教育学は、18世紀後半期以後の西洋先進諸国における近代学校制度の整備・確立を背景として成立・発展しました。今日でも、教育学は、各大学の教職課程に組み込まれている教科教育学や教育方法学などに代表されるように、一般的には教員養成や学校教育への貢献を目的とする学問として理解されています。
それに対し本専攻では、「人間形成」に関わる様々な営為全般を視野に含み込みながら、教育の本質を探究しています。それぞれの時代や社会における人々の生の営みには、学校教育の枠組みからは溢れ出てしまうような多彩な人間形成の営為が埋め込まれています。それらを再発掘し再評価することで、教育的営為や教育的知見の豊かな可能性を探究している点に本専攻の最大の特色があります。またその探究を、人文科学や社会科学はもとより、自然科学の方法をも駆使しながら展開している点にも本専攻の独自性があります。こうして「教育」を包括的な人間形成の関心に立って理解することで、学校教育の問題にも、より多角的で重層的なアプローチを提供できると考えています。