週刊アスキーではヒロインが表紙を飾り、ピザハットでも特別企画連動中と、色々なメディアに進出しまくり。こんなコラボまであります。
きりりんと黒猫の特選バイト情報|俺の妹がこんなに可愛いわけがない
これジョークではなくて本当にちゃんとしたバイト検索サイトなのだからびっくり。また作り手側スタッフもありとあらゆる手で楽しませるテクニックを心得ており、たとえば作中ヒロインの桐乃と黒猫が実際にトークするtwitterアカウントがあったりもします。
きりりん (kirino_kousaka) on Twitter
黒猫 (kuroneko_daten) on Twitter
作品を知っている人ならニヤニヤ出来る会話が繰り広げられているので、必見。
さて、アニメ化で話題が爆発すると同時に、題名とキャラクター絵を見て「シスコンの話なのかな」という声もあちらこちらで目にするようになりました。
いやあとんでもない。もちろんヒロイン達は十二分にかわいらしいキャラぞろいなんですが、それだけではないんです!
主人公の京介は全くと言っていいほどオタク文化に興味を持っておらず、むしろ拒絶反応すら示しています。また初期時点では妹と特に仲が良いわけでもなく、ほとんど会話もかわさないような関係です。妹の桐乃にキモいと言われる様が妙にリアル。
妹の桐乃、モデルの仕事をこなし成績も優秀、万能で美人。そんな彼女が実は大のギャルゲー・エロゲー・アニメ好きというところから事件は始まります。
隠れオタクな人はかなり多いと思います。「なぜ隠すの?」と言われても困るんです。恥ずかしいから? じゃあなんでそれを趣味にしているの?
この作品は「オタクではない主人公がオタクの妹を見る」という設定を通じて、人がなぜオタク文化に惹かれ、追い求めてしまうのかを描くことに成功しています。オタク文化圏に対して嫌悪感を抱く側の気持ちもしっかり描写されているので、単純なオタク賛歌になっていないのです。
結局みんなに嫌われるんじゃないかと怖くて怯えて趣味を隠している自分が、一番オタク蔑視をしているんじゃないだろうか、と問います。どうしてこんなに辛いのに好きになってしまったんだろう、仲間がいなくて寂しい思いをどう解消すればいいんだろう、「そんなもの」って言われたらどうして苛立つんだろう。自分が好きでやまないものを否定された時の苦しさや、大好きで作っていたものを踏みにじられた時の悲しさ。
それを「兄」という立場から、よくわからないけれども守ってやりたいと願い、遠回りに肯定していく様が本当に力強い。
オタク文化が好きな人なら感情移入度はめきめき膨れ上がるでしょう。またそうではない人でも、中立な兄の京介視点で、妹の気持ちを守るためにヒートアップする気持ちにシンクロできます。
「俺妹」は、大好きな物を通じて心に傷を負ったことのある人へのエール、力強いアンセムなのです。(たまごまご)