本文へ移動

家持の旅 今こそ冊子に 藤平さん 本紙連載「能登路万葉八景」 避難所生活、入院…3カ月遅れで実現

2024年4月26日 05時05分 (4月26日 05時07分更新)
本紙連載をまとめた冊子を発行した藤平朝雄さん。「能登が傷ついた今こそ」と筆を執った=七尾市で

本紙連載をまとめた冊子を発行した藤平朝雄さん。「能登が傷ついた今こそ」と筆を執った=七尾市で

  • 本紙連載をまとめた冊子を発行した藤平朝雄さん。「能登が傷ついた今こそ」と筆を執った=七尾市で
  • 能登半島広域観光協会が発行協力した冊子。紙面をそのまま収容した

 能登半島広域観光協会相談役の藤平朝雄さん(84)=輪島市=が、本紙の能登版で昨年連載した「能登路万葉八景」を冊子にまとめた。能登を巡見した万葉歌人、大伴家持の足跡を歌とともにたどった全10回の大型企画。地震で被災し、車中泊や避難所生活を強いられ、体調を崩して入院もした。それでも「能登が深く傷つき、痛んだ今だからこそ」との思いで筆を執った。 (前口憲幸)
 東京に生まれ、輪島に移住して60年近く。誰よりも能登を愛し、慈しみ、執筆や講演を通して観光や文化、自然、歴史などの魅力を発信し続けている。
 「家持の能登巡見の随行記者になったつもりで書いた」という連載は、昨年2~12月に随時掲載された。「うたの旅」と題し、千里浜や能登島、輪島、珠洲など各地を舞台に展開。日本写真家協会会員で、北陸中日写真協会本部委員の渋谷利雄さん(87)=羽咋市=が撮影した写真を添えた。
 年明けの1月中旬を発行日と定め、準備を進めていたタイミングで襲った元日の地震。輪島市の自宅で被災して「着の身着のままで転々と避難した」。気苦労が重なり、2月末から3週間余り入院したが「すべて能登のため」と諦めず、当初の予定よりも3カ月遅れで発行を実現した。
 藤平さんは「地震禍にあり、まだ多くの人が混迷の日々を送っている。それでも能登は永遠だと信じる。家持がたどった万葉の旅が、この能登から消えることはないし、消してはならない。そんな思いを今、強くしている」と話している。

希望者へ郵送

 冊子は本紙の連載紙面をそのまま収容。同じスタイルで2021年に発行した「詩歌巡礼十二景 能登絶唱うたの旅」に続く第2弾となる。サイズはA4判で14ページ。500部を作製した。発行協力した能登半島広域観光協会の関係先や県内の図書館などに置くほか、希望者への郵送を受け付ける。申し込みは84円切手4枚を同封した上で、藤平さんの自宅(〒928-0206 輪島市町野町曽々木オ19の1)へ。(問)藤平さん0768(32)1146

 ふじひら・あさお 東京都目黒区生まれ。中央大文学部卒。県観光スペシャルガイド。輪島市観光協会事務局長、キリコ会館館長などを歴任した。主な受賞歴は日本観光協会観光振興功労賞、中日社会功労賞、石川テレビ賞。著書は「奥能登万華鏡」「タブノキは残った」「能登平家物語」など多数。


LINE友だち登録

<ユースクが調べます!> 北陸中日新聞「Your Scoop(ユースク)~みんなの取材班」は、無料通信アプリLINE(ライン)でつながった皆さんからの暮らしの疑問や困りごとを記者がとことん掘り下げ、疑問の解消や社会・地域課題の解決を目指します。事件事故などの情報や写真・映像の提供、不正の告発も受け付けています。秘密は厳守します。LINEで友だち登録し、ご投稿ください。

LINE友だち登録

<ユースクが調べます!> 北陸中日新聞「Your Scoop(ユースク)~みんなの取材班」は、無料通信アプリLINE(ライン)でつながった皆さんからの暮らしの疑問や困りごとを記者がとことん掘り下げ、疑問の解消や社会・地域課題の解決を目指します。事件事故などの情報や写真・映像の提供、不正の告発も受け付けています。秘密は厳守します。LINEで友だち登録し、ご投稿ください。

関連キーワード

おすすめ情報

石川の新着

記事一覧