「2015年度活動方針案」と「2015年度予算・2014年度決算」の議案提起を含む報告を行う枝野幹事長

「地方の声」と「女性の力」を党再起動のエネルギーに 枝野幹事長報告

 民主党が1日に開いた民主党2015年度定期大会で、岡田克也代表のメッセージ代読に続いて枝野幸男幹事長が登壇し、「2015年度活動方針案」と「2015年度予算・2014年度決算」の議案の提起を含む幹事長報告を行った。

 枝野幹事長は、この大会を「岡田民主党の新たな方向性を定め、『オール民主』で党再生の歩みを大きく確実に進めるための大会」とし、「2015年度は党再生を成し遂げ、確かな道筋へとつなげていく重要な1年だ」と提起。昨年夏に党改革創生会議がまとめた提言にある「地方の声」と「女性の力」を、岡田執行部が党を再起動するエネルギー源だと位置づけた。

 「地方からのボトムアップの党再生」については、「党運営で地方からの声をそのど真ん中に据える。『地域起点』は政策的方向性にとどまらない民主党の原点だ」と宣言。さまざまな意志決定の場に地方組織や自治体議員などの参画を求めるとともに、党幹部が現場主義で全国に足を運び政策立案や党運営に努めるとした。

 今年4月の統一地方自治体選挙については、「候補予定者、総支部、都道府県連の活動と一体となって党本部としても最大限の活動を進める」とした上で、安倍政権が掲げている「地方創生」を「実際には地域の基幹産業である農業や福祉の活力を奪う政策、上から目線の政策だ」と断じ、これに対して「民主党は『地域起点』『生活起点』の旗を高らかに掲げて戦う」と宣言。「民主党に対する信頼を回復させる大きな一歩」として、現有議席を確保した上でさらなる上積みを図る方針を示した。

 「女性の力の活用」については、「女性の元気は民主党を変え、日本の政治と社会そのものを変える大きな可能性を秘めている」とし、まず党女性議員ネットワークと男女共同参画本部が策定した「ハラスメント防止指針」を他党に先駆けてこの党大会から施行することを表明。「政党クオータ制の検討」や「女性候補者の公募」などの女性の政治参画を推進することや、連合をはじめとする幅広い団体との交流を密にし、「男女共同参画運動と政策実現の牽引役を目指す」と述べた。

 さらに枝野幹事長は、党改革創生会議の提言を着実に進めるための「党改革創生実行本部」と、民主党の目指す社会をより具体的にわかりやすく示すための「共生社会創造本部」を設置したことを報告し、後者については今年秋に中間報告を取りまとめ、来年の参院選では「全国の民主党がワンボイスで目指す社会を語れるようにしたい」との考えを示し、協力を要請した。

 選挙態勢について枝野幹事長は、「昨年の総選挙を『敗北』と正面から受け止めて真摯(しんし)に反省すべき点を正し、貪欲に学ぶべき点は学び、今後の対策に活かしていく」と述べた上で、自治体選挙と衆参国政選挙を一体で捉え、来年夏の衆参ダブル選挙も想定した態勢整備を進める方針を示した。

 国会での当面の政策課題として「経済政策、格差問題を含めた国民生活、労働法制、安全保障法制、エネルギー基本計画、財政健全化や無駄遣いとの闘いなど重要な課題が山積している」とし、今国会での岡田代表を先頭にした論戦の状況を報告。これらの諸課題について「党内で徹底的に議論し、決めるべき時に決め、その結論を持って安倍政権と議論を行い、国民に選択肢を提示していく」と述べ、特に安全保障法制については適切なタイミングで党の結論を得て、一丸となって対決するとの方針を述べた。

 党運営については、党員・サポーター制度のあり方の再検討や、連合をはじめとする友誼団体との関係を深めること、共生社会創造本部の取り組みを中心にこれまで政治の光が届きにくかった分野の団体や人々との協働を進めるとした。

 枝野幹事長は、民主党政権時代の政策の成果をあらためて列挙し、「これらは国民生活の現場にあるニーズを汲み取り、時代の要請に応じた政策だ。民主党政権が作った大きな流れは一部安倍政権で歪められたが、今でも変わらず、成果が徐々に表れている」と語り、政権3年3カ月の反省をしながらも、「多くの国民が必要とする政策分野を切り開いてきたこと、その延長線上に確かな理念と政策の積み重ねがあることはしっかりと伝えていかなければならない」と強調。「政党は国民の皆さんの未来を託していただく存在だ。その政党が自信を失い、うつむいたままでは未来を託していただけるはずがない。反省と謙虚さを忘れることなく、しかし同時に元気と自信を持って、前向きに進んでいこう」と声を強め、「元気に明るく、伝えるべきことを伝え、国民の信頼を回復していこう」と訴えた。

 報告の締めくくりに枝野幹事長は「民主党が今一度改革者の位置を占めるために、政権を担う政党の一翼を占めるために、打って出る1年としたい」と述べ、大会議案の承認と統一地方選勝利への協力を求め、演説を終えた。

 活動方針と予算・決算の議案は満場の拍手を持って承認された。

地方自治体議員表彰

代表して表彰された湯浅和子さん

代表して表彰された湯浅和子さん

 民主党は、現在まで10年以上の党籍と民主党の一員である期間を含む10年以上の地方自治体議員歴があり、既に引退または次回選挙で引退することを表明した自治体議員を表彰している。

 今回対象となる19都道府県の52人を代表して松戸市議会議員・千葉県議会議員を務めてきた湯浅和子さんなど各都道府県連から1人ずつが長妻昭代表代行から表彰された。

PDF「地方自治体議員表彰者一覧」地方自治体議員表彰者一覧

統一地方自治体選挙候補者決意表明

統一自治体選候補予定者を代表して決意表明する向井美佳さん

統一自治体選候補予定者を代表して決意表明する向井美佳さん

 統一自治体選挙勝利に向け、47都道府県の地方代議員と党役員が登壇し、広島市議会議員選挙に立候補予定の向井美佳さんが決意を表明した(全文は以下PDF参照)。

 向井氏は「子育て世代の声を政治に届けなければいけない。生活に密着した政治を実現したい」との思いから立候補を決意したと表明。女性の声を政治に反映させるためには女性議員が必要であるにもかかわらず、現在広島県には民主党女性議員が1人もいないとして、「地域の女性の声、広島で働く女性の声を代弁する存在となるべく、懸命に努力していく。戦後70年という節目の年に当たり、あらためて平和の大切さ、核兵器の恐ろしさを心に刻み、子どもたちに平和な未来を残すため、私たちは行動していかなければならない」と力を込め、「候補者一人ひとりが先頭に立ち、この選挙戦を全力で闘い抜き、勝利することを誓う」と締めくくった。

PDF「2015年 統一地方自治体選挙に勝利する決意表明」2015年 統一地方自治体選挙に勝利する決意表明

ガンバロウ3唱・閉会

 決意表明終了後には、長年長野県会議員団長として活躍してきた倉田竜彦県議の音頭のもと統一自治体選挙の必勝を期してガンバロウ3唱を行い、閉会した。

ガンバロウ3唱