睡眠相後退症候群は入眠困難と覚醒困難が慢性的に持続し、睡眠相前進症候群は夕方の眠気や早朝覚醒を呈する。
睡眠相後退症候群は、社会的に望ましい時刻に入眠および覚醒することが慢性的に困難であり、多くの場合午前3時~6時のある一定の時刻になってやっと寝付くことができます。
学校の試験などの大事なスケジュールがある時でも決められた時刻に起床することができず、なんとか無理をして起床したとしても、午前中は眠気や頭痛・頭重感・食欲不振・易疲労感などの身体的不調のために勉学や仕事を行うことが困難な状態になります。
大学生の中には、夜型の生活を続けているうちに、同様の睡眠・覚醒パターンになっている場合が見られますが、この場合は試験や遊びなどで、どうしても朝起床しなければならない時には起きることができるという点が異なっています。
睡眠相後退症候群の場合には、本人にとって非常に重要なスケジュールがある時でも起床することができず、その結果社会的不利益を受けることになります。発症年齢については、思春期から青年期が好発年齢であると考えられています。治療としては、朝の高照度光療法または夜のメラトニン投与などで生体リズムの位相を前進させる方法が有効です。
睡眠相前進症候群は、夕方の眠気や早朝覚醒を呈するもので、高齢者に多いものです。加齢に伴う生体リズムの周期の短縮が関与していると考えられています。治療としては、入眠前の高照度光療法が有効とされています。これは夕方の光の体内時計に対する作用により、生体リズムの位相が後退することを目的とした治療法です。