ目は、「中国語のリズムをどのように訓練するか」に関する調査研究で、中級レベル以上の学生の朗読能力をどのように高めるかという内容です。3つ目は、中国語教育の現状についての調査研究です。
心理学専攻
認知神経科学、神経心理学、感情神経科学
感情を感じるための心と脳、そして身体のシステムに関心を持っています。実験心理学や fMRIを用いた脳機能画像研究の手法とあわせて、臨床場面でも感情と思考・行動との関係性を検討し、複合的な観点からの研究を行っています。
美学美術史学専攻
西洋美術史
主に15世紀イタリア初期ルネサンスの彫刻および絵画を研究しています。絵画においては、祭壇画や祈念画など機能的な見方、および近世におけるイリュージョニスティックな陰影のシステム導入と中世以来の象徴的な光と影との間に生じる相克に関心があります。彫刻においては、台座や素材の象徴性に興味があります。いずれも美術作品と場所や観者との関係が本質的な私のテーマです。
英米文学専攻
中世イギリス文学、書物史、書誌学
中世後期イングランドにおける書物文化について研究を進めています。
心理学専攻
学習心理学、行動神経科学、行動薬理学、比較認知科学、感性認知脳科学
ヒトを含めた動物の「こころ」が、どのような心理学的・神経生物学的なメカニズムによって成り立っているのかについて研究しています。