長時間座り続けることは、健康にさまざまな悪影響を及ぼします。姿勢の悪化、不快感、さらには痛みを引き起こす原因にもなります。これらのリスクを軽減するには、定期的に座る姿勢から抜け出し、軽い運動を取り入れることが重要です。
座りっぱなしの生活が健康に与える影響は、思っている以上に深刻かもしれません。2020年に発表された『International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity(国際行動栄養学・身体活動ジャーナル)』の体系的レビューによると、座っている時間と健康リスク(全死因、心血管疾患、がんによる死亡率)には非線形の大きな関連があることが確認されています。つまり、座る時間が長いほど死亡リスクが高まるということです。特に、日常的な身体活動が少ない人ほど、そのリスクはさらに高まります。
長時間の座りっぱなしがもたらす主な健康リスク
オフィスでの作業や自宅でのリラックスタイムなど、気がつけば長時間座りっぱなしになっていることはありませんか? 現代のライフスタイルでは、座る時間が増える一方ですが、この習慣が体に与える影響について意外と知られていないかもしれません。長時間座ることで筋肉や骨に負担がかかり、代謝が低下するリスクがあります。以下は、その主な健康リスクです。
骨盤前傾(Anterior Pelvic Tilt)
長時間座ることで太ももや股関節の筋肉が硬くなり、腹筋や臀筋が弱まります。その結果、骨盤が前に傾きやすくなります。
膝の痛み
太ももの筋肉が弱まることで骨盤前傾が進行し、内股(X脚)の姿勢を助長します。この状態は膝の安定性を低下させ、膝の痛みを引き起こす原因になります。
可動性の低下
弱くなった太ももや臀筋の影響で、階段の上り下りやスムーズな歩行が難しくなることがあります。
腰痛
長時間座ることで腹筋が弱まり、背骨をサポートする力が不足します。その結果、腰痛や猫背の原因となる可能性があります。
尿失禁
長時間座り続けると腹筋や骨盤底筋がさらに弱まり、尿失禁の症状が悪化することがあります。
首のストレイン
座りっぱなしで無意識に首を前に突き出す姿勢になると、頸椎に負担がかかりやすくなります。
片頭痛
首への負担が炎症を引き起こし、頭への血流が制限されることで片頭痛を誘発する可能性があります。中国伝統医学では、この現象を気や血流の循環不良と関連付けて考えています。
肩や首の痛み
前傾姿勢により上背部への圧力が増大し、肩や首の痛みが発生します。
代謝の低下
座る時間が長いと血流が制限され、体全体の代謝率が低下します。
目の問題
座りっぱなしの生活は画面を見る時間を増加させ、ブルーライトの影響で近視や緑内障のリスクが高まることがあります。
長時間の座りっぱなしを解消する6つのエクササイズ
長時間座り続けることで生じる体への悪影響を軽減するには、肩や首の緊張をほぐしたり、下半身の血行を促進するエクササイズを取り入れることが効果的です。ここでは、簡単に取り組める6つのエクササイズとその手順を紹介します。
エクササイズ1: 座ったままできるWストレッチ
手順:
椅子に座り、上体を45度ほど前に傾けます。背筋を伸ばし、猫背にならないようにします。両腕を体の両側で「W」の形にします。
肩甲骨を引き寄せるように肩を後ろに引きながら腕を押し戻します。その後、ゆっくりと腕を前方へ伸ばし、頭の上まで上げます。
3秒間キープした後、元の位置にゆっくり戻します。
エクササイズ2: 肩のロール運動
手順:
背筋を伸ばして座り、両手を肩に置きます。猫背にならないように注意します。
肘で円を描くように動かし、肩を前方向に8回回します。
次に、逆方向(後ろ方向)にも肩を8回回します。
エクササイズ3: 座って胸スッキリストレッチ
手順:
背筋を伸ばして座り、両腕を前方に伸ばします。このとき背中を丸めて上背部の筋肉を伸ばします。
次に腕を横に広げ、胸を張りながら腕を後ろに引きます。顔を上げ、胸の筋肉が伸びるのを感じます。
エクササイズ4: 座位ねじりストレッチ
手順:
椅子に座り、右足を左足の外側に交差させます。
上体を右側にひねり、左手で右足を押さえます。右腰から背中の伸びを感じるようにします。
反対側も同様に行います。
エクササイズ5: スクワットとカーフレイズ
手順:
足を肩幅に開き、つま先を前に向けて立ちます。胸を張り、やや前傾姿勢を意識します。両腕は胸の前で構えます。
息を吸いながら、腰を後ろに引いて太ももが床と平行になるまでゆっくり下げます。この姿勢を3~5秒キープします。
息を吐きながら元の姿勢に戻り、かかとを上げてつま先立ちになります。この姿勢を3~5秒キープし、ゆっくりかかとを下ろします。
エクササイズ6: 全身リラックスカール
手順:
まっすぐ立ち、ゆっくりとしゃがみながら上体を太ももに近づけ、体を丸めます。このとき背中を心地よく伸ばします。
頭を下げ、両手を床につけた後、ゆっくり腰を持ち上げます。
両手をすね、太もも、腰、胸と順に滑らせながら上体を起こし、腕を頭上に伸ばします。体全体を伸ばして3~5秒キープします。
この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。
(翻訳編集 華山律)
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