能力が高い人がいい仕事をするとは限らない。もちろん、常に最高のパフォーマンスを続けることは不可能である。もし自分にはそれができていると思うのであれば、単なる誤解であろう。自分の状態を正しく認識し、潜在能力をより引き出しパフォーマンスにつなげる4つの方法を示す。


 どれほど有能な人であろうとも、その能力が最高の仕事ぶりに直結するという保証はない。

 一般に人間の潜在能力に関する科学では、次のように例証されている。個人の全般的な能力を完全に理解するのは、その人の感情や嗜好や性格も考慮に入れない限り、不可能である。どんなに賢く、知識豊富で、経験を積んだ人でも、「できること」と「ふだんやること」との間には基本的に差異がある。

 これは、人材の能力を診断する取り組みが失敗に終わる理由の1つだ。たとえば雇用主は、求職者の潜在能力(ベストを尽くす意欲がある状態で、最大に発揮できる力)を重視しすぎると、決定的に重要なことを忘れてしまう。目指すべきは、入社後の実際のパフォーマンス、特に「通常の仕事ぶり」を予測することなのだ。

 初デート時の相手への印象が、5年後に結婚していても同じままであり続けるなどとは想定すべきでない。それと同じように、応募時の求職者に対する予測と、仕事に従事して5年後の実情は、おそらく違うだろう(ただし、予測を助けてくれる科学的知見もあるが)。

 あなたがもし、自分は仕事で力を最大限に発揮できていないと思うのであれば、それはおそらく正しい。なぜなら、在職中ずっと持続的・継続的に、力を最大限に発揮して、100%の意欲を持っている人など、ほとんどいないからだ(私の同僚のマーク・エフロンは、このテーマについて素晴らしい本を執筆している)。

 実のところ、あなたが力を最大限に発揮できていると思うならば、それはおそらく誤りである。自分の能力やパフォーマンスに関する自己判断と、実際に上げる成果とは、一般的にほとんど一致しないのだ。

 事実、業績優秀な人ほど自身のパフォーマンスを批判的に厳しく評価するのに対し、業績の低い人は自分が会社に素晴らしい貢献をしていると考えるというケースは、よくあることだ。自己認識力は、能力の重要な要素であると思われる。

 実際にはほとんどの人は、入社後6ヵ月間(いわゆる蜜月期間)を超えた後は、ベストを尽くそうという試みすらしない。これには多くの理由があるが、力を発揮できないうちよくある4つの原因と、その対処法を以下に示す。