2015 民主党国会レポート

強くしなやかな社会をつくり再び政権交代を

第1章 第189回通常国会総括

安倍内閣の暴走ストップ、政策実現に全力を傾注

岡田新代表を選出

 2015年1月18日、民主党臨時党大会で、岡田克也新代表が選出された。

189回通常国会

 2015年1月26日から9月27日(245日間)。

予算・税財政で政策をリード

 平成26年度補正予算、及び過去最大規模となった平成27年度予算について、粉飾、バラマキなどの問題点を洗い出し、厳しい追及を行った。
 政府提出の「所得税法等の一部を改正する法律案」、「地方税法等の一部を改正する法律案」への対案として、「社会保障と税の一体改革」の必要性を踏まえ、景気判断条項維持、格差是正等のための消費税の逆進性対策の導入等を柱とした「格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案」を提出した。
 2013年に提出した「国及び地方公共団体の責任ある財政運営の確保を図るための財政の健全化の推進に関する法律案」(財政健全化推進法案)について、他野党との協議を含め、新しい法案の策定に努めた。

経済・雇用問題で政府と対峙

 過度な円安、悪い物価上昇、実質賃金低下、格差拡大等により国民生活悪化を招いたアベノミクスの問題点を浮き彫りにし、追及を行った。
 民主党独自の成長戦略の検討のために、成長戦略研究会、各部門会議・調査会などで議論を積み重ねた。
 政府が提出した「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」は「“生涯”派遣で低賃金」という人を増やすもので、断固反対の姿勢を貫いた。最悪の事態を回避するため、参院で附帯決議を盛り込ませた。政府提出の「労働基準法等の一部を改正する法律案」(いわゆる残業代ゼロ法案)は継続審議に追い込んだ。他の野党と共同提出した「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案」については、衆議院での修正の結果、法案の実質的な意義が失われたため、反対した。
 民主党は、地域経済を支える農業、中小企業、エネルギーに重点を置いて、議員立法を提出した。政府の「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案」への対案となる「農業協同組合法の一部を改正する法律案」、「農業者戸別所得補償法案」、「農地・水等共同活動の促進に関する法律案」などのふるさと維持3法案、「正規労働者雇入臨時助成金の支給に関する法律案」(中小企業社会保険料負担軽減法案)、「原子力災害対策特別措置法の一部を改正する法律案」や「分散型エネルギー利用推進法案」などのエネルギー関連4法案などを提出した。

立憲主義に反する安保関連法案

 政府は「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」、「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」を提出した。
 民主党は、「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」を原則に、PKO法、周辺事態法改正にも触れた「安全保障法制に関する民主党の考え方」を決定し、「領域等の警備に関する法律案」を維新の党と衆参両院に共同提出した。
 民主党は、安倍政権が進める集団的自衛権行使には反対し、法案成立阻止のため全力を尽くした。参議院には議長不信任決議案、内閣総理大臣問責決議案等を、衆議院には安倍内閣不信任決議案を提出し、他の野党とも協力して抵抗したが、与党は強行採決を行い、法案は成立した。
 現行憲法下では過去最長の通常国会会期を設定する中、法案策定に至る手続きや内容にも大きな問題があり、国会運営も公正に行われない、国民の多くが反対していたことなど、憲政史上に汚点を残す結果となった。

18歳選挙権、琵琶湖保全など法案が成立

 18歳選挙権を実現するための「公職選挙法等の一部を改正する法律案」、「琵琶湖の保全及び再生に関する法律案」など民主党の主張を取り入れた議員立法が数多く成立した。その他、行財政改革、通商、企業統治、教育、人権、民法など多くの分野に係る議員立法を提出した。
 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」、「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」(マイナンバー関連法案)など一部閣法は、民主党の修正が取り入れられて成立した。

漏れた年金情報、五輪公共事業など

 東日本大震災復旧・復興推進、台風・豪雨や火山噴火等による災害対策、漏れた年金情報調査、東京オリンピック・パラリンピックに係る公共事業再検討、拉致問題対策、男女共同参画推進、共生社会創造推進、非正規雇用ワーキングプア対策などについては、運動体である本部等と部門会議などが一体となった取り組みを展開した。政策に限らず、政府・与党等にかかわる疑惑追及などにも手を緩めなかった。
 政治改革・国会改革関連では、企業・団体からの献金の規制を徹底する「政治資金規正法の一部を改正する法律案」、投票区外投票の解禁などを進める「公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」を衆議院に提出した。また、参議院の較差是正のため、20県10合区で較差2倍以内にする「公職選挙法の一部を改正する法律案」を他党と共同提出したが、自民党などが提出した不十分な法案が成立した。

WEB会議開催による地方との連携など

 2013年3月より、党本部と都道府県連をネットで結ぶ全国政策担当者WEB会議を開催している。この会期中は、安全保障法制、労働法制などのテーマで18回行った。政策責任者会議においても、重要政策をはじめ、様々な地方組織の意見をくみ上げた。
 ローカル・マニフェスト作成などに際して参考にしてもらうための「統一地方選重点政策素材集」を地方組織に発送した。従来から取り組んでいる地方議会意見書の雛形も送付している。
 個別の政策テーマ、法案等について他の政党との協議を精力的に進めた。維新の党とは政調会長間の政策協議を行った。