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能登を思い 編む同人誌 県内作家、漫画家 収益義援金に

2024年6月5日 05時05分 (6月5日 05時06分更新)
同人誌「波の花 風吹く」を企画した紅玉いづきさん=金沢市内で

同人誌「波の花 風吹く」を企画した紅玉いづきさん=金沢市内で


 能登半島地震の被災地を支援しようと、県内在住の作家と漫画家がチャリティー同人誌「波の花 風吹く」を制作した。能登地方が題材の小説3作と、被災体験や支援の思いをつづったエッセーを収録し、経費を除く収益を県への義援金にする。企画した作家の紅玉(こうぎょく)いづきさん(金沢市)は「私たちが今できる、精いっぱいのよい本ができた」と話す。 (谷口大河)
 これまでも文芸同人誌を制作してきた紅玉さん。地震を受け、県内の女性作家で能登の応援につながる本をつくろうと決意。2月から準備を始め、上田聡子(うえださとこ)さん、編乃肌(あみのはだ)さんに参加を呼びかけ、表紙を漫画家波津彬子(はつあきこ)さんに依頼した。5月26日に東京都内であった同人誌即売会で販売し、約100冊を売り上げた。
 輪島市出身の上田さんは愛着のある「輪島大祭」を軸に輪島で育った幼なじみの男女を描いた。エッセーは実家で体験した元日の激しい揺れや避難の記録、復興への祈りをつづった。
 編乃肌さんは高校生2人を主人公とした青春小説を著し、会話に九十九湾遊歩道(能登町)や能登塩のアイスなどを登場させた。エッセーに「いつかふとした瞬間、気軽に能登を訪れたいと想(おも)えるものにしたかった」と記した。
 紅玉さんは金沢市を流れる浅野川と犀川を擬人化し、2人が地震後の能登を見舞う物語を書いた。自身が3月に輪島市町野町を訪れて目にした景色と、人々が能登で生きてきた歴史を織り込んだ。
 印刷は、珠洲市上戸町のスズトウシャドウ印刷に依頼した。同人誌作家の間で人気が高い印刷会社で、地震で休業していたが、4月に営業を再開している。
 「波の花 風吹く」は税込み1500円。県内で書店を展開する「うつのみや」各店で販売を予定し、通販サイト・BOOTHで通信販売も受け付けている。紅玉さんは「能登に心を寄せ、この本を手に取ってくださる方も『参加者』。参加の輪が少しでも大きく広がってほしい」と話した。

県立図書館で29日 制作秘話語る催し

 同人誌の完成までを紅玉さん、上田さん、編乃肌さんが語るイベントが29日午後2時から、金沢市小立野の県立図書館で開かれる。会場で販売とサイン会もある。事前申し込みが必要で先着140人。(問)県立図書館=076(223)9565
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