Exchangewire Japan https://www.exchangewire.jp/ ExchangeWire 日本:トラッキングの広告取引と為替マーケット Tue, 14 Jan 2025 04:37:24 +0000 ja-JP hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.7 オーディエンスに関して深く洞察し、モバイル広告を成功に導く方法 https://www.exchangewire.jp/2025/01/16/column-pubmatic-mobilead/ <![CDATA[WireColumn]]> Wed, 15 Jan 2025 23:00:39 +0000 <![CDATA[APAC]]> <![CDATA[NEWS]]> <![CDATA[PubMatic]]> <![CDATA[Sponsored]]> <![CDATA[WireColumn]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84299 <![CDATA[

2024年は、Googleによるサードパーティークッキー廃止方針の変化により、業界全体が対策に頭を悩ませる一年となりました。一方で、モバイル市場は現在、5,000億ドル規模を超える大きな市場となっており、日本では依然としてゲームアプリ市場が拡大を続けています。
当社は、日本を代表するモバイルパブリッシャーやパートナーと協力し、2024年も実りある一年を過ごすことができました。 この経験をもとに、モバイル広告における市場の動向や得られた洞察を共有したいと思います。
(Sponsored by PubMatic)
 
 
ブランド広告の価値と可能性
 
近年のAPAC市場では、パフォーマンス広告だけでなく、ブランド広告への注目が高まっています。ブランド広告はその名の通り、企業や商品のブランド価値を高めるために設計された広告であり、パブリッシャーにとっても収益性を向上させる可能性の高い広告フォーマットです。
PubMaticがMilieu Insightと共に行った調査では、「アジア太平洋地域マーケティング担当者10人中7人がモバイルアプリ内広告戦略を活用しており、このうち79%はアプリ内広告を通じてブランド認知改善効果を得た。」と報告されています。しかし、日本においては、モバイルアプリのブランド広告での活用、特にゲーム内広告の活用状況は他国と比較してまだ低い状態です。調査によれば、「ゲーム内広告を行うマーケティング担当者の割合はシンガポールで77%、韓国で64%、日本では15%」にとどまります。この差を埋めるためには、ブランド広告が持つ可能性と、それを実現するための戦略が重要となります。
 
PubMaticは先日東京で開催された自社主催イベント「PubAcademy Tokyo」に、日本の主要マーケティングプラットフォームを運営するUNICORNを招待しました。このイベントで、UNICORNのブランドマーケティングディビジョン ゼネラルマネージャーである前田大輔氏は、次のように述べています。「ブランド広告主が評価の基準にするヒントの一つは、広告を見たユーザーが態度変容を起こしたかどうかです。ユーザーの態度変容を起こすには、単に広告のImpressionをばら撒くのではなく、きちんとユーザーのアテンションを取れる広告を配信することが重要です。そのためには、ユーザーに不快感を与えない、ユーザー体験価値の高い広告枠に配信することが重要です。」
この考えは、パブリッシャーにとっても重要な示唆を含んでいます。ブランド広告を通じてユーザーエンゲージメントを向上させることで、長期的なユーザー維持や収益の増加が期待できます。また、PubMaticのような適切なパートナーと連携することで、世界中の多様なデマンドにアクセスし、広告配信の質をさらに高めることが可能です。
 
 
ユーザビリティを考慮した広告運用
 
モバイルパブリッシャーとしてアプリを収益化する際に、ユーザビリティを考慮することも極めて重要です。広告表示の仕方によっては、ユーザーに不快感を与えてしまう可能性があるためです。
例えばリワード広告の場合、ユーザーが広告を視聴するかどうかを選択することが可能なため、不快感を抱かれにくいという特徴があります。またゲームプレイを阻害しないIn-Game Adも近年注目を集めており、プレイ中のユーザー体験を損なわない方法で広告を提供することがますます重要になっています。ユーザビリティを考慮すると同時に、アプリのコンテンツの質を向上させ、ユーザーのロイヤリティを強化することも重要です。
 
 
アドレッサブルな広告の未来を切り開く
 
これからの時代は、信頼できるパートナーと連携しながら、データ主導でパーソナライズされた広告を展開することが求められます。調査によると、入札ストリームに代替IDが存在する場合、パブリッシャーの収益が全世界で平均16%増加することが示されています。 一方で、GoogleがChromeにおけるサードパーティCookieのサポート継続を決定したものの、アドレッサブルな広告をめぐる状況は引き続き変化しており、パブリッシャーは将来の対応を慎重に検討する必要があります。
今後、パブリッシャーは自社でのファーストパーティデータの収集を進めながら、信頼できるパートナーや複数の連携したプロダクトを活用し、広告収益をさらに向上させることが求められます。PubMaticは、LiveRampのRampID、The Trade DeskのUnified ID、ID5、LiveIntentなどの主要な代替IDソリューションとの連携に対応しているため、これらをアプリに活用することも可能です。
 
PubMaticは今後もパブリッシャーの収益向上のために、お客様との関係や信頼を第一にし、手厚いサポートを提供してまいります。
 
 

コラム執筆者
 
菱田 遼
パブマティック株式会社 Senior Director, Customer Success & Publisher Development
 
 
2013年にサイバーコミュニケーションズ(現CARTA COMMUNICATIONS)に入社、アドネットワークのメディア開拓やアドエクスチェンジのプロダクト担当として従事。2015年にストラテジックアカウントマネージャーとしてPubMaticに入社し、2024年で9年目を迎える。入社当初よりサプライサイドの既存顧客担当として自社プロダクトの導入やマネタイズの支援を行い、現在はPubMatic Japanのカスタマーサクセスチームのディレクターとして、ウェブメディア、アプリ、OTT/CTVにおけるビジネスを牽引。

 
 

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2024年は、Googleによるサードパーティークッキー廃止方針の変化により、業界全体が対策に頭を悩ませる一年となりました。一方で、モバイル市場は現在、5,000億ドル規模を超える大きな市場となっており、日本では依然としてゲームアプリ市場が拡大を続けています。

当社は、日本を代表するモバイルパブリッシャーやパートナーと協力し、2024年も実りある一年を過ごすことができました。 この経験をもとに、モバイル広告における市場の動向や得られた洞察を共有したいと思います。

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ブランド広告の価値と可能性

 

近年のAPAC市場では、パフォーマンス広告だけでなく、ブランド広告への注目が高まっています。ブランド広告はその名の通り、企業や商品のブランド価値を高めるために設計された広告であり、パブリッシャーにとっても収益性を向上させる可能性の高い広告フォーマットです。

PubMaticがMilieu Insightと共に行った調査では、「アジア太平洋地域マーケティング担当者10人中7人がモバイルアプリ内広告戦略を活用しており、このうち79%はアプリ内広告を通じてブランド認知改善効果を得た。」と報告されています。しかし、日本においては、モバイルアプリのブランド広告での活用、特にゲーム内広告の活用状況は他国と比較してまだ低い状態です。調査によれば、「ゲーム内広告を行うマーケティング担当者の割合はシンガポールで77%、韓国で64%、日本では15%」にとどまります。この差を埋めるためには、ブランド広告が持つ可能性と、それを実現するための戦略が重要となります。

 

PubMaticは先日東京で開催された自社主催イベント「PubAcademy Tokyo」に、日本の主要マーケティングプラットフォームを運営するUNICORNを招待しました。このイベントで、UNICORNのブランドマーケティングディビジョン ゼネラルマネージャーである前田大輔氏は、次のように述べています。「ブランド広告主が評価の基準にするヒントの一つは、広告を見たユーザーが態度変容を起こしたかどうかです。ユーザーの態度変容を起こすには、単に広告のImpressionをばら撒くのではなく、きちんとユーザーのアテンションを取れる広告を配信することが重要です。そのためには、ユーザーに不快感を与えない、ユーザー体験価値の高い広告枠に配信することが重要です。」

この考えは、パブリッシャーにとっても重要な示唆を含んでいます。ブランド広告を通じてユーザーエンゲージメントを向上させることで、長期的なユーザー維持や収益の増加が期待できます。また、PubMaticのような適切なパートナーと連携することで、世界中の多様なデマンドにアクセスし、広告配信の質をさらに高めることが可能です。

 

 

ユーザビリティを考慮した広告運用

 

モバイルパブリッシャーとしてアプリを収益化する際に、ユーザビリティを考慮することも極めて重要です。広告表示の仕方によっては、ユーザーに不快感を与えてしまう可能性があるためです。

例えばリワード広告の場合、ユーザーが広告を視聴するかどうかを選択することが可能なため、不快感を抱かれにくいという特徴があります。またゲームプレイを阻害しないIn-Game Adも近年注目を集めており、プレイ中のユーザー体験を損なわない方法で広告を提供することがますます重要になっています。ユーザビリティを考慮すると同時に、アプリのコンテンツの質を向上させ、ユーザーのロイヤリティを強化することも重要です。

 

 

アドレッサブルな広告の未来を切り開く

 

これからの時代は、信頼できるパートナーと連携しながら、データ主導でパーソナライズされた広告を展開することが求められます。調査によると、入札ストリームに代替IDが存在する場合、パブリッシャーの収益が全世界で平均16%増加することが示されています。 一方で、GoogleがChromeにおけるサードパーティCookieのサポート継続を決定したものの、アドレッサブルな広告をめぐる状況は引き続き変化しており、パブリッシャーは将来の対応を慎重に検討する必要があります。

今後、パブリッシャーは自社でのファーストパーティデータの収集を進めながら、信頼できるパートナーや複数の連携したプロダクトを活用し、広告収益をさらに向上させることが求められます。PubMaticは、LiveRampのRampID、The Trade DeskのUnified ID、ID5、LiveIntentなどの主要な代替IDソリューションとの連携に対応しているため、これらをアプリに活用することも可能です。

 

PubMaticは今後もパブリッシャーの収益向上のために、お客様との関係や信頼を第一にし、手厚いサポートを提供してまいります。

 

 

コラム執筆者

 

菱田 遼

パブマティック株式会社 Senior Director, Customer Success & Publisher Development

 

 

2013年にサイバーコミュニケーションズ(現CARTA COMMUNICATIONS)に入社、アドネットワークのメディア開拓やアドエクスチェンジのプロダクト担当として従事。2015年にストラテジックアカウントマネージャーとしてPubMaticに入社し、2024年で9年目を迎える。入社当初よりサプライサイドの既存顧客担当として自社プロダクトの導入やマネタイズの支援を行い、現在はPubMatic Japanのカスタマーサクセスチームのディレクターとして、ウェブメディア、アプリ、OTT/CTVにおけるビジネスを牽引。

 

 

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GumGum×TimeTree対談―ユーザーの「今」と「未来」に基づくターゲティングで切り拓く新境地[インタビュー] https://www.exchangewire.jp/2025/01/15/interview-gumgum-timetree/ <![CDATA[長野 雅俊]]> Wed, 15 Jan 2025 01:29:31 +0000 <![CDATA[Sponsored]]> <![CDATA[インタビュー]]> <![CDATA[クッキーレス]]> <![CDATA[クリエイティブ]]> <![CDATA[コンテクスチュアル広告]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84266 <![CDATA[

ウェブとアプリで広告の配信面こそ異なれど、Cookieレス、独自の広告クリエイティブ、ブランディング広告といった共通項を多く持つGumGumとTimeTree。オンライン広告の新境地を切り拓く両社の対談をお届けする。
(Sponsored by GumGum Japan)
 
今と未来のモーメントを捉える
 
奥村氏:今回は、まだ具体的なお取引こそないものの、共通点を多く有するGumGumとTimeTreeの対談の機会を設けさせていただきました。まずは各自の自己紹介から始めましょう。
 
新保氏: カレンダーシェアアプリの運営・開発を行う株式会社TimeTreeにて執行役員 マーケティングソリューション本部 本部長を務める新保 周と申します。約6,000万人のユーザーに対してカレンダー上で任意の日付を訴求できる広告商品「TimeTree Ads」を中心とした広告事業全体を統括しています。
 

 
村上氏 :同じく株式会社TimeTreeのマーケティングソリューション本部に所属する村上 安人です。広告事業との兼務でデータ・アナリストを務めています。
 
 
奥村氏 :改めまして、2024年11月にアカウントディレクターとしてGumGum Japanに参画した奥村 愛来留です。当社はコンテクスチュアルデータを活用したブランディング広告プラットフォームを世界的に展開しており、2021年にPlayground XYZ社を買収後はアテンション計測及び最適化サービスを併せて提供しています。
 

イ氏 :同じくGumGum Japanでアカウントマネージャーを務めるイ ジョンウクと申します。主にクリエイティブ制作やレポーティングを担当しています。
 
 
 
奥村氏:先ほどGumGumとTimeTreeでは共通点が多くあると申し上げましたが、最大の共通点は、現在のオンライン広告業界で主流となっているCookieを用いた過去のオンライン行動履歴に基づくユーザーターゲティングを行っていない点ではないかと思います。過去のオンライン行動履歴を依存すると、例えば3歳に成長した子どもを持つ親に対して新生児商品の広告を表示してしまうということが起こり得ます。
 
一方で、GumGumはコンテクスチュアルターゲティングを通じて「今」のユーザーのマインドセットに適した広告を、またTimeTreeはユーザーがカレンダーに記した「未来」に関連する広告を配信しているという点で大きく差別化できているのではないでしょうか。
 
新保氏:仰る通り、TimeTreeが2023年9月にリリースした「ターゲットデイ」は日付訴求を行うための広告商品であり、ECモールのセール開始日や映画の公開日といった未来の特定の日に合わせて広告が配信される仕組みです。
 
過去のオンライン行動履歴に依拠しないという点に加えて、適切なモーメントを捉えるターゲティング手法である点もGumGumとの共通点かと思いました。
 
奥村氏:日付訴求という独自の仕組みを通じて、広告主様にはどのような新しい価値を提供できるとお考えですか。
 

 
村上氏:潜在層に対して広告を配信できる点が特徴的です。多くの獲得系広告は商品やサービスを今にも購入しようとしているユーザーを刈り取る際に活用されていますが、日付訴求であれば購入検討前にユーザーに接触できるので、助成想起に相当するブランド認知を得やすいです。
 
イ氏:「ブラックフライデーにEコマースの広告が出る」というのが典型例ですよね。加えて、例えばお花見を想定して「桜の開花日にビールの広告が出る」とか「七五三の時期に合わせて小学生未満は無料となるレストランチェーンの広告が出る」といった組み合わせも面白いのではないかと思いました。
 
村上氏:「車検期間に合わせてタイヤ交換を案内」といった組み合わせもあり得ますよね。一口に「モーメント」と言っても、世の中全体のモーメントと個々人のモーメントがあります。前者に相当するカレンダー情報を主に扱うTimeTreeとユーザーごとのコンテキストを理解するGumGumのデータを掛け合わせると、日付訴求の活用法は広がっていくように思います。
 
奥村氏:GumGumが提供する予測データエンジンである「マインドセット・グラフ」を使えば、ブランドがどのような文脈で多くメンションされているのかを把握できます。例えば、スマートフォンメーカーの中でも、「カメラ」という文脈でたどり着く傾向のあるブランドと、「PC」に付随して連想されがちなブランドがあります。こうしたデータが日付訴求にも活用できるのではないでしょうか。
 
従来の効果指標は課題だらけ
 

 
奥村氏:TimeTreeでは「ターゲットデイ」の広告効果をどのように評価していますか。
 
村上氏:ブランドリフト調査を付帯しており、ブランド認知、日付認知、好意度、推奨度などを計測しています。一般的なブランディング広告であればブランド名や商品名などを対象とすることが多いと思いますが、ナショナルブランドの場合は既に十分に認知されているのでそれ以上はリフト値がなかなか向上しないといったことが往々にしてあります。
 
翻って、当社は日付とブランドをセットにして認知を広めることを目的としているので、ほぼ確実にリフト値が向上します。また日付に伴う具体的な行動につながりやすいブランディング広告という意味でも差別化できていると思います。
 
奥村氏:GumGumが注力しているアテンション指標についてはいかがお考えですか。
 

 
新保氏:CPAやCPIといった獲得指標と、認知度や好意度といったブランディング指標の間をつなぐ中間指標は確実に必要とされています。より正確には、いくつかの中間指標は存在しているものの、デファクトスタンダードがないというのが現状だと理解しています。
 
CPAやCPIといった獲得指標自体が、オーガニックでも獲得できていたユーザーをも計上してしまっている可能性があり、本当の意味で広告効果を示しているかというと疑問点が残ります。またブランドリフト調査はアンケート方式を採用するため、一定の費用と実施期間を必要とします。これらの課題を解決し得る新たな指標として、アテンション指標には注目しています。
 
イ氏:ブランドリフト調査結果とクリック率または視聴完了率の相関性が全く見い出せないような場合も少なくありません。またブランドリフト調査はキャンペーンが終了してから結果が出るまでに時間がかかるという課題があります。
 
アテンション指標はブランドリフト調査における好感度向上などとの相関性が高いことが分かってきており、またブランドリフト調査の結果を待たずともクリエイティブや運用の最適化に活用しやすいという特長があります。
 
奥村氏:中間指標としてはこれまでビューアビリティが用いられてきましたが、あくまでも広告が表示される可能性を測るための指標であり、広告が実際に見られたかどうかまでは分かりません。実際にはユーザーの目には留まりにくいサイズの小さな広告のビューアビリティが高くなる傾向にあるといった問題があります。一方のアテンション指標であれば本当にユーザーが目にしたかどうかを計測することができます。
 

 
村上氏:結局のところ、ブランドリフト調査は結果論または答え合わせなんですよね。アテンション指標を活用することで最適な広告クリエイティブやモーメントを発見できるようになれば助かります。
 
奥村氏:GumGumでは異なる広告クリエイティブごとのアテンションを計測するCreative Attention Tracker(CAT)というツールをご用意しています。TimeTreeでは、広告クリエイティブについて特にどのような点に配慮されていますか。
 
新保氏:ユーザー体験に悪影響を与えないという点には相当こだわっています。不快な広告を出しても良いことは何もないですよね。配信面としてはユーザーは減るし、広告主は嫌われてしまうし。
 
またこれだけオンライン広告が溢れていると、普通のバナー広告はユーザーの目に入りません。少し凝ったクリエイティブの方が受け入れられやすいと思います。
 
ちなみにTimeTreeで、ある大手ゲームアプリのイベント企画に合わせてキャラクターのアニメーションを表示したところ、Xで「これは本当に広告なのか、すごい」といった好意的なコメントが50件ほど投稿されました。このようにユーザーが積極的に受け入れてくれるような広告クリエイティブが理想的です。
 
村上氏:私はデータ・アナリストを兼務しているので、ユーザーのセグメントを作成する業務にも携わっていますが、ユーザーにより良い広告体験を提供するために、広告商材と予定データが適切にマッチングできるかどうかは配慮しています。
 
イ氏:例えば人気キャラクターを動画広告クリエイティブに含める場合でも、動画の前半または後半に配置するかによってアテンションは大きく変わり得ます。そもそも広告枠の小さなスペースで表現すること自体が難しく、キャラクターを大々的に使えば良いというものでもない。良い案配を見つけるのは本当に難しいです。
 
オンライン広告の常識を覆す
 
奥村氏:ブランディング広告の役割についてご意見をいただけますか。
 
新保氏:クリック計測などが可能であるため獲得施策として活用されやすいデジタル広告ですが、本来は潜在層から顕在層への転換にも有効活用し得ると考えています。
 
奥村氏:CPAやCPIといった指標ばかりを追い求めると、ヘビーユーザー層の刈り取りばかりを行うようになるので、ユーザー規模が一向に拡大しません。その結果として、CPAなりCPIはいずれ上振れしていくことになります。だからこそ、ブランディング施策も同時並行的に実施する必要があります。
 

 
イ氏:テレビCMや新聞広告でマスリーチが取れなくなってきたので、代わって大量のユーザーが集まるSNSや動画共有プラットフォームがブランディング目的にも活用されるようになってきました。またこれらウォールドガーデンが有するユーザー情報がターゲティング手段として高く評価されていますが、お父さんのアカウントを使って子どもが動画広告を視聴しているといったような例も多くあると言われており、不透明感はぬぐい切れません。
 
実際にはユーザーは一日の半分以上の時間をそれ以外のオープンウェブに費やしています。中でもTimeTreeのようなカレンダーは老若男女問わず誰もが利用し得るものなので、広く認知を獲得する上では非常に有効なのではないでしょうか。
 
奥村氏:これまでの常識を覆す広告の在り方を目指す中で、特にどのような点で苦労されましたか。
 
新保氏:最近になってようやくいくつかの広告主様の取り組み事例が出てきたので、その他の広告主様にもご案内がしやすくなってきましたが、やはり事業立ち上げ時に日付訴求という新しい枠組みをご理解いただくまでには苦労しました。
 
広告主様や広告代理店様に50社ほどヒアリングを実施したのですが、20社を超えたあたりからご要望やご意見の共通性を見出せるようになってきて、ある程度の見通しが立ってきたような気がします。
 
奥村氏:今後はどのような展開を行っていく予定ですか。
 

 
新保氏:やはり当社にしかできないサービスを生み出していきたいです。一例として、ビールメーカーが「毎週金曜日をビールの日」として訴求する場合などに活用できる「習慣化広告」の実証実験を行っている最中にあります。またSNSで活用されるスタンプ機能のような、ユーザーがカレンダーをデコレーションできる「ステッカー」を開発し、カレンダーの日付上にイラストで表現するマーケティングソリューションも今後はご提供できたらと思っています。
 
村上氏:加えて外部データ連携を進めていき、今後はGumGumを含めた他の広告プラットフォームへ外部配信する仕組みも整備していきたいです。
 
新保氏:GumGumもアテンションという新たな指標を啓蒙していくのはきっと大変だと思いますが、新たな中間指標は確実に必要とされています。ぜひとも頑張っていただきたいです。
 
奥村氏:本日の対談を通じて、TimeTreeの取り組みには多くの共感を覚えました。ユーザー体験を最優先に考えた広告のあり方や、モーメントを大切にした独自の発想は、私たちGumGumの目指す方向性とも深く通じ合っています。
 
特に、GumGumが注力するアテンション指標は、広告が本当にユーザーに見られているかを測る新しい基準として、広告の質を向上させる可能性を秘めています。また、両社が提供する新しい広告フォーマットは、ユーザー体験を損なわず、適切なモーメントを捉える革新的な手法だと改めて感じました。
 
本日の議論を通じて、広告の未来を考える上で多くのヒントを得ることができました。今後も共に挑戦を続けていきましょう。本日はありがとうございました。
 
<関連リンク>
 
▼ ブランディングを躍動させる広告プラットフォーム「GumGum」ウェブサイト :
https://ja.gumgum.com/
 
▼ 「予定」にターゲティングできる広告ソリューション「TimeTreeAds」:
https://timetreeapp.com/intl/ja/ads
 
▼ TimeTreeの共有カレンダーを飾る「ステッカー機能」:
https://timetreeapp.com/intl/ja/newsroom/2024-12-06/sticker-release

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ウェブとアプリで広告の配信面こそ異なれど、Cookieレス、独自の広告クリエイティブ、ブランディング広告といった共通項を多く持つGumGumとTimeTree。オンライン広告の新境地を切り拓く両社の対談をお届けする。

(Sponsored by GumGum Japan)

 

今と未来のモーメントを捉える

 

奥村氏:今回は、まだ具体的なお取引こそないものの、共通点を多く有するGumGumとTimeTreeの対談の機会を設けさせていただきました。まずは各自の自己紹介から始めましょう。

 

新保氏: カレンダーシェアアプリの運営・開発を行う株式会社TimeTreeにて執行役員 マーケティングソリューション本部 本部長を務める新保 周と申します。約6,000万人のユーザーに対してカレンダー上で任意の日付を訴求できる広告商品「TimeTree Ads」を中心とした広告事業全体を統括しています。

 

 

村上氏 :同じく株式会社TimeTreeのマーケティングソリューション本部に所属する村上 安人です。広告事業との兼務でデータ・アナリストを務めています。

 

 

奥村氏 :改めまして、2024年11月にアカウントディレクターとしてGumGum Japanに参画した奥村 愛来留です。当社はコンテクスチュアルデータを活用したブランディング広告プラットフォームを世界的に展開しており、2021年にPlayground XYZ社を買収後はアテンション計測及び最適化サービスを併せて提供しています。

 

イ氏 :同じくGumGum Japanでアカウントマネージャーを務めるイ ジョンウクと申します。主にクリエイティブ制作やレポーティングを担当しています。

 

 

 

奥村氏:先ほどGumGumとTimeTreeでは共通点が多くあると申し上げましたが、最大の共通点は、現在のオンライン広告業界で主流となっているCookieを用いた過去のオンライン行動履歴に基づくユーザーターゲティングを行っていない点ではないかと思います。過去のオンライン行動履歴を依存すると、例えば3歳に成長した子どもを持つ親に対して新生児商品の広告を表示してしまうということが起こり得ます。

 

一方で、GumGumはコンテクスチュアルターゲティングを通じて「今」のユーザーのマインドセットに適した広告を、またTimeTreeはユーザーがカレンダーに記した「未来」に関連する広告を配信しているという点で大きく差別化できているのではないでしょうか。

 

新保氏:仰る通り、TimeTreeが2023年9月にリリースした「ターゲットデイ」は日付訴求を行うための広告商品であり、ECモールのセール開始日や映画の公開日といった未来の特定の日に合わせて広告が配信される仕組みです。

 

過去のオンライン行動履歴に依拠しないという点に加えて、適切なモーメントを捉えるターゲティング手法である点もGumGumとの共通点かと思いました。

 

奥村氏:日付訴求という独自の仕組みを通じて、広告主様にはどのような新しい価値を提供できるとお考えですか。

 

 

村上氏:潜在層に対して広告を配信できる点が特徴的です。多くの獲得系広告は商品やサービスを今にも購入しようとしているユーザーを刈り取る際に活用されていますが、日付訴求であれば購入検討前にユーザーに接触できるので、助成想起に相当するブランド認知を得やすいです。

 

イ氏:「ブラックフライデーにEコマースの広告が出る」というのが典型例ですよね。加えて、例えばお花見を想定して「桜の開花日にビールの広告が出る」とか「七五三の時期に合わせて小学生未満は無料となるレストランチェーンの広告が出る」といった組み合わせも面白いのではないかと思いました。

 

村上氏:「車検期間に合わせてタイヤ交換を案内」といった組み合わせもあり得ますよね。一口に「モーメント」と言っても、世の中全体のモーメントと個々人のモーメントがあります。前者に相当するカレンダー情報を主に扱うTimeTreeとユーザーごとのコンテキストを理解するGumGumのデータを掛け合わせると、日付訴求の活用法は広がっていくように思います。

 

奥村氏:GumGumが提供する予測データエンジンである「マインドセット・グラフ」を使えば、ブランドがどのような文脈で多くメンションされているのかを把握できます。例えば、スマートフォンメーカーの中でも、「カメラ」という文脈でたどり着く傾向のあるブランドと、「PC」に付随して連想されがちなブランドがあります。こうしたデータが日付訴求にも活用できるのではないでしょうか。

 

従来の効果指標は課題だらけ

 

 

奥村氏:TimeTreeでは「ターゲットデイ」の広告効果をどのように評価していますか。

 

村上氏:ブランドリフト調査を付帯しており、ブランド認知、日付認知、好意度、推奨度などを計測しています。一般的なブランディング広告であればブランド名や商品名などを対象とすることが多いと思いますが、ナショナルブランドの場合は既に十分に認知されているのでそれ以上はリフト値がなかなか向上しないといったことが往々にしてあります。

 

翻って、当社は日付とブランドをセットにして認知を広めることを目的としているので、ほぼ確実にリフト値が向上します。また日付に伴う具体的な行動につながりやすいブランディング広告という意味でも差別化できていると思います。

 

奥村氏:GumGumが注力しているアテンション指標についてはいかがお考えですか。

 

 

新保氏:CPAやCPIといった獲得指標と、認知度や好意度といったブランディング指標の間をつなぐ中間指標は確実に必要とされています。より正確には、いくつかの中間指標は存在しているものの、デファクトスタンダードがないというのが現状だと理解しています。

 

CPAやCPIといった獲得指標自体が、オーガニックでも獲得できていたユーザーをも計上してしまっている可能性があり、本当の意味で広告効果を示しているかというと疑問点が残ります。またブランドリフト調査はアンケート方式を採用するため、一定の費用と実施期間を必要とします。これらの課題を解決し得る新たな指標として、アテンション指標には注目しています。

 

イ氏:ブランドリフト調査結果とクリック率または視聴完了率の相関性が全く見い出せないような場合も少なくありません。またブランドリフト調査はキャンペーンが終了してから結果が出るまでに時間がかかるという課題があります。

 

アテンション指標はブランドリフト調査における好感度向上などとの相関性が高いことが分かってきており、またブランドリフト調査の結果を待たずともクリエイティブや運用の最適化に活用しやすいという特長があります。

 

奥村氏:中間指標としてはこれまでビューアビリティが用いられてきましたが、あくまでも広告が表示される可能性を測るための指標であり、広告が実際に見られたかどうかまでは分かりません。実際にはユーザーの目には留まりにくいサイズの小さな広告のビューアビリティが高くなる傾向にあるといった問題があります。一方のアテンション指標であれば本当にユーザーが目にしたかどうかを計測することができます。

 

 

村上氏:結局のところ、ブランドリフト調査は結果論または答え合わせなんですよね。アテンション指標を活用することで最適な広告クリエイティブやモーメントを発見できるようになれば助かります。

 

奥村氏:GumGumでは異なる広告クリエイティブごとのアテンションを計測するCreative Attention Tracker(CAT)というツールをご用意しています。TimeTreeでは、広告クリエイティブについて特にどのような点に配慮されていますか。

 

新保氏:ユーザー体験に悪影響を与えないという点には相当こだわっています。不快な広告を出しても良いことは何もないですよね。配信面としてはユーザーは減るし、広告主は嫌われてしまうし。

 

またこれだけオンライン広告が溢れていると、普通のバナー広告はユーザーの目に入りません。少し凝ったクリエイティブの方が受け入れられやすいと思います。

 

ちなみにTimeTreeで、ある大手ゲームアプリのイベント企画に合わせてキャラクターのアニメーションを表示したところ、Xで「これは本当に広告なのか、すごい」といった好意的なコメントが50件ほど投稿されました。このようにユーザーが積極的に受け入れてくれるような広告クリエイティブが理想的です。

 

村上氏:私はデータ・アナリストを兼務しているので、ユーザーのセグメントを作成する業務にも携わっていますが、ユーザーにより良い広告体験を提供するために、広告商材と予定データが適切にマッチングできるかどうかは配慮しています。

 

イ氏:例えば人気キャラクターを動画広告クリエイティブに含める場合でも、動画の前半または後半に配置するかによってアテンションは大きく変わり得ます。そもそも広告枠の小さなスペースで表現すること自体が難しく、キャラクターを大々的に使えば良いというものでもない。良い案配を見つけるのは本当に難しいです。

 

オンライン広告の常識を覆す

 

奥村氏:ブランディング広告の役割についてご意見をいただけますか。

 

新保氏:クリック計測などが可能であるため獲得施策として活用されやすいデジタル広告ですが、本来は潜在層から顕在層への転換にも有効活用し得ると考えています。

 

奥村氏:CPAやCPIといった指標ばかりを追い求めると、ヘビーユーザー層の刈り取りばかりを行うようになるので、ユーザー規模が一向に拡大しません。その結果として、CPAなりCPIはいずれ上振れしていくことになります。だからこそ、ブランディング施策も同時並行的に実施する必要があります。

 

 

イ氏:テレビCMや新聞広告でマスリーチが取れなくなってきたので、代わって大量のユーザーが集まるSNSや動画共有プラットフォームがブランディング目的にも活用されるようになってきました。またこれらウォールドガーデンが有するユーザー情報がターゲティング手段として高く評価されていますが、お父さんのアカウントを使って子どもが動画広告を視聴しているといったような例も多くあると言われており、不透明感はぬぐい切れません。

 

実際にはユーザーは一日の半分以上の時間をそれ以外のオープンウェブに費やしています。中でもTimeTreeのようなカレンダーは老若男女問わず誰もが利用し得るものなので、広く認知を獲得する上では非常に有効なのではないでしょうか。

 

奥村氏:これまでの常識を覆す広告の在り方を目指す中で、特にどのような点で苦労されましたか。

 

新保氏:最近になってようやくいくつかの広告主様の取り組み事例が出てきたので、その他の広告主様にもご案内がしやすくなってきましたが、やはり事業立ち上げ時に日付訴求という新しい枠組みをご理解いただくまでには苦労しました。

 

広告主様や広告代理店様に50社ほどヒアリングを実施したのですが、20社を超えたあたりからご要望やご意見の共通性を見出せるようになってきて、ある程度の見通しが立ってきたような気がします。

 

奥村氏:今後はどのような展開を行っていく予定ですか。

 

 

新保氏:やはり当社にしかできないサービスを生み出していきたいです。一例として、ビールメーカーが「毎週金曜日をビールの日」として訴求する場合などに活用できる「習慣化広告」の実証実験を行っている最中にあります。またSNSで活用されるスタンプ機能のような、ユーザーがカレンダーをデコレーションできる「ステッカー」を開発し、カレンダーの日付上にイラストで表現するマーケティングソリューションも今後はご提供できたらと思っています。

 

村上氏:加えて外部データ連携を進めていき、今後はGumGumを含めた他の広告プラットフォームへ外部配信する仕組みも整備していきたいです。

 

新保氏:GumGumもアテンションという新たな指標を啓蒙していくのはきっと大変だと思いますが、新たな中間指標は確実に必要とされています。ぜひとも頑張っていただきたいです。

 

奥村氏:本日の対談を通じて、TimeTreeの取り組みには多くの共感を覚えました。ユーザー体験を最優先に考えた広告のあり方や、モーメントを大切にした独自の発想は、私たちGumGumの目指す方向性とも深く通じ合っています。

 

特に、GumGumが注力するアテンション指標は、広告が本当にユーザーに見られているかを測る新しい基準として、広告の質を向上させる可能性を秘めています。また、両社が提供する新しい広告フォーマットは、ユーザー体験を損なわず、適切なモーメントを捉える革新的な手法だと改めて感じました。

 

本日の議論を通じて、広告の未来を考える上で多くのヒントを得ることができました。今後も共に挑戦を続けていきましょう。本日はありがとうございました。

 

<関連リンク>

 

▼ ブランディングを躍動させる広告プラットフォーム「GumGum」ウェブサイト :

https://ja.gumgum.com/

 

▼ 「予定」にターゲティングできる広告ソリューション「TimeTreeAds」:

https://timetreeapp.com/intl/ja/ads

 

▼ TimeTreeの共有カレンダーを飾る「ステッカー機能」:

https://timetreeapp.com/intl/ja/newsroom/2024-12-06/sticker-release

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インターネット広告の配信に関する課題に向き合おう―ATS Tokyo 2024イベントレポート https://www.exchangewire.jp/2025/01/08/news-atstokyo2024-session-report-onlinead/ <![CDATA[町田貢輝]]> Tue, 07 Jan 2025 23:00:00 +0000 <![CDATA[ATS Tokyo 2024]]> <![CDATA[DSP]]> <![CDATA[Publisher]]> <![CDATA[イベントレポート]]> <![CDATA[プラットフォーム]]> <![CDATA[媒体社]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84023 <![CDATA[

デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。
 
「インターネット広告の配信に関する課題に向き合おう」と題した本セッションには、
株式会社神戸新聞社 デジタル推進局 データ戦略部 部長 初瀬川 文範氏、株式会社良品計画 オープンコミュニケーション部 長谷部 貴洋氏、popIn株式会社 ディスカバリー事業部 セールスマネージャー 吉田 凌氏、モデレーターとしてExchangeWire JAPAN 編集長 野下 智之が登壇した。
 
ディスカッション形式で行われた本講演では、広告予算の7割がウォールドガーデンに集中している一方、消費者は多くの時間をオープンインターネットで過ごしており、広告予算に大きな偏りが生じているという課題が提起された。
 
モデレーターの野下から「ウォールドガーデンとオープンインターネットの出稿比率は?」という質問に対し、無印良品を展開する株式会社良品計画の長谷部氏は、良品計画は現在、ほぼオープンインターネットへの出稿をせず、ウォールドガーデンに予算を集中していると回答。その理由として
「オープンインターネットは、配信面、配信フォーマットの両方で、適切な場所に広告が表示されるようにコントロールすることが難しいという懸念点があります。具体的に社内で話題になるのは、閉じるボタンが押しにくいインタースティシャル広告や、クリックを促すようなフローティングバナー広告です。これらの配信方法は、我々が意図しているお客様への広告体験とは違うと認識しています。こういった方法で広告が表示されないようにするため、管理のしやすいウォールドガーデンに重点的に出稿しています」
と説明した。
 

株式会社良品計画 オープンコミュニケーション部 長谷部 貴洋氏
 
しかし一方で、長谷部氏はウォールドガーデンであっても管理の難しさに触れ、
「YouTubeで意図しない動画に広告配信されていた事例があり、アドベリフィケーション(広告検証)ツールの導入が早まりました」と報告した。
 
長谷部氏の話を受け、広告枠を販売する媒体社の立場である株式会社神戸新聞社の初瀬川氏は、
「例えば、長谷部氏のお話にあったインタースティシャル広告、フローティングバナー広告について、既存のバナー広告比べ収益が高いという結論に至った場合、『インタースティシャル広告だけ残して、他の広告形式はすべて廃止しよう』という議論になりかねません。実際に私どもの社内で近しい議論を行ったこともありました。しかしながら、出稿側から見ると、望ましくないフォーマットと判断されるケースがあると初めて知りました。このように、出稿者と媒体社で全く逆の考えを持っていたという課題を、改めて痛感しています。」
と、率直な感想を述べた。
 
 

株式会社神戸新聞社 デジタル推進局 データ戦略部 部長 初瀬川 文範氏
 
さらに、モデレーターの野下から株式会社神戸新聞社のPMP(プライベート・マーケット・プレイス)の取り組み状況について情報を求められると
「弊社で運営しているメディアの中では、デイリースポーツが最も取り組みやすいと考えておりまして、オリンピックやWBC、ワールドカップなど、スポーツが盛り上がるタイミングに合わせてしっかりとセールスができるよう、オープンオークションでは実現が難しいフォーマットなどに工夫を凝らし、より魅力的な広告枠の提供に取り組んでいます。」
と報告した。
 
2人の話を聞いて広告配信業者であるpopIn株式会社の吉田氏は、
「配信クリエイティブの審査や配信先メディアの管理について、弊社ではシステム的な対応に加え、人海戦術によるチェックも行い可能な限りの対応を実施しています。
しかしながら、広告配信のエコシステムには広告主、代理店、SSP、DSP、メディアと多くのプレイヤーが携わっています。弊社単体で対応できる部分にも限界があり、やはりオープンインターネットの業界全体として健全化に取り組む必要性を感じています。もちろん、弊社として本件に関する取り組みは最重要事項として認識しており、全社一丸となって最大限の努力をして参ります。」
と、業界全体の課題を述べた。
 

popIn株式会社 ディスカバリー事業部 セールスマネージャー 吉田 凌氏
 
続いてモデレーターの野下から「AIが進化することによって、適切なクリエイティブの選択や、広告配信場所の最適化などが可能になれば、オープンインターネットであっても、安全に広告配信ができるようになるのでは?」という質問に対して、長谷部氏は広告配信業者として、3つの課題を解決できれば、オープンインターネットにおける広告配信はより魅力的になるとし、以下3つの考えを提示した。
1つ目は、配信先が開示されていて、大きなクリエイティブサイズの在庫が豊富であること。
2つ目は、媒体を横断してFQをコントロールができて、パス分析もできること。
3つ目は、同じ指標でもウォールドガーデンとオープンインターネットの違いを見出すこと。
 
3つ目に関しては、ウォールドガーデン内の媒体で動画広告を配信するにあたっても、視聴完了単価で見ると某媒体が安いが、CPCで見ると他媒体の方が安いケースが多いとのこと。このように媒体によって顧客の利用状況が異なる中で、同じKPIで比べて正しく媒体評価ができるのか?ということには疑問があるとし、「こういった視点でオープンインターネットもアプローチできれば、可能性を見出せるかもしれない」と期待を述べた。
 
さらにpopIn株式会社の吉田氏は、
「ウォールドガーデンの話に戻りますが、『ウォールドガーデンは広告表示のコントロールが容易』という話だったと思います。ただ現状、ウォールドガーデンであっても広告効果を可視化する情報を渡し切れていません。我々DSPはウォールドガーデン、オープンインターネットの双方でしっかりとこの問題に対応し、広告主、媒体社ニーズに答えることが、『デジタル広告の活用』ということにおいて重要なのだと考えています」
と述べた。
そして最後、吉田氏はインターネット広告の配信に関する課題に向き合う方法として、パブリッシャー、広告主、プラットフォーマー、そして代理店といった広告に関わる事業者がしっかりと腹を割って話し合うことを提案。
「こういう枠にこういう広告を。このタイミング、このフォーマットで出そう! というような感じで、広告の売り手も買い手も関係なく、広告に関わる事業者の皆様と、今後の広告の方向性やルールを話し合えるといいなと思っています。ATS TOKYOのような場所は、まさに話し合うにはうってつけの場所ですので、ぜひ皆さんお話ししましょう!」
と締めくくった。

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デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。

 

「インターネット広告の配信に関する課題に向き合おう」と題した本セッションには、
株式会社神戸新聞社 デジタル推進局 データ戦略部 部長 初瀬川 文範氏、株式会社良品計画 オープンコミュニケーション部 長谷部 貴洋氏、popIn株式会社 ディスカバリー事業部 セールスマネージャー 吉田 凌氏、モデレーターとしてExchangeWire JAPAN 編集長 野下 智之が登壇した。

 

ディスカッション形式で行われた本講演では、広告予算の7割がウォールドガーデンに集中している一方、消費者は多くの時間をオープンインターネットで過ごしており、広告予算に大きな偏りが生じているという課題が提起された。

 

モデレーターの野下から「ウォールドガーデンとオープンインターネットの出稿比率は?」という質問に対し、無印良品を展開する株式会社良品計画の長谷部氏は、良品計画は現在、ほぼオープンインターネットへの出稿をせず、ウォールドガーデンに予算を集中していると回答。その理由として
「オープンインターネットは、配信面、配信フォーマットの両方で、適切な場所に広告が表示されるようにコントロールすることが難しいという懸念点があります。具体的に社内で話題になるのは、閉じるボタンが押しにくいインタースティシャル広告や、クリックを促すようなフローティングバナー広告です。これらの配信方法は、我々が意図しているお客様への広告体験とは違うと認識しています。こういった方法で広告が表示されないようにするため、管理のしやすいウォールドガーデンに重点的に出稿しています」
と説明した。

 

株式会社良品計画 オープンコミュニケーション部 長谷部 貴洋氏

 

しかし一方で、長谷部氏はウォールドガーデンであっても管理の難しさに触れ、
「YouTubeで意図しない動画に広告配信されていた事例があり、アドベリフィケーション(広告検証)ツールの導入が早まりました」と報告した。

 

長谷部氏の話を受け、広告枠を販売する媒体社の立場である株式会社神戸新聞社の初瀬川氏は、
「例えば、長谷部氏のお話にあったインタースティシャル広告、フローティングバナー広告について、既存のバナー広告比べ収益が高いという結論に至った場合、『インタースティシャル広告だけ残して、他の広告形式はすべて廃止しよう』という議論になりかねません。実際に私どもの社内で近しい議論を行ったこともありました。しかしながら、出稿側から見ると、望ましくないフォーマットと判断されるケースがあると初めて知りました。このように、出稿者と媒体社で全く逆の考えを持っていたという課題を、改めて痛感しています。」
と、率直な感想を述べた。

 

 

株式会社神戸新聞社 デジタル推進局 データ戦略部 部長 初瀬川 文範氏

 

さらに、モデレーターの野下から株式会社神戸新聞社のPMP(プライベート・マーケット・プレイス)の取り組み状況について情報を求められると
「弊社で運営しているメディアの中では、デイリースポーツが最も取り組みやすいと考えておりまして、オリンピックやWBC、ワールドカップなど、スポーツが盛り上がるタイミングに合わせてしっかりとセールスができるよう、オープンオークションでは実現が難しいフォーマットなどに工夫を凝らし、より魅力的な広告枠の提供に取り組んでいます。」
と報告した。

 

2人の話を聞いて広告配信業者であるpopIn株式会社の吉田氏は、
「配信クリエイティブの審査や配信先メディアの管理について、弊社ではシステム的な対応に加え、人海戦術によるチェックも行い可能な限りの対応を実施しています。
しかしながら、広告配信のエコシステムには広告主、代理店、SSP、DSP、メディアと多くのプレイヤーが携わっています。弊社単体で対応できる部分にも限界があり、やはりオープンインターネットの業界全体として健全化に取り組む必要性を感じています。もちろん、弊社として本件に関する取り組みは最重要事項として認識しており、全社一丸となって最大限の努力をして参ります。」
と、業界全体の課題を述べた。

 

popIn株式会社 ディスカバリー事業部 セールスマネージャー 吉田 凌氏

 

続いてモデレーターの野下から「AIが進化することによって、適切なクリエイティブの選択や、広告配信場所の最適化などが可能になれば、オープンインターネットであっても、安全に広告配信ができるようになるのでは?」という質問に対して、長谷部氏は広告配信業者として、3つの課題を解決できれば、オープンインターネットにおける広告配信はより魅力的になるとし、以下3つの考えを提示した。

1つ目は、配信先が開示されていて、大きなクリエイティブサイズの在庫が豊富であること。
2つ目は、媒体を横断してFQをコントロールができて、パス分析もできること。
3つ目は、同じ指標でもウォールドガーデンとオープンインターネットの違いを見出すこと。

 

3つ目に関しては、ウォールドガーデン内の媒体で動画広告を配信するにあたっても、視聴完了単価で見ると某媒体が安いが、CPCで見ると他媒体の方が安いケースが多いとのこと。このように媒体によって顧客の利用状況が異なる中で、同じKPIで比べて正しく媒体評価ができるのか?ということには疑問があるとし、「こういった視点でオープンインターネットもアプローチできれば、可能性を見出せるかもしれない」と期待を述べた。

 

さらにpopIn株式会社の吉田氏は、
「ウォールドガーデンの話に戻りますが、『ウォールドガーデンは広告表示のコントロールが容易』という話だったと思います。ただ現状、ウォールドガーデンであっても広告効果を可視化する情報を渡し切れていません。我々DSPはウォールドガーデン、オープンインターネットの双方でしっかりとこの問題に対応し、広告主、媒体社ニーズに答えることが、『デジタル広告の活用』ということにおいて重要なのだと考えています」
と述べた。

そして最後、吉田氏はインターネット広告の配信に関する課題に向き合う方法として、パブリッシャー、広告主、プラットフォーマー、そして代理店といった広告に関わる事業者がしっかりと腹を割って話し合うことを提案。
「こういう枠にこういう広告を。このタイミング、このフォーマットで出そう! というような感じで、広告の売り手も買い手も関係なく、広告に関わる事業者の皆様と、今後の広告の方向性やルールを話し合えるといいなと思っています。ATS TOKYOのような場所は、まさに話し合うにはうってつけの場所ですので、ぜひ皆さんお話ししましょう!」
と締めくくった。

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ペルソナとは?単なるデータを超えた価値 https://www.exchangewire.jp/2025/01/06/column-ogury-personified-advertising/ <![CDATA[WireColumn]]> Mon, 06 Jan 2025 02:47:15 +0000 <![CDATA[Marketer]]> <![CDATA[Martech]]> <![CDATA[Sponsored]]> <![CDATA[WireColumn]]> <![CDATA[ターゲティング]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84249 <![CDATA[

40年近くにわたってマーケティング戦略の基盤を支える存在である「ペルソナ」。「ペルソナ」の語源はラテン語の”仮面”を意味する心理学の用語として使われていました。
その概念は、人口統計だけでは見えない対象グループの特徴となる”シグナル”を発見し、消費者の意思決定を左右する動機、関心、行動を掘り下げる目的で企業におけるマーケティング活動において広く採用されるようになりました。
(Sponsored by Ogury)
 
ペルソナの起源
 
「Kathy(キャシー)」が世界で初めて設定されたペルソナ、と言われています。1985年、ソフトウェアデザイナーの Alan Cooper が、既存顧客のニーズ、嗜好、悩み、課題に対処するソフトウェアを構築する目的で生み出しました。こうしたアプローチはユーザー重視のマーケティングの設計方法を大きく変化させることとなり、1990年代初頭までに、ペルソナベースのマーケティング手法は一般的なものとなりました。多種多様な生活者の価値観に対応するためにも、属性や性別などの人口統計データだけでは対応しきれなくなっていったことが背景にあったようです。
 
例えばこちらの2人の著名人を見ると、ペルソナの重要さが分かる例です。2人とも年齢や属性、居住地や同じ境遇であったとしても、全く異なる性格やキャラクターであることが分かります。ペルソナの語源が持つ”仮面”という意味と同じく、潜在的な個性と共にどのような自己表現をするかによってそれぞれ際立った特徴が表れます。
多種多様な価値観を持つインクルーシブな世界を生きる現代人においては、性別や年代、仕事の種類などの属性情報のみで人格や価値観を知ることはできません。
それぞれの人格を正しく理解するためには、より広く深い情報を集めることで本質を捉えることが重要です。
 

 
 
現代におけるペルソナとは
 
直近約10年間にわたって、デジタル技術が進むことにより、”ハイパー・パーソナライゼーション”と呼ばれる、必要以上に生活者に関わる個人情報を特定する動きが加速してきました。結果として、ユーザーと企業側との距離感を見誤ってしまう現象が起きてしまい、インターネットの環境が健全とは呼べない状態になることもありました。
それを受けて、プラットフォーマーによる自主規制や、改正個人情報保護法などによる社会的な潮流に後押しされる形で、今では企業の経済活動においてユーザーのプライバシーを尊重する考え方は常識となっています。
Ogury(オグリー)は、ペルソナターゲティング広告(Personified Advertising)を活用し、個人ではなくペルソナに向けて広告配信を行います。従来型のデジタルマーケティングは、広告の配信対象を決める時にクッキーやIDをベースにしていました。それに対してペルソナマーケティングは、統計学に基づく調査データや配信面の文字情報や文脈をロジックに活用しています。
 
 
ペルソナを構築するゼロパーティデータ
 
以下に、実際の機能や作用を示す例をご紹介します:
 

 
東京を旅行している人たちをマーケティング活動におけるターゲットにするとしましょう。2人の旅行者は同じエリアにいて、1人は日本文化や芸能に関心があり、もう1人は日本のエンタメを楽しみたいと考えています。人口統計データだけではこうした微妙な違いを捉えることは困難ですが、ペルソナなら可能です。
 
たとえば、「日本のエンタメ愛好者」を例に取ってみます。「流行の飲食スポットに行きたいですか?」や「コンサートやフェスティバルに参加したいですか?」といった調査質問への回答を含め、豊富なデータから編み出されています。こうした独自の調査結果をベースにしたインサイトは表面的な人口統計を超え、ペルソナの解像度を上げて顧客理解を立体的に捉えることが出来ます。
こういったユーザーが自主的に提供するデータをファースト・パーティーデータと呼びます。
2018年に Forrester がデータ活用における未来予測に関するレポートにおいて命名したゼロパーティデータは、生活者が調査やインセンティブが有るキャンペーンなどの手段で、自主的かつ積極的に企業と共有するものの、匿名性が保たれる情報を指します。
生活者の関心や興味をその他の行動から導き出す推定データとは異なり、ゼロパーティデータは決定論的で、生活者から直接的に嗜好や購入意思についての正確なインサイトを提示します。
生活者が車についてのネット記事を読んでいる場合、推定データだと、ユーザーが新車購入を考えているのではないかと推測するかもしれません。しかし、同じユーザーが12か月以内に車を購入するつもりであるという調査結果で明らかになると、購入意欲が高いユーザー群を捉えることが可能となります。
 
Ogury では、独自にゼロパーティデータを自己申告制の顧客調査から収集しており、嗜好データ、購入意思、個人的な状況、そして生活者がどのくらいブランドを認知しているか把握することができます。そうした精密なデータは、それぞれのキャンペーンや商品設計でペルソナを形成する時に重要な役割を果たします。
こうした明瞭で合意に基づくデータこそゼロパーティデータが、ユーザーが意識せずとも使われてしまっているその他の2nd、3rdパーティーデータとの大きく異なる点です。
実はこのゼロパーティーデータは、まだまだ市場で有効に活用されているとは言えない状況です。Forrester によると、マーケターの82%近くがゼロパーティデータを利用しており、そのうち42%が、ゼロパーティデータを戦略的に活用する方法が分からないと回答しています。
Oguryのゼロパーティデータを活用したペルソナターゲティング広告は、ユーザーのプライバシーを尊重した新しい活用法の一つと言えます。
 
急速に進化したデジタルマーケティングによって、ユーザーのデータを必要以上に取得してしまった結果、ブランドと生活者との距離感を見誤ってしまうケースが出てきました。プライバシーを尊重したユーザー像の導き出す方法としてペルソナに焦点が当てられる良いタイミングが、まさにこの時です。
 
企業活動に関わる多くの方が、大なり小なりペルソナに関わっていると思います。学術的なアプローチや属人的な方法を用いて、どのような人に商品やサービスを使ってもらうかを模索する中で、マーケティングにおける永遠の課題である”顧客理解”の手段として、「ペルソナ」の重要性を再認識しそれを活用していくことが、今後の成功の鍵になると考えています。
 

コラム執筆者
 
松本 亮
Ogury Japan, Country Manager
 
L’Oréal、BMW、Johnson&Johnsonなどでブランドマーケティングやカスタマーマーケティングに従事。2014年からCriteoでアジア太平洋担当のマーケティング・マネージャーとして事業拡大に貢献したのち、GumGumの日本ローンチを担当し、クッキーレス広告市場の創出と拡大をけん引した。2022年4月より現職。

 
 

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40年近くにわたってマーケティング戦略の基盤を支える存在である「ペルソナ」。「ペルソナ」の語源はラテン語の”仮面”を意味する心理学の用語として使われていました。
その概念は、人口統計だけでは見えない対象グループの特徴となる”シグナル”を発見し、消費者の意思決定を左右する動機、関心、行動を掘り下げる目的で企業におけるマーケティング活動において広く採用されるようになりました。

(Sponsored by Ogury)

 

ペルソナの起源

 

「Kathy(キャシー)」が世界で初めて設定されたペルソナ、と言われています。1985年、ソフトウェアデザイナーの Alan Cooper が、既存顧客のニーズ、嗜好、悩み、課題に対処するソフトウェアを構築する目的で生み出しました。こうしたアプローチはユーザー重視のマーケティングの設計方法を大きく変化させることとなり、1990年代初頭までに、ペルソナベースのマーケティング手法は一般的なものとなりました。多種多様な生活者の価値観に対応するためにも、属性や性別などの人口統計データだけでは対応しきれなくなっていったことが背景にあったようです。

 

例えばこちらの2人の著名人を見ると、ペルソナの重要さが分かる例です。2人とも年齢や属性、居住地や同じ境遇であったとしても、全く異なる性格やキャラクターであることが分かります。ペルソナの語源が持つ”仮面”という意味と同じく、潜在的な個性と共にどのような自己表現をするかによってそれぞれ際立った特徴が表れます。
多種多様な価値観を持つインクルーシブな世界を生きる現代人においては、性別や年代、仕事の種類などの属性情報のみで人格や価値観を知ることはできません。
それぞれの人格を正しく理解するためには、より広く深い情報を集めることで本質を捉えることが重要です。

 

 

 

現代におけるペルソナとは

 

直近約10年間にわたって、デジタル技術が進むことにより、”ハイパー・パーソナライゼーション”と呼ばれる、必要以上に生活者に関わる個人情報を特定する動きが加速してきました。結果として、ユーザーと企業側との距離感を見誤ってしまう現象が起きてしまい、インターネットの環境が健全とは呼べない状態になることもありました。

それを受けて、プラットフォーマーによる自主規制や、改正個人情報保護法などによる社会的な潮流に後押しされる形で、今では企業の経済活動においてユーザーのプライバシーを尊重する考え方は常識となっています。

Ogury(オグリー)は、ペルソナターゲティング広告(Personified Advertising)を活用し、個人ではなくペルソナに向けて広告配信を行います。従来型のデジタルマーケティングは、広告の配信対象を決める時にクッキーやIDをベースにしていました。それに対してペルソナマーケティングは、統計学に基づく調査データや配信面の文字情報や文脈をロジックに活用しています。

 

 

ペルソナを構築するゼロパーティデータ

 

以下に、実際の機能や作用を示す例をご紹介します:

 

 

東京を旅行している人たちをマーケティング活動におけるターゲットにするとしましょう。2人の旅行者は同じエリアにいて、1人は日本文化や芸能に関心があり、もう1人は日本のエンタメを楽しみたいと考えています。人口統計データだけではこうした微妙な違いを捉えることは困難ですが、ペルソナなら可能です。

 

たとえば、「日本のエンタメ愛好者」を例に取ってみます。「流行の飲食スポットに行きたいですか?」や「コンサートやフェスティバルに参加したいですか?」といった調査質問への回答を含め、豊富なデータから編み出されています。こうした独自の調査結果をベースにしたインサイトは表面的な人口統計を超え、ペルソナの解像度を上げて顧客理解を立体的に捉えることが出来ます。

こういったユーザーが自主的に提供するデータをファースト・パーティーデータと呼びます。
2018年に Forrester がデータ活用における未来予測に関するレポートにおいて命名したゼロパーティデータは、生活者が調査やインセンティブが有るキャンペーンなどの手段で、自主的かつ積極的に企業と共有するものの、匿名性が保たれる情報を指します。
生活者の関心や興味をその他の行動から導き出す推定データとは異なり、ゼロパーティデータは決定論的で、生活者から直接的に嗜好や購入意思についての正確なインサイトを提示します。
生活者が車についてのネット記事を読んでいる場合、推定データだと、ユーザーが新車購入を考えているのではないかと推測するかもしれません。しかし、同じユーザーが12か月以内に車を購入するつもりであるという調査結果で明らかになると、購入意欲が高いユーザー群を捉えることが可能となります。

 

Ogury では、独自にゼロパーティデータを自己申告制の顧客調査から収集しており、嗜好データ、購入意思、個人的な状況、そして生活者がどのくらいブランドを認知しているか把握することができます。そうした精密なデータは、それぞれのキャンペーンや商品設計でペルソナを形成する時に重要な役割を果たします。

こうした明瞭で合意に基づくデータこそゼロパーティデータが、ユーザーが意識せずとも使われてしまっているその他の2nd、3rdパーティーデータとの大きく異なる点です。

実はこのゼロパーティーデータは、まだまだ市場で有効に活用されているとは言えない状況です。Forrester によると、マーケターの82%近くがゼロパーティデータを利用しており、そのうち42%が、ゼロパーティデータを戦略的に活用する方法が分からないと回答しています。
Oguryのゼロパーティデータを活用したペルソナターゲティング広告は、ユーザーのプライバシーを尊重した新しい活用法の一つと言えます。

 

急速に進化したデジタルマーケティングによって、ユーザーのデータを必要以上に取得してしまった結果、ブランドと生活者との距離感を見誤ってしまうケースが出てきました。プライバシーを尊重したユーザー像の導き出す方法としてペルソナに焦点が当てられる良いタイミングが、まさにこの時です。

 

企業活動に関わる多くの方が、大なり小なりペルソナに関わっていると思います。学術的なアプローチや属人的な方法を用いて、どのような人に商品やサービスを使ってもらうかを模索する中で、マーケティングにおける永遠の課題である”顧客理解”の手段として、「ペルソナ」の重要性を再認識しそれを活用していくことが、今後の成功の鍵になると考えています。

 

コラム執筆者

 

松本 亮

Ogury Japan, Country Manager

 

L’Oréal、BMW、Johnson&Johnsonなどでブランドマーケティングやカスタマーマーケティングに従事。2014年からCriteoでアジア太平洋担当のマーケティング・マネージャーとして事業拡大に貢献したのち、GumGumの日本ローンチを担当し、クッキーレス広告市場の創出と拡大をけん引した。2022年4月より現職。

 

 

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コネクテッドテレビのマネタイズ戦略の最前線―ATS Tokyo 2024イベントレポート https://www.exchangewire.jp/2025/01/06/news-atstokyo2024-session-report-ctvmonetization/ <![CDATA[長野 雅俊]]> Sun, 05 Jan 2025 23:00:07 +0000 <![CDATA[ATS Tokyo 2024]]> <![CDATA[ATSTOKYO2024]]> <![CDATA[CTV]]> <![CDATA[コネクテッドテレビ]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84162 <![CDATA[

デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。  
 
「コネクテッドテレビのマネタイズ戦略の最前線」と題した本セッションには、OpenX Managing Director, APAC ミッチェル・グリーンウェイ氏、Publica SVP of Product, ジェームズ・ウィルアイト氏、EssenceMediacom Japan Associate Media Planning Director 本田 峻介氏が登壇。グローバル展開をする企業を招聘し、コネクテッドテレビ広告のマネタイズにおける先進事例の紹介やグローバル動向分析などを行った。 
 
ウィルアイト氏は、米国市場においては主な放送局はCTV広告在庫の20%を、さらにストリーミングサービス事業者に至っては90~100%をプログラマティック広告取引で販売していると報告。近い将来に日本市場においても同様にプログラマティック広告取引が本格的に活性化される可能性を示唆した。
 

 
グリーンウェイ氏も、地上波CMの営業体制を受け継ぐことができた放送局とは対照的に、新興のストリーミングサービス事業者はプログラマティック広告取引を有効活用することで広告在庫を広域的に販売することに成功していると報告。また本田氏は、スーパーボウルやNBAファイナルといった国民的な人気を集めるライブ中継コンテンツが多い米国市場では先行してCTV広告への需要が高まったものの、近年では日本市場も確実に追随しつつあるとの見方を示した。
 
また日本のCTVパブリッシャーにとって重要なのは独自のプレミアムコンテンツであるという点で両社の見解は一致。加えて本田氏は、先進的なCTVパブリッシャーはSNS上のショート動画などを通じて番組宣伝を行うことで新規視聴者を獲得していると紹介した。
 
CTV広告の効果測定のあり方について、グリーンウェイ氏はCTV広告が「ブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングの架け橋」となるべきとして、CTV広告キャンペーンでクリックのみを成果として求めることは得策ではないとの考えを提示した。
 
 

 
ウィルアイト氏もパフォーマンスマーケティングへの適用自体は否定しないものの、CTV広告は来店計測や購買行動分析により適していると同調。同じく本田氏もCTV広告の「アシスト」力を評価する見解を示した。
 
ブランドセーフティ対策については、ウィルアイト氏が、Integral Ad Science のようなアドベリフィケーションツール提供企業が広告主を、SSPがパブリッシャーを保護する立場にあり、後者においてはDSPの選別に加えてプログラマティックギャランティード(PG)やPMPなどの枠組みの整備を通じて対策を行っていると説明。グリーンウェイ氏は、CTV事業に一定以上の事業投資を行うことで信頼を蓄積してきた企業と提携し、それらの企業に対してブランドセーフティ対策やDSP接続先を確認した上で、広告在庫の外部開放についてもPG→PMP→RTBなど段階的に進めていくことを提案した。本田氏はこれら一連の対策が施されたことで、広告主の間ではCTV広告在庫はブランドセーフティが既にほぼ確保されていると想定するようになってきているのではないかと述べた。
 

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デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。  

 

「コネクテッドテレビのマネタイズ戦略の最前線」と題した本セッションには、OpenX Managing Director, APAC ミッチェル・グリーンウェイ氏、Publica SVP of Product, ジェームズ・ウィルアイト氏、EssenceMediacom Japan Associate Media Planning Director 本田 峻介氏が登壇。グローバル展開をする企業を招聘し、コネクテッドテレビ広告のマネタイズにおける先進事例の紹介やグローバル動向分析などを行った。 

 

ウィルアイト氏は、米国市場においては主な放送局はCTV広告在庫の20%を、さらにストリーミングサービス事業者に至っては90100%をプログラマティック広告取引で販売していると報告。近い将来に日本市場においても同様にプログラマティック広告取引が本格的に活性化される可能性を示唆した。

 

 

グリーンウェイ氏も、地上波CMの営業体制を受け継ぐことができた放送局とは対照的に、新興のストリーミングサービス事業者はプログラマティック広告取引を有効活用することで広告在庫を広域的に販売することに成功していると報告。また本田氏は、スーパーボウルやNBAファイナルといった国民的な人気を集めるライブ中継コンテンツが多い米国市場では先行してCTV広告への需要が高まったものの、近年では日本市場も確実に追随しつつあるとの見方を示した。

 

また日本のCTVパブリッシャーにとって重要なのは独自のプレミアムコンテンツであるという点で両社の見解は一致。加えて本田氏は、先進的なCTVパブリッシャーはSNS上のショート動画などを通じて番組宣伝を行うことで新規視聴者を獲得していると紹介した。

 

CTV広告の効果測定のあり方について、グリーンウェイ氏はCTV広告が「ブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングの架け橋」となるべきとして、CTV広告キャンペーンでクリックのみを成果として求めることは得策ではないとの考えを提示した。

 

 

 

ウィルアイト氏もパフォーマンスマーケティングへの適用自体は否定しないものの、CTV広告は来店計測や購買行動分析により適していると同調。同じく本田氏もCTV広告の「アシスト」力を評価する見解を示した。

 

ブランドセーフティ対策については、ウィルアイト氏が、Integral Ad Science のようなアドベリフィケーションツール提供企業が広告主を、SSPがパブリッシャーを保護する立場にあり、後者においてはDSPの選別に加えてプログラマティックギャランティード(PG)やPMPなどの枠組みの整備を通じて対策を行っていると説明。グリーンウェイ氏は、CTV事業に一定以上の事業投資を行うことで信頼を蓄積してきた企業と提携し、それらの企業に対してブランドセーフティ対策やDSP接続先を確認した上で、広告在庫の外部開放についてもPG→PMP→RTBなど段階的に進めていくことを提案した。本田氏はこれら一連の対策が施されたことで、広告主の間ではCTV広告在庫はブランドセーフティが既にほぼ確保されていると想定するようになってきているのではないかと述べた。

 

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ぜんぶ議論しようー今、あらためてクッキー騒動を議論してみるー https://www.exchangewire.jp/2025/01/06/interview-go-sho-hiroshi/ <![CDATA[野下 智之]]> Sun, 05 Jan 2025 22:50:46 +0000 <![CDATA[インタビュー]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84228 <![CDATA[

 
暖簾越え 課題交わして 明日開く
 
明けましておめでとうございます。2025年も、ExchangeWireJAPANをどうぞよろしくお願いいたします。
 
過去何度かお届けしてきた、「ぜんぶ議論しよう」。非常に局所的にではあるが、読者の方からは高い好評をいただいている。
本企画のレギュラーの出演者の一人が、個人的な事情で出演が出来なくなったため、しばらくお届けできなかったが、今回強力で強烈な登壇者が決まり、緊急で本企画を再開した。
 
■覆面ゲスト:インターネット広告業界全般に精通する重鎮※
※編集部注:相当な重鎮。果たして覆面にしてもいいものか、関係者で相当議論になったが、最終的には覆面に。
■広告事業者:山田 翔(やましょー)氏(株式会社アドウェイズ 代表取締役社長/UNICORN株式会社 代表取締役社長)
■モデレーター:池田 寛氏(株式会社Leave it to me 代表取締役/Pivot株式会社 取締役)

※取材協力:十兵衛(東京 恵比寿 )
 
本当に飲むんですね!
覆面氏:本当に飲むんですね!
 
池田氏:はい、それが何か。今宵は居酒屋対談ですよ、飲まないと始まりません(笑)。覆面さんは何にされますか?
 

覆面氏:じゃあ生ビールで。飲むと止まらなくなるんですけど、平気ですかね?
 
池田氏:平気かどうかは読者の方が決めますので、いったん遠慮なくいってみましょう!(躊躇なく生ビールを3つ注文)
久々の居酒屋対談ですが、いつもの相棒の天野君が所属会社の大人の事情により表に出れない体のため、代打として"やましょー”こと山田翔に来てもらっています。

さて、今回のテーマは「今、あらためてクッキー騒動について議論してみる」です。結論から言うと、サードパーティークッキーはやはり不死鳥でしたね(笑)。

それでは、不死鳥にも乾杯しながら自己紹介をお願いします。まずは、やましょーからどうぞ。
 
山田氏(やましょー):DSP事業を展開するUNICORN代表の山田翔です。広告代理店事業/アフィリエイト広告事業を展開しているアドウェイズの代表もやっています。
 
池田氏:やましょーはインターネット広告の本来あるべき姿を取り戻すべく精力的に活動している輩です。特に広告計測関連については「計測界の潔癖症」と呼ばれるほど正義感を持っていて大好きです。それでは、次に覆面さんお願いします。
 
覆面氏:新卒で大手通信キャリアに入社し、25年ほど前にインターネット広告業界に転身しました。オーバーチュア、Googleなどを経て、今は広告代理業を含めた広告ビジネス全般に携わる会社を経営しています。
 
 
サードパーティークッキーは必要なのか?
池田氏:ありがとうございます。覆面さんは凄まじい経歴ですね。おそらく何でも知ってらっしゃると思うので楽しみです。
では、始めましょう。まず、そもそもサードパーティークッキーは本当になくなったら困るものなのでしょうか?

iPhoneが大好きな日本ではモバイルの7割のクッキーが既に使えないと言われています。そんな中で「なくなったらどうしよう」と大騒ぎしている訳じゃないですか。業界をあげたコントだと思うのです。
 
山田氏:私はサードパーティークッキーはなくなるべきだと思います。事業者の目線で言うと、みんな今までそれを使えてビジネスをしてきたから、今後もずっと使いたい、そっちのほうが助かるって思っているだけです。そうではなく、そもそもなぜ規制されているのかということをよく考えるべきです。結局のところ、誰かにとって問題があるから規制されているわけで、今の使い方はダメなわけです。だから、なくなるべきですね。
クッキーの技術が云々というよりは、企業が個人に勝手にIDを付けて、ユーザーがメリットを感じられない状態で利用していることがダメなわけです。このような状態なら、サードパーティークッキーはなくなったほうがいいですね。
 
池田氏:ユーザー目線に立つと「私のサードパーティークッキーを使ってくれてありがとう!」って思う人なんかいるわけないですね(笑)。
この点について、覆面さんはいかがですか?今年は「クッキー界の時の人」として、色んなセミナーや記事を書いてらっしゃったと記憶しております。クッキーがなくなったら、仕事がなくなったりしませんか?
 
覆面氏:サードパーティークッキーがなくなっても私の仕事はなくなりませんよ(笑)。米国では既にクッキーがなくなることについては意識しなさすぎなくらいの状況です。もちろん、これまでと同じことが出来なくなることで困る人は出てくるとは思いますが。
 
池田氏:やましょーは元々クッキーにそれほど頼らない硬派なビジネスをやっていたからかもしれないですが、覆面さんがおっしゃったように、困る人もいると思うのです。その解決策として考えられることって何かありますか?
 
山田氏:大前提として、クッキーを補完する必要がそもそもないと思っています。問題の根本は、ユーザーのデータを企業が使って、一方的に利益を得ていることです。ですが、ユーザーにはメリットどころかデメリットしかないのです。解決策としては、ユーザーにメリットがある形でデータを活用することしかないと思います。
クッキーをユーザーにとってメリットがある方法で使うのであればもちろん良いのですが、結局のところ、これをハックする人がでてくるわけです。であれば、そのようなものはない方がいいと思います。
 
覆面氏:ハックする人はでてきますね。私は、もう25年くらいインターネット広告業界にいますが、この業界にデビューした当初、既に、今のMFA(Made-For-Advertising)と呼ばれる類のアービトラージサイトというものがあり、トラフィックをお金にするような仕組みがありました。当初はこのようなサイトも広告配信先の対象に含まれていたのですが、さすがにこれではまずいよなということになりました。
このように、最初は穴だらけだったのですが業界の努力もあって、ある程度是正され、10年くらい前までは自主規制が働いていました。
しかし、現在の状況を考えると、クッキーに限らない話ですが業界の努力に頼るだけでは、たぶん歯止めが効かなくなってきたのかなと感じています。

池田氏:今はAIが使えるようになったので、更にテンション上がっている人たちが増えてしまっている気がしますね...(池田、しんみりとビールを飲み干す)
 
覆面氏:AIを活用することで、全部自動で出来るようになります。今、こうやって飲んでいる瞬間も、新しいサイトが無数に生まれているはずです。そして広告枠もまた無数に作られていますね。これでアドフラウドがあちこちで起こっている。全て全自動です。(覆面氏は、一気にビールを飲み干す)
 
池田氏:正直、オープンインターネット領域のWebサイトの広告枠の数も爆増していますし、このままでは総倒れしてしまいそうな流れを感じています...(池田、おかわりも飲み干す)
 
覆面氏:プラットフォーマー側の売上至上主義にも問題がありますね。Googleのコンテンツターゲティングのページ解析技術があれば、不正を防止することはできるはずなんだけれども、そこには手を付けないのです(※)。

(※)「広告の利便性に関する違反」として、特に2024年後半よりコンテンツに対する広告の占有率が高い場合に発する警告を積極的に発信しており、是正に向けた動きは本格化しつつある

 
 
広告事業者は認可制にすべき!?

 
山田氏:クッキーの話題はもはやどうでもいいですね。話題の一つでしかありません。
私は、日本のインターネット広告、さらにはインターネットビジネス全体の問題として、情報格差を利用してお金を稼ごうとする人たちがいることが挙げられると考えています。
インターネット上には、情報に疎い人を利用して利益を得ることだけを目的にしたビジネスがたくさんあります。
クッキーの活用もある意味で似たような構造になっていると言ってもいいと思います。
これが大きな問題です。こうした背景から、私はやはりインターネット広告を規制産業にするしかないのでは?と考えています。
 
池田氏:いいですね、ノッてきましたね。さー、飲んで飲んで♫(やましょーに生ビール大を注文)
 
山田氏:例えばテレビ広告は規制が厳しく、掲載できない広告表現がたくさんあります。デジタルサイネージでも変な広告は見たことがありません。だけど、子供も見ているような超有名サイトに不適切な漫画の広告が出るというのは、どう考えてもおかしいんですよ。
規制がないからこういうことになるわけであって、広告配信をする事業者は国の認可制にすべきなんです。

街中のお店や道路などが公共の場であるように、インターネット空間も公共の場です。行き過ぎた事業者にちゃんとペナルティを与える仕組み作りが必要だと思います。
 
池田氏:広告事業者を認可制にするのは面白いですね。でも、あまりにも規制が強くなると企業の成長を阻害してしまう可能性もでてきます。ただでさえ、インターネット広告業界で日本発のソリューションが世界と戦えていない中、そのバランスをちゃんと取る必要もありますよね。
 
覆面氏:私は新卒で某通信キャリアに就職しましたが、通信業界は思いっきり規制がありました。電気通信事業法などの法律でガチガチに規制されていた通信業界から自由なインターネットの世界に移ってきて、その違いに驚いたことを覚えています。
実際に規制することで、インターネットの世界やインターネット広告が良くなるかどうかというのは、難しい問いですね。
私も規制は必要だと思いますが、行き過ぎるとインターネットの良さがなくなってしまいます。やはり、バランスが必要だと思います。
 
池田氏:悩ましいですよね。法に触れるサイトはダメですが、やっぱり誰でも恥ずかしいサイトとかも見てしまいますもんね(しらんけど)。
あれ、私をクズみたいな目で見てます?(笑)。もう一杯濃いやつを頼んでもいいですか?
広告事業者が認可制になることで、そういうサイトに広告が流れなくなるとみんな廃業してしまいますよね。自由というのがインターネットの醍醐味の一つだと考えると、インターネットが面白くなくなる懸念もあります。

覆面さん、広告業界には既に色んな業界団体があり、ガイドラインなどもあると思うのですが、その辺についてはどういう見解をお持ちですか?
 
覆面氏:国内にもいくつかの業界団体があり、ガイドラインを出していますが、基本的に自主規制となり法的拘束力がありません。また、プラットフォーム透明化法(※)もありますが、指定を取り消すだけで実質的なペナルティがなく、正直ワークしているとは言えません。
米国のIAB(デジタル広告の標準策定団体)は同じく自主規制でやっているのですが、ほとんどの主要な広告プラットフォームやアドテク企業は加盟していて影響力があります。
例えばプライバシーサンドボックスのワーキンググループなどは、60社以上が参加していて、自主規制で皆でどうしようかということをやっておりワークしていますね。

(※)特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律
 
山田氏:これは僕の見解ですが、IABが米国でワークしているのは、米国はやはり消費者が強いからだと思います。ファストフードでやけどをしただけで訴訟が起こるような社会です。
一方で日本は人命に影響がでるなど、余程の社会問題にならない限り規制をしないのです。
 
池田氏:結局のところ、日本ではそこまでユーザーが今の状況を意識をしていないというか、気にしてないってことかもしれませんね。
恥ずかしいサイトを見ている時に大量の広告が降ってきたりして私の行く手を阻んできますが、自分への戒めとして素直に受け入れている自分がおります(恥)。
 
山田氏:そうです、だからその状況を利用して、一方的に利益をあげようとする企業がでてくるのです。僕たちはこういった現状の原理原則の下で正しい意思決定をしていかないと持続的に成長する企業にならないですし、より良いインターネットの世界にはなりません。
このまま企業がハックし続けるのか、真理に向かうかのどちらかです。

 
クッキー廃止の中止でいったい誰が一番得した?
池田氏:なんだかいい感じの議論になってきました。話を少し戻しましょう。
サードパーティークッキーの廃止が中止になることで、一番得したのは誰なんでしょうか?
 
覆面氏:Googleですね。Googleが昨年(2023年)から今年(2024年)にかけて、プライバシーサンドボックスの開発を本格化してきたのですが、このままだとプライバシーサンドボックスが全然使えないんじゃなかろうかという状況に陥りました。CMA(※)も、Googleからのフィードバックを受けて、さすがにこれではマズいよねということになったんだと思います。
米国の市場ではCMAが頂点なので、CMAのGoogleとの交渉が、完全に膠着状態になってしまうと先に進めません。Googleはすでに3回もクッキーの廃止時期を延期して、このままでは、4回目、5回目、6回目となって...という未来が予想できました。
一般的には、クッキーが残るんだ!というポジティブな反応が多いですが、Googleはプライバシーサンドボックスの完成を諦めてませんし、完成すれば必ずクッキーを廃止するでしょう。
今回の件は、プライバシーサンドボックスをしっかりと開発するための「体のいい」時間稼ぎだと思っています。

(※)CMA(Competition and Markets Authority):英国の競争・市場庁。日本の公正取引委員会に相当
 
山田氏:自分もDSPを運営している広告事業者なので回答をしにくいですが(笑)、多分損をした人はいないでしょう。Googleによるあの発表があっても、プライバシーサンドボックスに関する対応は関係なく続けられています。

池田氏:最近Googleさんが作る広告フォーマットって、なんだかとんでもないことになっていますよね。まさかBetter Ads Standardを推進しているGoogleさんがインタースティシャル広告や、大型のオーバーレイ広告などをWebサイトでやるとは思いませんでした。あれはもう、コンテンツを見るなと言っているような空気すら感じてしまいます。
 

 
覆面氏:だいぶ酔ってきましたし、覆面だし、元Google出身者としてGoogle に言いたいことは山ほどありますね。
 
池田氏:そうです。覆面さん、あなたは覆面です。(すかさず、生ビールの大ジョッキを注文)
 
覆面氏:Googleの行動規範「Google が掲げる 10 の事実」の中から、「Don’t be Evil(邪悪になるな)」というのがあるのですが、いつからか機能しなくなったように感じます。。そしてその後のGoogleは全然変わってしまったなと思います。かつては、社内で議論をしていても、「それ、Don’t be Evilだから」と何回も言われました。言われると傷ついちゃうんですけど(笑)。
 
池田氏:いつぐらいからGoogleさんは変わってきたと思いますか?
 
覆面氏:まあ、僕がいなくなってからですかね(キリッ)。私は2009年にGoogleを辞めました。
 
池田氏:カッコイイ〜!よっ!覆面さん!
 
覆面氏:かつて、私がGoogleにいたころ、上司に対してこういう広告配信の仕方をするとこのくらい儲かると提案したところ、すごく怒られました。
 
池田氏:覆面さんが、Evilだったんですね(笑)。
 
山田氏:少し関係ないですが、前から思っていた素朴な疑問があるんです。AAID(※)は、ブラウザでも使うことはできると思うのですが、なぜやらないのでしょうか?
アプリでやるんだったら、ブラウザでもやったっていいじゃんと思うんですよね。不思議だなと思います。

(※)AAID(Google Advertising ID):Android端末用の広告識別子。iOSのIDFAに相当
 
覆面氏:僕もわからないですね。ただ、今が出し時ではないと思っているのでしょう。独占禁止法をめぐる色んな係争を抱えている今だと、絶対やり玉にあがりますしね。
 
 
クッキー利用の許諾方式はどうなる?
池田氏:今後予定されているクッキー利用の許諾を取る方法についてはどういう方式になるんでしょうか?結局今の状態はクッキーを廃止すべき本質的な理由については何も解決していませんしね。
Webサイトで良く見る「クッキーを使って良いですか?◯◯▢▢✕✕△△…」と色んなことを書いたり操作させて、面倒くさくなって「同意する」のボタンを押してしまうタイプか、AppleのATTのように「APPにトラッキングしないように要求」という文言で、何か怖いので「同意しない」ボタンを押してしまうタイプかでは全然許諾率が違うと思うのです。
実際前者のタイプだとオプトインを前提としているGDPR圏では9割程度が許諾しているということを聞いたことがあります。逆に後者だと前職の経験がまだ通じるなら、2〜3割程度の許諾率だと記憶しています。つまり、オプトインの取得方法によって許諾率は大きく変わるんですよね。
いずれにしろ、形式的にユーザーに選択肢を与えているというだけになってしまっては意味がありません。しっかりとユーザーが理解して選択できるような仕組みが必要です。
 
覆面氏:本当に現状はまだ何も解決していません。報道によると、Googleがプライバシーサンドボックスを撤回をするときに、どこの当局とのやり取りかは記載がありませんでしたが、ある程度具体的な内容を話していたようです。また、プライバシーサンドボックス推進に多大な協力をしていたW3C(※)はGoogleの突然のクッキー廃止の撤回に怒って「オイコラ」といって、声明を出していましたね。

(※)W3C(World Wide Web Consortium):Web技術の標準化を行なう非営利団体
 
山田氏:ユーザーが理解して選択できるような仕組みを作らないと全く意味がありません。アプローチとして考え得るものとして、ブラウザ標準で「このサイトで取得した行動履歴を取得するけれども良いでしょうか?」という表示を出したり、より具体的な内容を伝えて選択してもらえるようにすべきです。

いずれにしろ、今の流れだと少なくとも暫くはクッキーは残るわけで、クッキーの性質上、利用を許諾した方々に関するプライバシーの問題は完全には解決していない状態です。その問題にも対処していく必要があります。
 
覆面氏:クッキーが残るか残らないかについては、両方あり得ると思います。クッキーが残ることを前提にしたソリューションが出てくるとしたら米国からのほうが早いでしょうが、まだ聞いたことがありません。ですが、今後出てくる可能性もありますね。

個人的な意見として、プライバシーの問題は残ると思います。Googleは色々な意味での時間稼ぎをしていて、とりあえずクッキーを残すことにしました。そして、プライバシーサンドボックスを何とか完成させて、運用が安定化した後に、再びクッキーを廃止する方針に舵を切ると思っています。
 
池田氏:そうすると、Googleさんはより良いものを開発するために、ポジティブな時間稼ぎをしているんですね。
 
覆面氏:うーん、そうとも言い切れませんね。Googleは、今多くの訴訟を抱えていて、それどころではなさそうなんですよね。その結果によっては、サービスを分割せざるを得なくなる可能性があります。やはり焦点になったのはアドサーバーとしてのGoogle アドマネージャー(GAM)とAd Exchangeです。これを切り離すことになるでしょう。そして、彼らの事業戦略の中ではサーチとYouTubeに集中していく算段だと思っています。ただ、Googleとしても計算違いがあって、AIの進化によりサーチの将来が危うくなってきていることです。
 
池田氏:なるほど。Googleさんの株を少しだけ持っている自分としては、Googleさんにエールを送りたいと思います。ガンバレー!(渋谷の方角を向いてビールをガブ飲み)

広告計測はどうなっていく?
山田氏:なんか言おうと思ってたんだけど、忘れてしまいました。(やましょーここで、梅干しサワーの梅干しをつぶす)
 
池田氏:いいんです、これが居酒屋対談です。思い出したら手を挙げてください。
 
山田氏:(さっそく手を挙げる)広告計測の話なんですけど、クッキーがなくなると、正しい計測ができなくなり、ズルをする事業者とかも出てくると言う人もいますが、そもそもクッキーがある今でも正しいデータなんて誰も見れていませんよ。
 
池田氏:いきなりきましたね。さすが「計測界の潔癖症」。素晴らしいです。続けてください。
 
山田氏:あなたが見ている「1」は「1」じゃないよということです。被害が半端ないのです。アドフラウドなんて比ではない。
私たちの試算によると、インターネット広告費2兆円のうち、40%、8,000億円分は無駄になっているのです。これぐらい、皆計測が正しいという間違った認識をしているのです。特にアプリのマーケットは酷いです。(ビュースルーコンバージョン・・・・。YouTube・・・。という主語を皮切りに、アプリ計測の闇を解説するも周りのギャルの声の力でかき消される)
 
池田氏:覆面さんはアプリはいかがですか?
 
覆面氏:アプリに関しては、私はちょっと遠いです。(消して詳しくないとは言わないところに、プロ意識の強さを感じる)
 
山田氏:そもそも、ユーザーを追いかけて評価することに限界があるんです。
 
池田氏:では、どうやって評価することが最善だと考えていますか?
 
山田氏:MMM(※)で評価するのが現時点では最善だと考えますが、今の時点でまだ決定打はないですね。広告の評価はとても難しくて・・・。(と評価について力強く解説するも、隣席のギャルのより力強い言葉にかき消される)

(※)MMM(Marketing Mix Modeling):マーケティング施策の効果を定量化する統計学的な分析手法
 
池田氏:MMMに関しては私も期待しています。実際に広告に使ったお金が売上にどういう変化を与えたのかを、管理画面のCPI、CPAとかの数字ではなく、ちゃんと把握することは重要です。覆面さんは計測に関してはいかがでしょうか?
 
覆面氏:アトリビューションに関しては、恐らく日本で一番早く取り組みました。サードパーティークッキーがあったからこそ、コンバージョンパスデータが取れました。それをシンプルな計算式で、ファーストタッチからラストタッチまで割り振ることが出来た。

MMMに関しては、結局のところ定点観測をするカルチャーが日本にはないからそんなに使われていないですね。年一回ではなく、しっかりと定点観測をしていく必要があります。
 
山田氏:そもそも計測に関しては、現状のハックしようのあるアトリビューション計測条件を元にしたアプローチではだめですね。最近ではMetaもRobynというツールをリリースしましたが、後から客観的に評価するMMMはやはり有効なアプローチの一つであると思います。
 
覆面氏:MMMはすごく良いツールが出てきていますよね。ですが、相当知識がないと使いこなせないですね。使いこなせる人材が不足しています。
 
池田氏:ツールを使いこなせたとしても、出たアウトプットをしっかりと実に変えることが出来る人も必要になりますしね。ちなみにどれくらいで定着しそうかとかありますか?
 
覆面氏:私は「GA4現象」と言っているのですが、最終的に今年(2024年)6月末までにGA4に移行する必要があったのですが、7月になって「やばい!」ということになって、すぐに対応した人もいれば、何か月か後に対応をした人もいました。
サードパーティークッキーがGoogleの方針で今後どうなるかわからないですが、クッキーがなくなり、IDが本当に使えなくなるとなったら本気で考えようという動きになる気がしています。

そうなったら、ターゲティングに関しても計測に関してもMMMに関しても腰を据えて向き合わざるを得なくなると思います。
 
 
今回の「クッキー騒動」を通じて
池田氏:そろそろ酔いと共に時間もいい感じに回って参りました。これで最後の質問にしますね。今回のクッキー騒動を通じて、我々は今後どのようにユーザーと向き合い、オープンインターネットを盛り上げていけば良いでしょうか?
 
山田氏:やはりインターネットは自由な世界ですし、みんなの可能性を開くという意味でも、主役はやはりユーザーです。すべてはユーザーに返すべきです。ユーザーにメリットがある仕組みでみんながビジネスをやるべきです。ファーストパーティデータもそもそも企業のものではなく、理想としては、企業はゼロパーティデータを活用すべきだと考えています。ユーザーにしっかりと許諾を取ったうえで使うべきですし、そこまで行って初めて実現できると考えています。
ユーザーにメリットを提供することを第一に取り組むことが、オープンインターネットの活性化につながると思います。
 
覆面氏:たぶん言いたいことは変わらないのですが、やはりプライバシーに答えがあると思います。なぜこうなっているのかという理由を理解する必要があります。
ファーストパーティデータについて、私がいま懸念しているのは、ファーストパーティデータ偏重になっていることです。プライバシー保護の背景を理解しておかないと、乱用される状況になってしまいます。そうすると規制が入った時にファーストパーティデータもNGであるということになる。これは日本だけではなく、世界的にそうなる可能性もゼロではありません。ですので、ファーストパーティデータの活用についても、お作法が必要になってきます。
 
山田氏:そうですね。ファーストパーティーデータの活用についても、現状はユーザーが認知していないところで、企業が次々と活用の用途を広げていくというようなことが行われています。

例えば、ECサイトで「あなたのデータは企業が使わせてもらいます。もし活用させていただけたら、3000円OFFクーポンを差し上げます」というようなソリューションを導入して、データを活用するような取り組みとかはどうですかね?

企業がユーザーに分かりやすく、自分のデータがどう使われるかを伝えて、メリットがあることを理解していただいたうえで、活用すべきです。ユーザーに対してもっとメリットを返さないと、釣り合わないと思います。データで儲けている企業は、半分以上はユーザーのおかげだと思うのです。ユーザーにメリットを返すために何が出来るのか、ということを考えるところにビジネスチャンスがあるのではないでしょうか。
 
池田氏:本日の居酒屋対談では、クッキーを取り巻く状況や、インターネット広告業界の課題について深く掘り下げることができました。結論として、技術や規制の変化を超えて、最も大切なのはユーザーの視点に立つことだと感じました。私たちが、ユーザーにとってのメリットをしっかりと提供し、信頼される関係を築いていくことが、オープンインターネットの未来を支える鍵になるでしょう。

これからも議論は続きますが、本日の話を通じて、業界全体が「利益追求」ではなく「価値提供」にシフトするきっかけになれば幸いです。さあ、皆さん、飲み干して締めましょう!乾杯!

きれいに話がまとまったのを機に乾杯し、各々ハイボールや梅サワーを飲み干した3人。
 
この後は、一定プライバシーが保護された環境下で、近い、居心地がいい、お酒とカラオケで気分よく自分に酔えるといった、ユーザー目線で分かりやすい価値提供をしてくれる、とはいえおなじみの、恵比寿ガーデンプレイス脇の小さなスナックへと向かっていった。
後付けであったのかどうかは定かではないが、そこでは、覆面氏の会社設立15周年のお祝いも、盛大に執り行われたそうだ。

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暖簾越え 課題交わして 明日開く

 

明けましておめでとうございます。2025年も、ExchangeWireJAPANをどうぞよろしくお願いいたします。

 

過去何度かお届けしてきた、「ぜんぶ議論しよう」。非常に局所的にではあるが、読者の方からは高い好評をいただいている。

本企画のレギュラーの出演者の一人が、個人的な事情で出演が出来なくなったため、しばらくお届けできなかったが、今回強力で強烈な登壇者が決まり、緊急で本企画を再開した。

 

■覆面ゲスト:インターネット広告業界全般に精通する重鎮※

※編集部注:相当な重鎮。果たして覆面にしてもいいものか、関係者で相当議論になったが、最終的には覆面に。

■広告事業者:山田 翔(やましょー)氏(株式会社アドウェイズ 代表取締役社長/UNICORN株式会社 代表取締役社長)

■モデレーター:池田 寛氏(株式会社Leave it to me 代表取締役/Pivot株式会社 取締役)


※取材協力:十兵衛(東京 恵比寿 )

 

本当に飲むんですね!

覆面氏:本当に飲むんですね!

 

池田氏:はい、それが何か。今宵は居酒屋対談ですよ、飲まないと始まりません(笑)。覆面さんは何にされますか?

 

覆面氏:じゃあ生ビールで。飲むと止まらなくなるんですけど、平気ですかね?

 

池田氏:平気かどうかは読者の方が決めますので、いったん遠慮なくいってみましょう!(躊躇なく生ビールを3つ注文)
久々の居酒屋対談ですが、いつもの相棒の天野君が所属会社の大人の事情により表に出れない体のため、代打として"やましょー”こと山田翔に来てもらっています。

さて、今回のテーマは「今、あらためてクッキー騒動について議論してみる」です。結論から言うと、サードパーティークッキーはやはり不死鳥でしたね(笑)。

それでは、不死鳥にも乾杯しながら自己紹介をお願いします。まずは、やましょーからどうぞ。

 

山田氏(やましょー):DSP事業を展開するUNICORN代表の山田翔です。広告代理店事業/アフィリエイト広告事業を展開しているアドウェイズの代表もやっています。

 

池田氏:やましょーはインターネット広告の本来あるべき姿を取り戻すべく精力的に活動している輩です。特に広告計測関連については「計測界の潔癖症」と呼ばれるほど正義感を持っていて大好きです。それでは、次に覆面さんお願いします。

 

覆面氏:新卒で大手通信キャリアに入社し、25年ほど前にインターネット広告業界に転身しました。オーバーチュア、Googleなどを経て、今は広告代理業を含めた広告ビジネス全般に携わる会社を経営しています。

 

 

サードパーティークッキーは必要なのか?

池田氏:ありがとうございます。覆面さんは凄まじい経歴ですね。おそらく何でも知ってらっしゃると思うので楽しみです。
では、始めましょう。まず、そもそもサードパーティークッキーは本当になくなったら困るものなのでしょうか?

iPhoneが大好きな日本ではモバイルの7割のクッキーが既に使えないと言われています。そんな中で「なくなったらどうしよう」と大騒ぎしている訳じゃないですか。業界をあげたコントだと思うのです。

 

山田氏:私はサードパーティークッキーはなくなるべきだと思います。事業者の目線で言うと、みんな今までそれを使えてビジネスをしてきたから、今後もずっと使いたい、そっちのほうが助かるって思っているだけです。そうではなく、そもそもなぜ規制されているのかということをよく考えるべきです。結局のところ、誰かにとって問題があるから規制されているわけで、今の使い方はダメなわけです。だから、なくなるべきですね。
クッキーの技術が云々というよりは、企業が個人に勝手にIDを付けて、ユーザーがメリットを感じられない状態で利用していることがダメなわけです。このような状態なら、サードパーティークッキーはなくなったほうがいいですね。

 

池田氏:ユーザー目線に立つと「私のサードパーティークッキーを使ってくれてありがとう!」って思う人なんかいるわけないですね(笑)。
この点について、覆面さんはいかがですか?今年は「クッキー界の時の人」として、色んなセミナーや記事を書いてらっしゃったと記憶しております。クッキーがなくなったら、仕事がなくなったりしませんか?

 

覆面氏:サードパーティークッキーがなくなっても私の仕事はなくなりませんよ(笑)。米国では既にクッキーがなくなることについては意識しなさすぎなくらいの状況です。もちろん、これまでと同じことが出来なくなることで困る人は出てくるとは思いますが。

 

池田氏:やましょーは元々クッキーにそれほど頼らない硬派なビジネスをやっていたからかもしれないですが、覆面さんがおっしゃったように、困る人もいると思うのです。その解決策として考えられることって何かありますか?

 

山田氏:大前提として、クッキーを補完する必要がそもそもないと思っています。問題の根本は、ユーザーのデータを企業が使って、一方的に利益を得ていることです。ですが、ユーザーにはメリットどころかデメリットしかないのです。解決策としては、ユーザーにメリットがある形でデータを活用することしかないと思います。
クッキーをユーザーにとってメリットがある方法で使うのであればもちろん良いのですが、結局のところ、これをハックする人がでてくるわけです。であれば、そのようなものはない方がいいと思います。

 

覆面氏:ハックする人はでてきますね。私は、もう25年くらいインターネット広告業界にいますが、この業界にデビューした当初、既に、今のMFA(Made-For-Advertising)と呼ばれる類のアービトラージサイトというものがあり、トラフィックをお金にするような仕組みがありました。当初はこのようなサイトも広告配信先の対象に含まれていたのですが、さすがにこれではまずいよなということになりました。
このように、最初は穴だらけだったのですが業界の努力もあって、ある程度是正され、10年くらい前までは自主規制が働いていました。
しかし、現在の状況を考えると、クッキーに限らない話ですが業界の努力に頼るだけでは、たぶん歯止めが効かなくなってきたのかなと感じています。

池田氏:今はAIが使えるようになったので、更にテンション上がっている人たちが増えてしまっている気がしますね...(池田、しんみりとビールを飲み干す)

 

覆面氏:AIを活用することで、全部自動で出来るようになります。今、こうやって飲んでいる瞬間も、新しいサイトが無数に生まれているはずです。そして広告枠もまた無数に作られていますね。これでアドフラウドがあちこちで起こっている。全て全自動です。(覆面氏は、一気にビールを飲み干す)

 

池田氏:正直、オープンインターネット領域のWebサイトの広告枠の数も爆増していますし、このままでは総倒れしてしまいそうな流れを感じています...(池田、おかわりも飲み干す)

 

覆面氏:プラットフォーマー側の売上至上主義にも問題がありますね。Googleのコンテンツターゲティングのページ解析技術があれば、不正を防止することはできるはずなんだけれども、そこには手を付けないのです(※)。

(※)「広告の利便性に関する違反」として、特に2024年後半よりコンテンツに対する広告の占有率が高い場合に発する警告を積極的に発信しており、是正に向けた動きは本格化しつつある

 

 

広告事業者は認可制にすべき!?

 

山田氏:クッキーの話題はもはやどうでもいいですね。話題の一つでしかありません。
私は、日本のインターネット広告、さらにはインターネットビジネス全体の問題として、情報格差を利用してお金を稼ごうとする人たちがいることが挙げられると考えています。
インターネット上には、情報に疎い人を利用して利益を得ることだけを目的にしたビジネスがたくさんあります。
クッキーの活用もある意味で似たような構造になっていると言ってもいいと思います。
これが大きな問題です。こうした背景から、私はやはりインターネット広告を規制産業にするしかないのでは?と考えています。

 

池田氏:いいですね、ノッてきましたね。さー、飲んで飲んで♫(やましょーに生ビール大を注文)

 

山田氏:例えばテレビ広告は規制が厳しく、掲載できない広告表現がたくさんあります。デジタルサイネージでも変な広告は見たことがありません。だけど、子供も見ているような超有名サイトに不適切な漫画の広告が出るというのは、どう考えてもおかしいんですよ。
規制がないからこういうことになるわけであって、広告配信をする事業者は国の認可制にすべきなんです。

街中のお店や道路などが公共の場であるように、インターネット空間も公共の場です。行き過ぎた事業者にちゃんとペナルティを与える仕組み作りが必要だと思います。

 

池田氏:広告事業者を認可制にするのは面白いですね。でも、あまりにも規制が強くなると企業の成長を阻害してしまう可能性もでてきます。ただでさえ、インターネット広告業界で日本発のソリューションが世界と戦えていない中、そのバランスをちゃんと取る必要もありますよね。

 

覆面氏:私は新卒で某通信キャリアに就職しましたが、通信業界は思いっきり規制がありました。電気通信事業法などの法律でガチガチに規制されていた通信業界から自由なインターネットの世界に移ってきて、その違いに驚いたことを覚えています。
実際に規制することで、インターネットの世界やインターネット広告が良くなるかどうかというのは、難しい問いですね。
私も規制は必要だと思いますが、行き過ぎるとインターネットの良さがなくなってしまいます。やはり、バランスが必要だと思います。

 

池田氏:悩ましいですよね。法に触れるサイトはダメですが、やっぱり誰でも恥ずかしいサイトとかも見てしまいますもんね(しらんけど)。
あれ、私をクズみたいな目で見てます?(笑)。もう一杯濃いやつを頼んでもいいですか?
広告事業者が認可制になることで、そういうサイトに広告が流れなくなるとみんな廃業してしまいますよね。自由というのがインターネットの醍醐味の一つだと考えると、インターネットが面白くなくなる懸念もあります。

覆面さん、広告業界には既に色んな業界団体があり、ガイドラインなどもあると思うのですが、その辺についてはどういう見解をお持ちですか?

 

覆面氏:国内にもいくつかの業界団体があり、ガイドラインを出していますが、基本的に自主規制となり法的拘束力がありません。また、プラットフォーム透明化法(※)もありますが、指定を取り消すだけで実質的なペナルティがなく、正直ワークしているとは言えません。
米国のIAB(デジタル広告の標準策定団体)は同じく自主規制でやっているのですが、ほとんどの主要な広告プラットフォームやアドテク企業は加盟していて影響力があります。
例えばプライバシーサンドボックスのワーキンググループなどは、60社以上が参加していて、自主規制で皆でどうしようかということをやっておりワークしていますね。

(※)特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律

 

山田氏:これは僕の見解ですが、IABが米国でワークしているのは、米国はやはり消費者が強いからだと思います。ファストフードでやけどをしただけで訴訟が起こるような社会です。
一方で日本は人命に影響がでるなど、余程の社会問題にならない限り規制をしないのです。

 

池田氏:結局のところ、日本ではそこまでユーザーが今の状況を意識をしていないというか、気にしてないってことかもしれませんね。
恥ずかしいサイトを見ている時に大量の広告が降ってきたりして私の行く手を阻んできますが、自分への戒めとして素直に受け入れている自分がおります(恥)。

 

山田氏:そうです、だからその状況を利用して、一方的に利益をあげようとする企業がでてくるのです。僕たちはこういった現状の原理原則の下で正しい意思決定をしていかないと持続的に成長する企業にならないですし、より良いインターネットの世界にはなりません。
このまま企業がハックし続けるのか、真理に向かうかのどちらかです。

 

クッキー廃止の中止でいったい誰が一番得した?

池田氏:なんだかいい感じの議論になってきました。話を少し戻しましょう。
サードパーティークッキーの廃止が中止になることで、一番得したのは誰なんでしょうか?

 

覆面氏:Googleですね。Googleが昨年(2023年)から今年(2024年)にかけて、プライバシーサンドボックスの開発を本格化してきたのですが、このままだとプライバシーサンドボックスが全然使えないんじゃなかろうかという状況に陥りました。CMA(※)も、Googleからのフィードバックを受けて、さすがにこれではマズいよねということになったんだと思います。

米国の市場ではCMAが頂点なので、CMAのGoogleとの交渉が、完全に膠着状態になってしまうと先に進めません。Googleはすでに3回もクッキーの廃止時期を延期して、このままでは、4回目、5回目、6回目となって...という未来が予想できました。
一般的には、クッキーが残るんだ!というポジティブな反応が多いですが、Googleはプライバシーサンドボックスの完成を諦めてませんし、完成すれば必ずクッキーを廃止するでしょう。

今回の件は、プライバシーサンドボックスをしっかりと開発するための「体のいい」時間稼ぎだと思っています。

(※)CMA(Competition and Markets Authority):英国の競争・市場庁。日本の公正取引委員会に相当

 

山田氏:自分もDSPを運営している広告事業者なので回答をしにくいですが(笑)、多分損をした人はいないでしょう。Googleによるあの発表があっても、プライバシーサンドボックスに関する対応は関係なく続けられています。


池田氏:最近Googleさんが作る広告フォーマットって、なんだかとんでもないことになっていますよね。まさかBetter Ads Standardを推進しているGoogleさんがインタースティシャル広告や、大型のオーバーレイ広告などをWebサイトでやるとは思いませんでした。あれはもう、コンテンツを見るなと言っているような空気すら感じてしまいます。

 

 

覆面氏:だいぶ酔ってきましたし、覆面だし、元Google出身者としてGoogle に言いたいことは山ほどありますね。

 

池田氏:そうです。覆面さん、あなたは覆面です。(すかさず、生ビールの大ジョッキを注文)

 

覆面氏:Googleの行動規範「Google が掲げる 10 の事実」の中から、「Don’t be Evil(邪悪になるな)」というのがあるのですが、いつからか機能しなくなったように感じます。。そしてその後のGoogleは全然変わってしまったなと思います。かつては、社内で議論をしていても、「それ、Don’t be Evilだから」と何回も言われました。言われると傷ついちゃうんですけど(笑)。

 

池田氏:いつぐらいからGoogleさんは変わってきたと思いますか?

 

覆面氏:まあ、僕がいなくなってからですかね(キリッ)。私は2009年にGoogleを辞めました。

 

池田氏:カッコイイ〜!よっ!覆面さん!

 

覆面氏:かつて、私がGoogleにいたころ、上司に対してこういう広告配信の仕方をするとこのくらい儲かると提案したところ、すごく怒られました。

 

池田氏:覆面さんが、Evilだったんですね(笑)。

 

山田氏:少し関係ないですが、前から思っていた素朴な疑問があるんです。AAID(※)は、ブラウザでも使うことはできると思うのですが、なぜやらないのでしょうか?
アプリでやるんだったら、ブラウザでもやったっていいじゃんと思うんですよね。不思議だなと思います。

(※)AAID(Google Advertising ID):Android端末用の広告識別子。iOSのIDFAに相当

 

覆面氏:僕もわからないですね。ただ、今が出し時ではないと思っているのでしょう。独占禁止法をめぐる色んな係争を抱えている今だと、絶対やり玉にあがりますしね。

 

 

クッキー利用の許諾方式はどうなる?

池田氏:今後予定されているクッキー利用の許諾を取る方法についてはどういう方式になるんでしょうか?結局今の状態はクッキーを廃止すべき本質的な理由については何も解決していませんしね。

Webサイトで良く見る「クッキーを使って良いですか?◯◯▢▢✕✕△△…」と色んなことを書いたり操作させて、面倒くさくなって「同意する」のボタンを押してしまうタイプか、AppleのATTのように「APPにトラッキングしないように要求」という文言で、何か怖いので「同意しない」ボタンを押してしまうタイプかでは全然許諾率が違うと思うのです。

実際前者のタイプだとオプトインを前提としているGDPR圏では9割程度が許諾しているということを聞いたことがあります。逆に後者だと前職の経験がまだ通じるなら、2〜3割程度の許諾率だと記憶しています。つまり、オプトインの取得方法によって許諾率は大きく変わるんですよね。

いずれにしろ、形式的にユーザーに選択肢を与えているというだけになってしまっては意味がありません。しっかりとユーザーが理解して選択できるような仕組みが必要です。

 

覆面氏:本当に現状はまだ何も解決していません。報道によると、Googleがプライバシーサンドボックスを撤回をするときに、どこの当局とのやり取りかは記載がありませんでしたが、ある程度具体的な内容を話していたようです。また、プライバシーサンドボックス推進に多大な協力をしていたW3C(※)はGoogleの突然のクッキー廃止の撤回に怒って「オイコラ」といって、声明を出していましたね。

(※)W3C(World Wide Web Consortium):Web技術の標準化を行なう非営利団体

 

山田氏:ユーザーが理解して選択できるような仕組みを作らないと全く意味がありません。アプローチとして考え得るものとして、ブラウザ標準で「このサイトで取得した行動履歴を取得するけれども良いでしょうか?」という表示を出したり、より具体的な内容を伝えて選択してもらえるようにすべきです。

いずれにしろ、今の流れだと少なくとも暫くはクッキーは残るわけで、クッキーの性質上、利用を許諾した方々に関するプライバシーの問題は完全には解決していない状態です。その問題にも対処していく必要があります。

 

覆面氏:クッキーが残るか残らないかについては、両方あり得ると思います。クッキーが残ることを前提にしたソリューションが出てくるとしたら米国からのほうが早いでしょうが、まだ聞いたことがありません。ですが、今後出てくる可能性もありますね。

個人的な意見として、プライバシーの問題は残ると思います。Googleは色々な意味での時間稼ぎをしていて、とりあえずクッキーを残すことにしました。そして、プライバシーサンドボックスを何とか完成させて、運用が安定化した後に、再びクッキーを廃止する方針に舵を切ると思っています。

 

池田氏:そうすると、Googleさんはより良いものを開発するために、ポジティブな時間稼ぎをしているんですね。

 

覆面氏:うーん、そうとも言い切れませんね。Googleは、今多くの訴訟を抱えていて、それどころではなさそうなんですよね。その結果によっては、サービスを分割せざるを得なくなる可能性があります。やはり焦点になったのはアドサーバーとしてのGoogle アドマネージャー(GAM)とAd Exchangeです。これを切り離すことになるでしょう。そして、彼らの事業戦略の中ではサーチとYouTubeに集中していく算段だと思っています。ただ、Googleとしても計算違いがあって、AIの進化によりサーチの将来が危うくなってきていることです。

 

池田氏:なるほど。Googleさんの株を少しだけ持っている自分としては、Googleさんにエールを送りたいと思います。ガンバレー!(渋谷の方角を向いてビールをガブ飲み)

広告計測はどうなっていく?

山田氏:なんか言おうと思ってたんだけど、忘れてしまいました。(やましょーここで、梅干しサワーの梅干しをつぶす)

 

池田氏:いいんです、これが居酒屋対談です。思い出したら手を挙げてください。

 

山田氏:(さっそく手を挙げる)広告計測の話なんですけど、クッキーがなくなると、正しい計測ができなくなり、ズルをする事業者とかも出てくると言う人もいますが、そもそもクッキーがある今でも正しいデータなんて誰も見れていませんよ。

 

池田氏:いきなりきましたね。さすが「計測界の潔癖症」。素晴らしいです。続けてください。

 

山田氏:あなたが見ている「1」は「1」じゃないよということです。被害が半端ないのです。アドフラウドなんて比ではない。
私たちの試算によると、インターネット広告費2兆円のうち、40%、8,000億円分は無駄になっているのです。これぐらい、皆計測が正しいという間違った認識をしているのです。特にアプリのマーケットは酷いです。(ビュースルーコンバージョン・・・・。YouTube・・・。という主語を皮切りに、アプリ計測の闇を解説するも周りのギャルの声の力でかき消される)

 

池田氏:覆面さんはアプリはいかがですか?

 

覆面氏:アプリに関しては、私はちょっと遠いです。(消して詳しくないとは言わないところに、プロ意識の強さを感じる)

 

山田氏:そもそも、ユーザーを追いかけて評価することに限界があるんです。

 

池田氏:では、どうやって評価することが最善だと考えていますか?

 

山田氏:MMM(※)で評価するのが現時点では最善だと考えますが、今の時点でまだ決定打はないですね。広告の評価はとても難しくて・・・。(と評価について力強く解説するも、隣席のギャルのより力強い言葉にかき消される)

(※)MMM(Marketing Mix Modeling):マーケティング施策の効果を定量化する統計学的な分析手法

 

池田氏:MMMに関しては私も期待しています。実際に広告に使ったお金が売上にどういう変化を与えたのかを、管理画面のCPI、CPAとかの数字ではなく、ちゃんと把握することは重要です。覆面さんは計測に関してはいかがでしょうか?

 

覆面氏:アトリビューションに関しては、恐らく日本で一番早く取り組みました。サードパーティークッキーがあったからこそ、コンバージョンパスデータが取れました。それをシンプルな計算式で、ファーストタッチからラストタッチまで割り振ることが出来た。

MMMに関しては、結局のところ定点観測をするカルチャーが日本にはないからそんなに使われていないですね。年一回ではなく、しっかりと定点観測をしていく必要があります。

 

山田氏:そもそも計測に関しては、現状のハックしようのあるアトリビューション計測条件を元にしたアプローチではだめですね。最近ではMetaもRobynというツールをリリースしましたが、後から客観的に評価するMMMはやはり有効なアプローチの一つであると思います。

 

覆面氏:MMMはすごく良いツールが出てきていますよね。ですが、相当知識がないと使いこなせないですね。使いこなせる人材が不足しています。

 

池田氏:ツールを使いこなせたとしても、出たアウトプットをしっかりと実に変えることが出来る人も必要になりますしね。ちなみにどれくらいで定着しそうかとかありますか?

 

覆面氏:私は「GA4現象」と言っているのですが、最終的に今年(2024年)6月末までにGA4に移行する必要があったのですが、7月になって「やばい!」ということになって、すぐに対応した人もいれば、何か月か後に対応をした人もいました。
サードパーティークッキーがGoogleの方針で今後どうなるかわからないですが、クッキーがなくなり、IDが本当に使えなくなるとなったら本気で考えようという動きになる気がしています。

そうなったら、ターゲティングに関しても計測に関してもMMMに関しても腰を据えて向き合わざるを得なくなると思います。

 

 

今回の「クッキー騒動」を通じて

池田氏:そろそろ酔いと共に時間もいい感じに回って参りました。これで最後の質問にしますね。今回のクッキー騒動を通じて、我々は今後どのようにユーザーと向き合い、オープンインターネットを盛り上げていけば良いでしょうか?

 

山田氏:やはりインターネットは自由な世界ですし、みんなの可能性を開くという意味でも、主役はやはりユーザーです。すべてはユーザーに返すべきです。ユーザーにメリットがある仕組みでみんながビジネスをやるべきです。ファーストパーティデータもそもそも企業のものではなく、理想としては、企業はゼロパーティデータを活用すべきだと考えています。ユーザーにしっかりと許諾を取ったうえで使うべきですし、そこまで行って初めて実現できると考えています。

ユーザーにメリットを提供することを第一に取り組むことが、オープンインターネットの活性化につながると思います。

 

覆面氏:たぶん言いたいことは変わらないのですが、やはりプライバシーに答えがあると思います。なぜこうなっているのかという理由を理解する必要があります。

ファーストパーティデータについて、私がいま懸念しているのは、ファーストパーティデータ偏重になっていることです。プライバシー保護の背景を理解しておかないと、乱用される状況になってしまいます。そうすると規制が入った時にファーストパーティデータもNGであるということになる。これは日本だけではなく、世界的にそうなる可能性もゼロではありません。ですので、ファーストパーティデータの活用についても、お作法が必要になってきます。

 

山田氏:そうですね。ファーストパーティーデータの活用についても、現状はユーザーが認知していないところで、企業が次々と活用の用途を広げていくというようなことが行われています。

例えば、ECサイトで「あなたのデータは企業が使わせてもらいます。もし活用させていただけたら、3000円OFFクーポンを差し上げます」というようなソリューションを導入して、データを活用するような取り組みとかはどうですかね?

企業がユーザーに分かりやすく、自分のデータがどう使われるかを伝えて、メリットがあることを理解していただいたうえで、活用すべきです。ユーザーに対してもっとメリットを返さないと、釣り合わないと思います。データで儲けている企業は、半分以上はユーザーのおかげだと思うのです。ユーザーにメリットを返すために何が出来るのか、ということを考えるところにビジネスチャンスがあるのではないでしょうか。

 

池田氏:本日の居酒屋対談では、クッキーを取り巻く状況や、インターネット広告業界の課題について深く掘り下げることができました。結論として、技術や規制の変化を超えて、最も大切なのはユーザーの視点に立つことだと感じました。私たちが、ユーザーにとってのメリットをしっかりと提供し、信頼される関係を築いていくことが、オープンインターネットの未来を支える鍵になるでしょう。

これからも議論は続きますが、本日の話を通じて、業界全体が「利益追求」ではなく「価値提供」にシフトするきっかけになれば幸いです。さあ、皆さん、飲み干して締めましょう!乾杯!

きれいに話がまとまったのを機に乾杯し、各々ハイボールや梅サワーを飲み干した3人。

 

この後は、一定プライバシーが保護された環境下で、近い、居心地がいい、お酒とカラオケで気分よく自分に酔えるといった、ユーザー目線で分かりやすい価値提供をしてくれる、とはいえおなじみの、恵比寿ガーデンプレイス脇の小さなスナックへと向かっていった。

後付けであったのかどうかは定かではないが、そこでは、覆面氏の会社設立15周年のお祝いも、盛大に執り行われたそうだ。

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三方良しのデジタル広告戦略:生活者を引きつけるメディア選定の鍵 ― ATS Tokyo 2024イベントレポート https://www.exchangewire.jp/2024/12/27/news-atstokyo2024-session-report-triple-windigitaladvertisingstrategies/ <![CDATA[町田貢輝]]> Thu, 26 Dec 2024 23:00:47 +0000 <![CDATA[ATS Tokyo 2024]]> <![CDATA[ATSTOKYO2024]]> <![CDATA[Viewability]]> <![CDATA[アテンション]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84170 <![CDATA[

デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。
 
 
「三方良しのデジタル広告戦略:生活者を引きつけるメディア選定の鍵」と題した本セッションには、KDDI株式会社 ブランド・コミュニケーション本部 コミュニケーションデザイン部 高村 真介氏、The Trade Desk Japan株式会社 ビジネスディベロップメント ディレクター 鈴木 哲郎氏、モデレーターとしてExchangeWire JAPAN 編集長 野下 智之が登壇した。
 
 
本セッションでは、ブランドセーフティに加え、ビューアビリティやアテンションなどの指標の真価やクリエイティブやフォーマットの重要性も探求しつつ、広告主・媒体社・生活者三方良しのアプローチを通じ、ウォールドガーデン・オープンインターネットを含めたデジタルマーケティングにおけるメディア選定について議論を行った。
  
KDDI株式会社の高村氏は、三方良しの考え方について、ユーザーにとって不快ではない形で興味惹かれる広告が掲載され、広告主はユーザーとの好意的な広告コミュニケーションにより、広告効果とブランド好意が上がりユーザーにとって居心地のよいコンテンツ体験とマネタイズを両立し、メディアのファンを増やす事ができる状態であると述べた。
 

KDDI株式会社 ブランド・コミュニケーション本部 
コミュニケーションデザイン部 高村 真介氏
 
そしてメディア予算のアロケーションがいわゆるウォールドガーデンに寄りすぎている現状を述べた。
ウォールドガーデンに予算が寄っている理由としてKDDI株式会社の高村氏は、認知ファネルの案件に活用されていることを上げている。その理由としては
 

一定のリーチも取れ、またターゲットとなるデモグラなど出稿目的にあわせた媒体が選定しやすいこと
確定データであることが多く、生活者の興味関心を高い精度でターゲティングとして使用できること
媒体独自で調査を行う事ができ実施後の評価をしやすいこと

 
を挙げた。ただその一方で、
「ウォールドガーデンへの出稿だけでは、他の広告主と差別化が図れず、出稿の出し合いによる競争の激化、単価の上昇も課題に感じています。」
と述べた。
 
上記の内容を踏まえモデレーターの野下は、「国内外で他の広告主でもウォールドガーデンが強いのか?」と質問。
それに対し、The Trade Desk Japan株式会社の鈴木氏は
「キャンペーンの配信チャネルの設計にもよりますが、多くの広告主さんにおいてメディアアロケーションは似ています。まず大手プラットフォームありきでメディアプランが組まれることが多い状況です。海外もウォールドガーデンの割合の方が強いですが、日本ほど寄りすぎてはいないと思います。JAAのデータにもありますが、アメリカのデジタル広告費のアロケーションは、ウォールドガーデンが6割程度、オープンインターネットとその他が残りで、日本よりもオープンインターネットの多様なデマンドソースを活用している状況です。この数字は、かつて海外のウォールドガーデンで実際に広告販売を行っていた私としても納得感があります」と報告した。
 

The Trade Desk Japan株式会社 ビジネスディベロップメント ディレクター 鈴木 哲郎氏
 
続けて
「日本でオープンインターネットの割合が低いことに対して、なにか特別な理由があるわけではなく、広告主が『オープンインターネットは広告が表示される出面がどんなものかわからない、そのため広告を出すことに躊躇する』と警戒していることも主な理由のひとつであると考えています。
広告主は三方良しの世界を目指すためにも、生活者に寄り添った広告コミュニケーションが大前提としてある中で、人を起点としたマーケティングが重要です。なぜなら生活者はデジタルの可処分時間において、複数デバイスを駆使して多くのコンテンツに接触しブランドのタッチポイントも多くなりました。SNSや検索のみに限らず、生活者が利用する場所の中で上質な広告体験を提供できる媒体社があるならば、しっかりと活用していくべきであり、またメディア選定だけではなくそこに過剰な広告接触回数にならないようなフリークエンシーコントロールや、ブランドセイフティも必須となります」
と述べた。
 
 
上質な広告体験を提供できる媒体社という発言に対しKDDI株式会社の高村氏は、「auスマホ応援割U22」とカレンダーシェアアプリ「TimeTree」が行ったキャンペーンの成功を引き合いに出しながら、ウォールドガーデン以外でも媒体社の選定をしっかりと行えば、三方良しの広告運営が行えるとし、さらに新たな指標であるアテンションに関しても、
「KDDIでは、2018年ぐらいから、テレビでもアテンション計測を開始しました。アテンション計測を始めたことで、画面に目が向いて注目してもらえているか? という部分まで確認できるようになった」
と述べた。
上記の返答を受け、The Trade Desk Japan株式会社の鈴木氏は
「従来のビューアビリティの指標だけでは『広告が視認可能な状態にあるかどうか』しかわからず、本当にユーザーに興味関心を持ってもらっているのかどうかがわかりませんでした。アテンションの計測によって、その広告がユーザーから支持されたかどうかが数値としてわかるようになったことで、今まで枠としてあまり重要視されていなかったウェブメディアが実はアテンションの観点でしっかりとユーザーの注目を取れていた、ということがわかってくれば、そういったメディアが今後フォーカスされ今よりもより多くの広告媒体の価値が見直される機会も出てくるはずです」
と報告した。
 

ExchangeWire JAPAN 編集長 野下 智之
 
最後、「三方良しのデジタル広告戦略に必要なこと」という質問に対し、KDDI株式会社の高村氏は媒体社(メディア)に向き合うことが大切とし、
「広告主、代理店、DSPなどの配信会社の人たちが、広告を配信するメディアの特徴を理解し、最適な広告を配信することが生活者を引きつけるメディア選定の鍵となると同時に、三方良しのデジタル広告戦略につながっていく」
と述べた。
The Trade Desk [...]

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<![CDATA[

デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。

 

 

「三方良しのデジタル広告戦略:生活者を引きつけるメディア選定の鍵」と題した本セッションには、KDDI株式会社 ブランド・コミュニケーション本部 コミュニケーションデザイン部 高村 真介氏、The Trade Desk Japan株式会社 ビジネスディベロップメント ディレクター 鈴木 哲郎氏、モデレーターとしてExchangeWire JAPAN 編集長 野下 智之が登壇した。

 

 

本セッションでは、ブランドセーフティに加え、ビューアビリティやアテンションなどの指標の真価やクリエイティブやフォーマットの重要性も探求しつつ、広告主・媒体社・生活者三方良しのアプローチを通じ、ウォールドガーデン・オープンインターネットを含めたデジタルマーケティングにおけるメディア選定について議論を行った。

  

KDDI株式会社の高村氏は、三方良しの考え方について、ユーザーにとって不快ではない形で興味惹かれる広告が掲載され、広告主はユーザーとの好意的な広告コミュニケーションにより、広告効果とブランド好意が上がりユーザーにとって居心地のよいコンテンツ体験とマネタイズを両立し、メディアのファンを増やす事ができる状態であると述べた。

 

KDDI株式会社 ブランド・コミュニケーション本部 

コミュニケーションデザイン部 高村 真介氏

 

そしてメディア予算のアロケーションがいわゆるウォールドガーデンに寄りすぎている現状を述べた。

ウォールドガーデンに予算が寄っている理由としてKDDI株式会社の高村氏は、認知ファネルの案件に活用されていることを上げている。その理由としては

 

  • 一定のリーチも取れ、またターゲットとなるデモグラなど出稿目的にあわせた媒体が選定しやすいこと
  • 確定データであることが多く、生活者の興味関心を高い精度でターゲティングとして使用できること
  • 媒体独自で調査を行う事ができ実施後の評価をしやすいこと

 

を挙げた。ただその一方で、

ウォールドガーデンへの出稿だけでは、他の広告主と差別化が図れず、出稿の出し合いによる競争の激化、単価の上昇も課題に感じています。」

と述べた。

 

上記の内容を踏まえモデレーターの野下は、「国内外で他の広告主でもウォールドガーデンが強いのか?」と質問。

それに対し、The Trade Desk Japan株式会社の鈴木氏は

「キャンペーンの配信チャネルの設計にもよりますが、多くの広告主さんにおいてメディアアロケーションは似ています。まず大手プラットフォームありきでメディアプランが組まれることが多い状況です。海外もウォールドガーデンの割合の方が強いですが、日本ほど寄りすぎてはいないと思います。JAAのデータにもありますが、アメリカのデジタル広告費のアロケーションは、ウォールドガーデンが6割程度、オープンインターネットとその他が残りで、日本よりもオープンインターネットの多様なデマンドソースを活用している状況です。この数字は、かつて海外のウォールドガーデンで実際に広告販売を行っていた私としても納得感があります」と報告した。

 

The Trade Desk Japan株式会社 ビジネスディベロップメント ディレクター 鈴木 哲郎氏

 

続けて

「日本でオープンインターネットの割合が低いことに対して、なにか特別な理由があるわけではなく、広告主が『オープンインターネットは広告が表示される出面がどんなものかわからない、そのため広告を出すことに躊躇する』と警戒していることも主な理由のひとつであると考えています。

広告主は三方良しの世界を目指すためにも、生活者に寄り添った広告コミュニケーションが大前提としてある中で、人を起点としたマーケティングが重要です。なぜなら生活者はデジタルの可処分時間において、複数デバイスを駆使して多くのコンテンツに接触しブランドのタッチポイントも多くなりました。SNSや検索のみに限らず、生活者が利用する場所の中で上質な広告体験を提供できる媒体社があるならば、しっかりと活用していくべきであり、またメディア選定だけではなくそこに過剰な広告接触回数にならないようなフリークエンシーコントロールや、ブランドセイフティも必須となります」

と述べた。

 

 

上質な広告体験を提供できる媒体社という発言に対しKDDI株式会社の高村氏は、「auスマホ応援割U22」とカレンダーシェアアプリ「TimeTree」が行ったキャンペーンの成功を引き合いに出しながら、ウォールドガーデン以外でも媒体社の選定をしっかりと行えば、三方良しの広告運営が行えるとし、さらに新たな指標であるアテンションに関しても、

「KDDIでは、2018年ぐらいから、テレビでもアテンション計測を開始しました。アテンション計測を始めたことで、画面に目が向いて注目してもらえているか? という部分まで確認できるようになった」

と述べた。

上記の返答を受け、The Trade Desk Japan株式会社の鈴木氏は

「従来のビューアビリティの指標だけでは『広告が視認可能な状態にあるかどうか』しかわからず、本当にユーザーに興味関心を持ってもらっているのかどうかがわかりませんでした。アテンションの計測によって、その広告がユーザーから支持されたかどうかが数値としてわかるようになったことで、今まで枠としてあまり重要視されていなかったウェブメディアが実はアテンションの観点でしっかりとユーザーの注目を取れていた、ということがわかってくれば、そういったメディアが今後フォーカスされ今よりもより多くの広告媒体の価値が見直される機会も出てくるはずです」

と報告した。

 

ExchangeWire JAPAN 編集長 野下 智之

 

最後、「三方良しのデジタル広告戦略に必要なこと」という質問に対し、KDDI株式会社の高村氏は媒体社(メディア)に向き合うことが大切とし、

「広告主、代理店、DSPなどの配信会社の人たちが、広告を配信するメディアの特徴を理解し、最適な広告を配信することが生活者を引きつけるメディア選定の鍵となると同時に、三方良しのデジタル広告戦略につながっていく」

と述べた。

The Trade Desk Japan株式会社の鈴木氏は、

「高村さんのおっしゃる通り、まず我々広告に関わる人間がしっかりとメディアを理解すること、またその上で、無知の機会損失を減らすために我々広告事業会社も情報を発信していくことが重要です。そして、生活者を引きつけるために、広告主、代理店、広告事業会社の三者がメディアとしっかりとコミュニケーション取ること大切だと感じています。それぞれが膝を突き合わせて会話できる機会をどんどん作っていきたいですね。」

と締めくくった。

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展望 – 変革の2025年:CTV広告のさらなる進化 2024年を振り返り、来年を展望する https://www.exchangewire.jp/2024/12/26/column-pubmatic-ctvad-evolution/ <![CDATA[WireColumn]]> Wed, 25 Dec 2024 23:00:14 +0000 <![CDATA[APAC]]> <![CDATA[CTV]]> <![CDATA[PubMatic]]> <![CDATA[Sponsored]]> <![CDATA[WireColumn]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84188 <![CDATA[

デジタル広告業界はまさにダイナミックそのもので、2024年は変革の年となりました。APAC(アジア太平洋)地域全体の変化を振り返ると、コネクテッドTV(CTV)が広告主にとっての焦点として浮上した状況が、ブランドがオーディエンスとつながる方法を再構築し、デジタル広告でできることの限界を押し広げているのは明らかです。
この記事では、日本を含むAPAC地域全体の2024年の振り返りと2025年の展望について、触れていきたいと思います。
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2024年のCTVの進化:成長痛から成熟へ
 
2024年は、広告付きSVOD(サブスクリプションベースのオンデマンド動画)サービスの台頭が目立ちました。Paramount+、Netflix、Disney+といった世界規模の事業者がAPAC全域で広告付き配信を導入または拡大し、オーストラリアではStan SportやBingeのようなローカルプラットフォームも加わりました。こうした変化は、経済的圧力への対応というより、多様な消費者の嗜好を捉えるための戦略的な動きを反映しています。広告付きモデルが消費者の参入障壁を下げ、広告主のプレミアムインベントリを増やした結果、CTV広告市場は劇的に拡大しました。
 
CTV分野に関わる企業が増えるにつれて、その高度化も進んでいます。フリークエンシーの管理、ターゲティング、測定といった長年の課題が解決され、より合理的で効果的なキャンペーンが可能になりつつあります。ただし一方で、新規参入者の増加により、かつてこの分野を独占していた放送局は広告費をめぐる競争の激化に直面しています。これにより、コンテンツと戦略におけるイノベーションの必要性が高まっています。
 
CTVにおけるプログラマティック取引の急速な普及は、CTVの魅力をさらに高めています。リアルタイムで特定のオーディエンスをターゲットにできることと、テレビという比類のない画面の存在感が相まって、CTVはファネル上部での認知と、パフォーマンス主導型マーケティングのハイブリッドとして位置づけられてきました。バイヤーとパブリッシャーのより緊密な連携によって促進されるプログラマティック取引における透明性の向上も、信頼のギャップを埋めるのに役立っています。
 
しかし、こうした進化に伴い、特にオーディエンス測定や、ウォールドガーデンにまたがるインベントリの断片化拡大といった新たな課題も生じています。
 
 
今後の展望:2025年のCTV
 
2025年になると、CTVの状況はチャンスと課題の両方に直面するでしょう。注目すべき主なトレンドは以下の通りです。
 
1.ウォールドガーデンの課題
独自のエコシステムが台頭したCTVでは、各プラットフォームがインベントリへのアクセスと取引のダイナミクスをコントロールするため、オーディエンスの統合的な把握を求める広告主にとって課題が生じています。プラットフォーム間でオーディエンスを統合的に追跡できないことは、ターゲティングを複雑にするだけでなく、キャンペーンの効率や測定にも影響を及ぼします。広告主は、シームレスなプランニングと実行を確実にするため、より透明性が高く、相互運用可能なソリューションを支持する必要があります。
 
2.オーディエンス測定
測定は引き続き重要な問題です。オーストラリアのオーディエンス測定調査会社OzTAMのような業界リーダーは精度を高めてきましたが、断片化の課題は残っています。Foxtelが測定をKantarに移行するという発表と、Amazon、SBS、YouTubeといった事業者によるVideo Futures Collectiveの結成はともに、一致した測定基準がないことを浮き彫りにしました。CTVが持てる能力を発揮するために、業界は、各社独自のデータを損なわずにクロスプラットフォームのインサイトを促進する標準の確立と共有に向けて、協力して取り組む必要があります。
 
3.フルファネルのソリューションとしてのCTV
これまで、ファネル上部のプレミアムチャネルと見なされてきたCTVは、今やパフォーマンス主導のメディアへと進化しています。ターゲティングとアトリビューションのツール群が成熟するにつれ、より多くの広告主がCTVを利用してファネル中部やファネル下部の成果を促進するようになっています。広告付きモデルのユーザー層の拡大により、取引されるCPMの価格帯も広がり、パフォーマンスマーケティングの担い手にとってより利用しやすいチャネルとなるでしょう。
 
4.差別化要因としてのコンテンツ
オーディエンスの注目を集めるための戦いは、ますますコンテンツの質と多様性に左右されるでしょう。魅力的でローカライズされた独自のコンテンツに投資するパブリッシャーは、視聴者を呼び込むだけでなく、プレミアムな広告支出も確保できます。米国におけるFAST(広告付き無料配信テレビ)チャンネルの成功は、消費者が多様なエンターテインメントの選択肢にアクセスする費用対効果の高い方法を求めているAPAC地域において、何が可能かを垣間見せています。
 
5.タッチポイントを超えたシームレスな広告
2025年、主要ブランドはCTVと他のチャネルを統合した一体感のあるジャーニーの構築を優先するでしょう。CTVの大画面のインパクトは、QRコードやショッパブル広告のようなインタラクティブなフォーマットと組み合わされ、オムニチャネル体験を促進するためにますます活用されるようになります。CTVをオンライン動画と組み合わせることで、特にメディア習慣が大きく異なる多様なAPAC市場において、リーチと効率がさらに増幅されるでしょう。
 
今後の展望:コラボレーションとイノベーション
 
CTVがAPAC地域の広告エコシステムでその役割を確立するには、コラボレーションが鍵となります。パブリッシャー、技術プラットフォーム、広告主は互いに協力して、断片化を克服し、測定を合理化し、プレミアムなユーザー体験を確保しなければなりません。先進的な広告フォーマット、ダイナミックなクリエイティブの最適化、オーディエンス分析といったイノベーションの能力が、この急速に進化する分野での勝者を決めるでしょう。
 
ブランドにとって、2025年は戦略を見直し、CTVの力を最大限に活用する好機となります。コンテンツ、ターゲティング、測定を連携させることにより、ブランドは印象的かつ測定可能な方法でオーディエンスとつながることができます。その結果、CTVは今後数年のうちにメディアミックスの要としての地位を確立するでしょう。
 

コラム執筆者
 
菱田 遼
パブマティック株式会社 Senior Director, Customer Success & Publisher Development
 
 
2013年にサイバーコミュニケーションズ(現CARTA COMMUNICATIONS)に入社、アドネットワークのメディア開拓やアドエクスチェンジのプロダクト担当として従事。2015年にストラテジックアカウントマネージャーとしてPubMaticに入社し、2024年で9年目を迎える。入社当初よりサプライサイドの既存顧客担当として自社プロダクトの導入やマネタイズの支援を行い、現在はPubMatic Japanのカスタマーサクセスチームのディレクターとして、ウェブメディア、アプリ、OTT/CTVにおけるビジネスを牽引。

 
 

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デジタル広告業界はまさにダイナミックそのもので、2024年は変革の年となりました。APAC(アジア太平洋)地域全体の変化を振り返ると、コネクテッドTV(CTV)が広告主にとっての焦点として浮上した状況が、ブランドがオーディエンスとつながる方法を再構築し、デジタル広告でできることの限界を押し広げているのは明らかです。

この記事では、日本を含むAPAC地域全体の2024年の振り返りと2025年の展望について、触れていきたいと思います。

(Sponsored by PubMatic)

 

 

2024年のCTVの進化:成長痛から成熟へ

 

2024年は、広告付きSVOD(サブスクリプションベースのオンデマンド動画)サービスの台頭が目立ちました。Paramount+、Netflix、Disney+といった世界規模の事業者がAPAC全域で広告付き配信を導入または拡大し、オーストラリアではStan SportやBingeのようなローカルプラットフォームも加わりました。こうした変化は、経済的圧力への対応というより、多様な消費者の嗜好を捉えるための戦略的な動きを反映しています。広告付きモデルが消費者の参入障壁を下げ、広告主のプレミアムインベントリを増やした結果、CTV広告市場は劇的に拡大しました。

 

CTV分野に関わる企業が増えるにつれて、その高度化も進んでいます。フリークエンシーの管理、ターゲティング、測定といった長年の課題が解決され、より合理的で効果的なキャンペーンが可能になりつつあります。ただし一方で、新規参入者の増加により、かつてこの分野を独占していた放送局は広告費をめぐる競争の激化に直面しています。これにより、コンテンツと戦略におけるイノベーションの必要性が高まっています。

 

CTVにおけるプログラマティック取引の急速な普及は、CTVの魅力をさらに高めています。リアルタイムで特定のオーディエンスをターゲットにできることと、テレビという比類のない画面の存在感が相まって、CTVはファネル上部での認知と、パフォーマンス主導型マーケティングのハイブリッドとして位置づけられてきました。バイヤーとパブリッシャーのより緊密な連携によって促進されるプログラマティック取引における透明性の向上も、信頼のギャップを埋めるのに役立っています。

 

しかし、こうした進化に伴い、特にオーディエンス測定や、ウォールドガーデンにまたがるインベントリの断片化拡大といった新たな課題も生じています。

 

 

今後の展望:2025年のCTV

 

2025年になると、CTVの状況はチャンスと課題の両方に直面するでしょう。注目すべき主なトレンドは以下の通りです。

 

1.ウォールドガーデンの課題
独自のエコシステムが台頭したCTVでは、各プラットフォームがインベントリへのアクセスと取引のダイナミクスをコントロールするため、オーディエンスの統合的な把握を求める広告主にとって課題が生じています。プラットフォーム間でオーディエンスを統合的に追跡できないことは、ターゲティングを複雑にするだけでなく、キャンペーンの効率や測定にも影響を及ぼします。広告主は、シームレスなプランニングと実行を確実にするため、より透明性が高く、相互運用可能なソリューションを支持する必要があります。

 

2.オーディエンス測定
測定は引き続き重要な問題です。オーストラリアのオーディエンス測定調査会社OzTAMのような業界リーダーは精度を高めてきましたが、断片化の課題は残っています。Foxtelが測定をKantarに移行するという発表と、Amazon、SBS、YouTubeといった事業者によるVideo Futures Collectiveの結成はともに、一致した測定基準がないことを浮き彫りにしました。CTVが持てる能力を発揮するために、業界は、各社独自のデータを損なわずにクロスプラットフォームのインサイトを促進する標準の確立と共有に向けて、協力して取り組む必要があります。

 

3.フルファネルのソリューションとしてのCTV
これまで、ファネル上部のプレミアムチャネルと見なされてきたCTVは、今やパフォーマンス主導のメディアへと進化しています。ターゲティングとアトリビューションのツール群が成熟するにつれ、より多くの広告主がCTVを利用してファネル中部やファネル下部の成果を促進するようになっています。広告付きモデルのユーザー層の拡大により、取引されるCPMの価格帯も広がり、パフォーマンスマーケティングの担い手にとってより利用しやすいチャネルとなるでしょう。

 

4.差別化要因としてのコンテンツ
オーディエンスの注目を集めるための戦いは、ますますコンテンツの質と多様性に左右されるでしょう。魅力的でローカライズされた独自のコンテンツに投資するパブリッシャーは、視聴者を呼び込むだけでなく、プレミアムな広告支出も確保できます。米国におけるFAST(広告付き無料配信テレビ)チャンネルの成功は、消費者が多様なエンターテインメントの選択肢にアクセスする費用対効果の高い方法を求めているAPAC地域において、何が可能かを垣間見せています。

 

5.タッチポイントを超えたシームレスな広告
2025年、主要ブランドはCTVと他のチャネルを統合した一体感のあるジャーニーの構築を優先するでしょう。CTVの大画面のインパクトは、QRコードやショッパブル広告のようなインタラクティブなフォーマットと組み合わされ、オムニチャネル体験を促進するためにますます活用されるようになります。CTVをオンライン動画と組み合わせることで、特にメディア習慣が大きく異なる多様なAPAC市場において、リーチと効率がさらに増幅されるでしょう。

 

今後の展望:コラボレーションとイノベーション

 

CTVがAPAC地域の広告エコシステムでその役割を確立するには、コラボレーションが鍵となります。パブリッシャー、技術プラットフォーム、広告主は互いに協力して、断片化を克服し、測定を合理化し、プレミアムなユーザー体験を確保しなければなりません。先進的な広告フォーマット、ダイナミックなクリエイティブの最適化、オーディエンス分析といったイノベーションの能力が、この急速に進化する分野での勝者を決めるでしょう。

 

ブランドにとって、2025年は戦略を見直し、CTVの力を最大限に活用する好機となります。コンテンツ、ターゲティング、測定を連携させることにより、ブランドは印象的かつ測定可能な方法でオーディエンスとつながることができます。その結果、CTVは今後数年のうちにメディアミックスの要としての地位を確立するでしょう。

 

コラム執筆者

 

菱田 遼

パブマティック株式会社 Senior Director, Customer Success & Publisher Development

 

 

2013年にサイバーコミュニケーションズ(現CARTA COMMUNICATIONS)に入社、アドネットワークのメディア開拓やアドエクスチェンジのプロダクト担当として従事。2015年にストラテジックアカウントマネージャーとしてPubMaticに入社し、2024年で9年目を迎える。入社当初よりサプライサイドの既存顧客担当として自社プロダクトの導入やマネタイズの支援を行い、現在はPubMatic Japanのカスタマーサクセスチームのディレクターとして、ウェブメディア、アプリ、OTT/CTVにおけるビジネスを牽引。

 

 

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データ活用によるCTV、テレビ広告の可能性―ATS Tokyo 2024イベントレポート https://www.exchangewire.jp/2024/12/25/news-atstokyo2024-session-report-ctv/ <![CDATA[角田 知香]]> Tue, 24 Dec 2024 23:00:07 +0000 <![CDATA[ATS Tokyo 2024]]> <![CDATA[ATSTOKYO2024]]> <![CDATA[CTV]]> <![CDATA[NEWS]]> <![CDATA[レポート]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84121 <![CDATA[

デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。
 
「データ活用によるCTV、テレビ広告の可能性」と題した本セッションには、エン・ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング本部長 田中 奏真氏、株式会社トライステージ 取締役 谷本 秀吉氏、株式会社TVer 広告事業本部プロダクト統括 兼 プロダクト開発部 部長 大野 祐輔氏が登壇した。
 
各登壇者は「CTV広告市場の最新傾向」「CTV広告における活用指標」「クリエイティブにおけるテレビCMとの違い」などに言及。広告主・OTTメディア・広告会社それぞれの立場からの意見が飛び交った。
 

 
動画広告の市場でのCTV広告が占める割合は年々増加している。動画広告のテレビ端末への配信比率は、大野氏によるとTVerユーザーのデバイス割合ではCTVは4割近くを占めるとのこと。エン・ジャパン田中氏は、事業を成長させる上でCTVに将来性を感じ広告参入を決め、それまでのリスティング・ディスプレイ広告の予算をCTV広告に移動させたという。今年はさらなる投資を行っていると述べた。
 

 
CTV広告の活用目的・指標については、登壇者3名とも現段階では「テレビCMのリーチ補完」が目的となっていると同意したうえで、谷本氏は今後のCTV広告の活用指標について「ダイレクトマーケティング効果にどれだけ寄与できるかは大きいと考えており、さらにビュースルーがひとつのキーになるのでは。」と述べた。田中氏は、指標においては広告配信後のアプリダウンロード数・ウェブサイトへのコンバージョン数値に着目しており、「テレビCMのリーチを補完しつつ、テレビCMの接触頻度別にコンバージョンレートを見ながら運用を変えて成果を上げていきたい」と、より立体的な活用法を示した。
そこで課題となるのがCTV広告における効果計測だが、谷本氏は「広告評価の課題を突破しない限り市場が大きくならない。今は指名検索単価、ビュースルーコンバージョン単価がひとつの可能性のある指標だと思っている。ここを普及して進めていきたい。」と、前向きな姿勢を見せた。
 

 
クリエイティブにおけるテレビCMとCTV広告の違いについて、大野氏は「CTV広告は、大きい画面でクリエイティブを見せられる認知媒体として活用できる。」とし、谷本氏も「CTV広告はストーリーやコンテンツでユーザーの注目度を高めるといった創意工夫ができる媒体。デジタルマーケティングで培った手法を応用できる。」と述べた。田中氏は、昨年はテレビCMのクリエイティブ を転用していたが、今年はCTVに適した広告を制作したとのこと。CTV広告ならではの利点・柔軟性を活かしたクリエイティブ制作が行われている。
 
最後に、今後CTV広告に出稿したいと考える広告主に対してメッセージを求められた田中氏は「スモールスタートで、ひとつの媒体と予算を決めてまずは配信してみることを薦める。」とし、その予算でできること・取得できるデータのイメージを持つことから始めていくことが重要だとアドバイスを送り、セッションを締めくくった。
 

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デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。

 

「データ活用によるCTV、テレビ広告の可能性」と題した本セッションには、エン・ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング本部長 田中 奏真氏、株式会社トライステージ 取締役 谷本 秀吉氏、株式会社TVer 広告事業本部プロダクト統括 兼 プロダクト開発部 部長 大野 祐輔氏が登壇した。

 

各登壇者は「CTV広告市場の最新傾向」「CTV広告における活用指標」「クリエイティブにおけるテレビCMとの違い」などに言及。広告主・OTTメディア・広告会社それぞれの立場からの意見が飛び交った。

 

 

動画広告の市場でのCTV広告が占める割合は年々増加している。動画広告のテレビ端末への配信比率は、大野氏によるとTVerユーザーのデバイス割合ではCTVは4割近くを占めるとのこと。エン・ジャパン田中氏は、事業を成長させる上でCTVに将来性を感じ広告参入を決め、それまでのリスティング・ディスプレイ広告の予算をCTV広告に移動させたという。今年はさらなる投資を行っていると述べた。

 

 

CTV広告の活用目的・指標については、登壇者3名とも現段階では「テレビCMのリーチ補完」が目的となっていると同意したうえで、谷本氏は今後のCTV広告の活用指標について「ダイレクトマーケティング効果にどれだけ寄与できるかは大きいと考えており、さらにビュースルーがひとつのキーになるのでは。」と述べた。田中氏は、指標においては広告配信後のアプリダウンロード数・ウェブサイトへのコンバージョン数値に着目しており、「テレビCMのリーチを補完しつつ、テレビCMの接触頻度別にコンバージョンレートを見ながら運用を変えて成果を上げていきたい」と、より立体的な活用法を示した。

そこで課題となるのがCTV広告における効果計測だが、谷本氏は「広告評価の課題を突破しない限り市場が大きくならない。今は指名検索単価、ビュースルーコンバージョン単価がひとつの可能性のある指標だと思っている。ここを普及して進めていきたい。」と、前向きな姿勢を見せた。

 

 

クリエイティブにおけるテレビCMとCTV広告の違いについて、大野氏は「CTV広告は、大きい画面でクリエイティブを見せられる認知媒体として活用できる。」とし、谷本氏も「CTV広告はストーリーやコンテンツでユーザーの注目度を高めるといった創意工夫ができる媒体。デジタルマーケティングで培った手法を応用できる。」と述べた。田中氏は、昨年はテレビCMのクリエイティブ を転用していたが、今年はCTVに適した広告を制作したとのこと。CTV広告ならではの利点・柔軟性を活かしたクリエイティブ制作が行われている。

 

最後に、今後CTV広告に出稿したいと考える広告主に対してメッセージを求められた田中氏は「スモールスタートで、ひとつの媒体と予算を決めてまずは配信してみることを薦める。」とし、その予算でできること・取得できるデータのイメージを持つことから始めていくことが重要だとアドバイスを送り、セッションを締めくくった。

 

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RTB House×JAL対談-非会員の新規獲得でリターゲティング広告の限界を乗り越える方法とは[インタビュー] https://www.exchangewire.jp/2024/12/24/interview-rtbhouse-jal/ <![CDATA[長野 雅俊]]> Mon, 23 Dec 2024 23:00:48 +0000 <![CDATA[インタビュー]]> <![CDATA[クッキーレス]]> <![CDATA[リターゲティング]]> https://www.exchangewire.jp/?p=84151 <![CDATA[

サイト離脱ユーザーに対して表示されるリターゲティング広告は、顕在層に向けたアプローチ手法として有効な打ち手として長らく活用されてきた。一方で、もはや宣伝を必要としない固定顧客にまで広告を表示したり、Cookie規制の直接的な影響を受けたりといった課題も少なくない。こうした課題を突破する取り組み事例を出した両社に話を聞いた。
(Sponsored by RTB House)
 
機械学習と深層学習の違い
 
―自己紹介をお願いします。
 
小島氏:日本航空株式会社のWeb販売部1to1マーケティンググループ主任を務める小島史也と申します。ウェブ広告とGoogle Analytics等計測ツールの企画立案・運用管理、SEO対策が主な担当です。
 
ウェブ広告に関しては、航空券およびパッケージツアー商品の予約獲得を目的として、各種のリスティング広告やディスプレイ広告などを運用しています。
 
加藤氏:RTB House JapanのBusiness Development Directorとして主に新規営業を統括する加藤貴大です。当社の特長となるディープラーニングを活用したダイナミックリターゲティング技術を活用した効率的な刈り取り施策を広告主や広告代理店の皆様にご案内しています。
 
―両社の取り組みが開始されるまでの経緯をお聞かせください。
 
小島氏:お陰様でJALというブランド名については多くの方々に認知いただいていますが、そうした方々すべてが旅行に出掛ける際にJALの航空券を購入しているわけではありません。やはり実際の販売につなげるためには、航空券のニーズを持つ方々に対して適切なタイミングで適切な情報を伝える必要があります。
 

 
航空券のニーズが顕在化するタイミングで接触するには、やはりリスティング広告やリターゲティング広告が有効です。加えて、大手広告プラットフォームだけでは生活者との接点が限られるという認識の下で、いわゆるオープンインターネットへの広告配信を行うDSPも活用しています。
 
ただし、獲得施策を実施すると、言わばお得意様となっている既存会員ばかりに接触し、会員規模の拡大には寄与しないという状況に陥りがちです。当然のことながら、日本国内にはまだまだ非会員ユーザーが多くいらっしゃるので、そうした方々にも当社サービスを広くご利用いただきたいと考えています。
 
そうした課題を抱えている最中に出会ったソリューションの一つが、RTB Houseのリターゲティング技術でした。現状では多くの広告プラットフォームが機械学習を最大限に活用していると思いますが、その中で恐らく唯一となる深層学習を実装したRTB House様なら違いを生み出せるのではないかという漠然とした期待を持ちながら、まずはトライアルとしてお願いすることになりました。
 
―機械学習ではなく深層学習であればなぜ課題を解決できると思ったのですか。
 
小島氏:正直なところ、確固とした根拠があったわけではありません。人間がデータの特徴を判断する一般的な機械学習と、機械が判断する深層学習は確実に異なるとまでは理解していたものの、広告配信への活用においてどのような違いが生じ得るかについては具体的なイメージは持っていませんでした。しかし、だからこそ、どのような違いが出るかを確かめるために一度試してみたいと思ったのです。
 
加藤氏:小島様が仰る通り、端的には学習プロセスに人間が介入するか否かが主な違いです。そして深層学習は機械がデータの特徴を判断するからこそ、人間が思いもつかないようなアプローチや答えを出し得ます。一方でRTB Houseの開発者を含めて、深層学習においてどんな特徴量(予測の手掛かりとなる変数)をどのように見つけ出しているかまでは分かりません。
 

 
RTB Houseのエンジンは、各サイトに流入したユーザーがどんな商品を閲覧し、その後どのようなウェブ行動を経てコンバージョンに至っているかをひたすら分析しています。ユーザーの動きは決して一様ではなく、JAL様のページを開いた直後に航空券を購入する人もいれば、格安航空会社サイトを含めてじっくりと比較検討する人もいます。こうした様々なタイプやニーズに合わせて異なるアプローチを考え付くのが深層学習は得意です。
 
―深層学習機能ないしRTB Houseのエンジンを利用する上で広告主側が準備すべきことはありますか。
 
加藤氏:RTB Houseのタグを広告主様のウェブサイトに設置いただいています。今回のJAL様の案件に関しては、非会員を主な対象とするため、タグによる学習対象ユーザーのコントロールを行っていただいておりました。
 
非会員の購入が2~3倍に
 
―実際の広告効果はどうだったのですか。
 
小島氏:RTB Houseの広告配信開始後から数カ月で他の広告プラットフォームとの明確な差が出てきました。驚いたのは、購入者全体の中に非会員が占める割合の大きさです。他の広告プラットフォームの2倍以上大きかったのです。非会員獲得を主な目的とはしていたものの、ちょっとうまく出来過ぎなのではないか、という印象でした。
 

 
加藤氏:一般論として、非会員ユーザーは会員ユーザーよりもコンバージョン獲得が難しい。先ほど申し上げた通り、深層学習の中身については我々もよく分かっていないのですが、ともかく人間が容易には見出すことができない特徴量を機械が見つけ出したことで生み出した成果だと思います。JAL様とのお取組全体を振り返ると、過去1年でキャンペーン予算規模は3.56倍、コンバージョン数は1.55倍、売上額は3.72倍に拡大しました。
 

 
―本事例は、小島氏が言うように「ちょっとよく出来過ぎ」なのでしょうか。
 
加藤氏:いえ、決してそんなことはありません。他社様でも同様の事例は出ています。ただJAL様のサイトは日々多くのユーザーが訪問しているので、当社タグを通じて一定規模以上のデータが取得できたことが大きく寄与したのではないでしょうか。深層学習はデータが多ければ多いほど威力を発揮します。
 
Privacy Sandboxの最新状況とは
 
―リターゲティング広告はCookie制限の多大な影響を受ける見込みと言われています。
 
加藤氏:当社はGoogle提供のサードパーティCookie代替技術となるPrivacy Sandboxの開発に早期から関わってきました。2024年になってサードパーティCookie廃止を取りやめると発表されたものの、Privacy Sandboxの開発作業自体は継続しており、当社タグも対応済みで、Cookieレス環境下でリターゲティングを引き続き実現する仕組みは整いつつあります。
 
粛々と準備を進めてきた事業者の立場としては「リターゲティングは今後できなくなる」という声を聞くと、実態とは明らかに異なるので、少し歯がゆい思いを抱きます。
 
小島氏:大手広告プラットフォームではコンバージョンAPIのようにファーストパーティデータを有効活用する仕組みを代替手段として導入していることが多いという印象です。こうした背景を踏まえ、当社でもCookieの代わりにファーストパーティデータを活用した広告配信のあり方について試行錯誤を繰り返している最中にあります。
 
ただし、ファーストパーティデータを安全に利用するためのデータ環境を整備するのは簡単なことではありません。Privacy Sandboxであれば、広告主側が準備すべきことがほとんどないという点は魅力的だと思います。
 
―今後の事業展開についてお聞かせください。
 
小島氏:より多くの皆様に会員ユーザーになっていただくために、RTB House様との提携などを通じて、引き続き非会員ユーザーへのアプローチは続けていきます。
 
Cookieレス対策については、異なるソリューションの一長一短を見極めつつ、最終的には複数を組み合せて活用していくことになるだろうと見込んでいます。
 
加藤氏:当社はこれまでリターゲティング広告に特化してきましたが、2025年からはミッドファネル向けの「IntentGPT」という広告商品を本格的に展開する予定です。国内でも実験的な取り組みから成功事例が出始めているので、然るべき用意が整い次第、詳細をご案内できたらと思います。
 

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サイト離脱ユーザーに対して表示されるリターゲティング広告は、顕在層に向けたアプローチ手法として有効な打ち手として長らく活用されてきた。一方で、もはや宣伝を必要としない固定顧客にまで広告を表示したり、Cookie規制の直接的な影響を受けたりといった課題も少なくない。こうした課題を突破する取り組み事例を出した両社に話を聞いた。

(Sponsored by RTB House)

 

機械学習と深層学習の違い

 

―自己紹介をお願いします。

 

小島氏:日本航空株式会社のWeb販売部1to1マーケティンググループ主任を務める小島史也と申します。ウェブ広告とGoogle Analytics等計測ツールの企画立案・運用管理、SEO対策が主な担当です。

 

ウェブ広告に関しては、航空券およびパッケージツアー商品の予約獲得を目的として、各種のリスティング広告やディスプレイ広告などを運用しています。

 

加藤氏:RTB House JapanのBusiness Development Directorとして主に新規営業を統括する加藤貴大です。当社の特長となるディープラーニングを活用したダイナミックリターゲティング技術を活用した効率的な刈り取り施策を広告主や広告代理店の皆様にご案内しています。

 

―両社の取り組みが開始されるまでの経緯をお聞かせください。

 

小島氏:お陰様でJALというブランド名については多くの方々に認知いただいていますが、そうした方々すべてが旅行に出掛ける際にJALの航空券を購入しているわけではありません。やはり実際の販売につなげるためには、航空券のニーズを持つ方々に対して適切なタイミングで適切な情報を伝える必要があります。

 

 

航空券のニーズが顕在化するタイミングで接触するには、やはりリスティング広告やリターゲティング広告が有効です。加えて、大手広告プラットフォームだけでは生活者との接点が限られるという認識の下で、いわゆるオープンインターネットへの広告配信を行うDSPも活用しています。

 

ただし、獲得施策を実施すると、言わばお得意様となっている既存会員ばかりに接触し、会員規模の拡大には寄与しないという状況に陥りがちです。当然のことながら、日本国内にはまだまだ非会員ユーザーが多くいらっしゃるので、そうした方々にも当社サービスを広くご利用いただきたいと考えています。

 

そうした課題を抱えている最中に出会ったソリューションの一つが、RTB Houseのリターゲティング技術でした。現状では多くの広告プラットフォームが機械学習を最大限に活用していると思いますが、その中で恐らく唯一となる深層学習を実装したRTB House様なら違いを生み出せるのではないかという漠然とした期待を持ちながら、まずはトライアルとしてお願いすることになりました。

 

―機械学習ではなく深層学習であればなぜ課題を解決できると思ったのですか。

 

小島氏:正直なところ、確固とした根拠があったわけではありません。人間がデータの特徴を判断する一般的な機械学習と、機械が判断する深層学習は確実に異なるとまでは理解していたものの、広告配信への活用においてどのような違いが生じ得るかについては具体的なイメージは持っていませんでした。しかし、だからこそ、どのような違いが出るかを確かめるために一度試してみたいと思ったのです。

 

加藤氏:小島様が仰る通り、端的には学習プロセスに人間が介入するか否かが主な違いです。そして深層学習は機械がデータの特徴を判断するからこそ、人間が思いもつかないようなアプローチや答えを出し得ます。一方でRTB Houseの開発者を含めて、深層学習においてどんな特徴量(予測の手掛かりとなる変数)をどのように見つけ出しているかまでは分かりません。

 

 

RTB Houseのエンジンは、各サイトに流入したユーザーがどんな商品を閲覧し、その後どのようなウェブ行動を経てコンバージョンに至っているかをひたすら分析しています。ユーザーの動きは決して一様ではなく、JAL様のページを開いた直後に航空券を購入する人もいれば、格安航空会社サイトを含めてじっくりと比較検討する人もいます。こうした様々なタイプやニーズに合わせて異なるアプローチを考え付くのが深層学習は得意です。

 

―深層学習機能ないしRTB Houseのエンジンを利用する上で広告主側が準備すべきことはありますか。

 

加藤氏:RTB Houseのタグを広告主様のウェブサイトに設置いただいています。今回のJAL様の案件に関しては、非会員を主な対象とするため、タグによる学習対象ユーザーのコントロールを行っていただいておりました。

 

非会員の購入が2~3倍に

 

―実際の広告効果はどうだったのですか。

 

小島氏:RTB Houseの広告配信開始後から数カ月で他の広告プラットフォームとの明確な差が出てきました。驚いたのは、購入者全体の中に非会員が占める割合の大きさです。他の広告プラットフォームの2倍以上大きかったのです。非会員獲得を主な目的とはしていたものの、ちょっとうまく出来過ぎなのではないか、という印象でした。

 

 

加藤氏:一般論として、非会員ユーザーは会員ユーザーよりもコンバージョン獲得が難しい。先ほど申し上げた通り、深層学習の中身については我々もよく分かっていないのですが、ともかく人間が容易には見出すことができない特徴量を機械が見つけ出したことで生み出した成果だと思います。JAL様とのお取組全体を振り返ると、過去1年でキャンペーン予算規模は3.56倍、コンバージョン数は1.55倍、売上額は3.72倍に拡大しました。

 

 

―本事例は、小島氏が言うように「ちょっとよく出来過ぎ」なのでしょうか。

 

加藤氏:いえ、決してそんなことはありません。他社様でも同様の事例は出ています。ただJAL様のサイトは日々多くのユーザーが訪問しているので、当社タグを通じて一定規模以上のデータが取得できたことが大きく寄与したのではないでしょうか。深層学習はデータが多ければ多いほど威力を発揮します。

 

Privacy Sandboxの最新状況とは

 

―リターゲティング広告はCookie制限の多大な影響を受ける見込みと言われています。

 

加藤氏:当社はGoogle提供のサードパーティCookie代替技術となるPrivacy Sandboxの開発に早期から関わってきました。2024年になってサードパーティCookie廃止を取りやめると発表されたものの、Privacy Sandboxの開発作業自体は継続しており、当社タグも対応済みで、Cookieレス環境下でリターゲティングを引き続き実現する仕組みは整いつつあります。

 

粛々と準備を進めてきた事業者の立場としては「リターゲティングは今後できなくなる」という声を聞くと、実態とは明らかに異なるので、少し歯がゆい思いを抱きます。

 

小島氏:大手広告プラットフォームではコンバージョンAPIのようにファーストパーティデータを有効活用する仕組みを代替手段として導入していることが多いという印象です。こうした背景を踏まえ、当社でもCookieの代わりにファーストパーティデータを活用した広告配信のあり方について試行錯誤を繰り返している最中にあります。

 

ただし、ファーストパーティデータを安全に利用するためのデータ環境を整備するのは簡単なことではありません。Privacy Sandboxであれば、広告主側が準備すべきことがほとんどないという点は魅力的だと思います。

 

―今後の事業展開についてお聞かせください。

 

小島氏:より多くの皆様に会員ユーザーになっていただくために、RTB House様との提携などを通じて、引き続き非会員ユーザーへのアプローチは続けていきます。

 

Cookieレス対策については、異なるソリューションの一長一短を見極めつつ、最終的には複数を組み合せて活用していくことになるだろうと見込んでいます。

 

加藤氏:当社はこれまでリターゲティング広告に特化してきましたが、2025年からはミッドファネル向けの「IntentGPT」という広告商品を本格的に展開する予定です。国内でも実験的な取り組みから成功事例が出始めているので、然るべき用意が整い次第、詳細をご案内できたらと思います。

 

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