社会科学入門2023後期14公共哲学としての社会科学


まず復習


■何のための社会科学:
(1)人間社会の予測と管理のための分析(制度的世界)
(2)人間社会を理解するための解釈(生活世界)
(3)国際社会の予測と管理と理解のためのすべて(国際社会)

■人間の行為が社会を作る、それはどんな仕方で(マックス・ウェーバー)
(1)目的合理的行為(目的にふさわしい手段を使って他のことを考えない)
(2)価値合理的行為(予想される結果を無視して、義務・体面・美・教義・信頼を優先する)
(3)感情的行為
(4)伝統的行為

■西欧特有の合理化とその反発
目的合理的行為には計算可能性があるが他はそうでない。
客観性か解釈か
法則定立か個性記述か
価値中立か、共通善の実現に貢献できるか
不平等(格差)
合理化の波からこぼれ落ちたもの、あるいは副産物
地球環境問題



■市場の倫理的限界(ジョン・ティロール)
経済学にとっての自由市場:十分に競争的であれば、価格の押し下げ、生産コストの抑制、イノベーションの誘発、貿易の促進を通じて世帯の購買力を押し上げることができる。政府の資源配分にありがちな裁量的な意思決定やロビー活動やえこひいきから市民を守る働きもする。
しかし、いろいろ調整しないといけない。
反論:市場は万能ではないし、市場に出してはいけないものがたくさんある。友情、一流大学の入学資格、ノーベル賞、養子、成績、生殖能力、麻薬、兵役、投票権、環境汚染、臓器移植などは市場で取引されるべきではない。
→市場の倫理的限界

応用倫理の重要性

■公共哲学としての社会科学
「公共哲学」(public philosophy)



ロバート・ï¼®・ベラーとその共同研究者たちは、アメリカ人の個人主義を丹念に調査した『心の習慣』の付論のなかで「公共哲学としての社会科学」について述べている。
(1)同時に哲学的でも歴史的でも社会学的でもあるような創観的(synoptic)な見方。
(2)社会自身の自己理解あるいは自己解釈の一形態であり、社会に向けて鑑を掲げること。
(3)価値をあつかう。「こうした社会科学は、現在ばかりでなく過去もまた探ることによって、また『事実』と同じほどに『価値』にも目を向けることによって、定かには見えない連関を見出し、困難な問題を提示することができる。」
(4)それ自身が対話的なコミュニケーションの実践である。「公共哲学としての社会科学は、たんにその発見物が学者世界の外の集団や団体にも公共的に利用可能あるいは有用であるから『公共的』だというのではない。それが公衆を対話へと引き込むことを目指しているから『公共的』なのである。」

極度に専門分化した社会科学をそれはそれとして生かしながら総合し、
トータルに社会のあり方を考察し、
よく磨かれた鏡のように自分たちの社会を映しだし、
人びとの反省能力を高め、
人びとのあいだに合意形成の意思をもった対話を誘発する知識。

地球環境問題
応用倫理
テクノサイエンス

■公共社会学の場合(ビュラウォイ)

横軸 特性・アカデミック・アカデミック外
縦軸 道具的・反省的
4つのタイプ(ここでは社会学。一般化すると)
 専門科学・政策科学
 批判科学・公共科学
タイプごとの特性
 知識(どういう知識か)
 真理(どのような真理を求めるか)
 正当性(なぜ認められているか)
 説明責任(だれに説明するか)
 政治(取引のやり方)
 病理形態

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