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【能登町 若手記者ルポ】道路寸断 避難所や備蓄倉庫に行けない 震度6弱の能登町

2024年1月1日 21時29分 (1月2日 23時06分更新)
地震で倒壊した家屋=石川県能登町で

地震で倒壊した家屋=石川県能登町で

 震度6弱を観測した石川県能登町の宇出津地区でも、各地で倒壊した家屋が見られた。高台にあり避難所となっている同町崎山の能都体育館周辺には多くの人が押し寄せ、「家つぶれてもうたわ」と涙ながらに電話をかける人もいた。
 自宅が倒壊した元建具屋の久本武治(きゅうもと・たけじ)さん(90)は、町役場に避難。最初の地震の際には友人が訪ねてきており、「家を確認する」と友人が帰っていった直後に本震に襲われた。落ちてきた屋根に挟まれたが、自力で抜け出したという。
 別の友人と避難スペースで椅子に座り、「弱った。どうすればいいのか。携帯も家に置いてきてしまった。遠くの息子とも連絡が取れない」と戸惑ったように語った。
 町役場には他にも多くの被災者が避難しているが、断続的に大きな揺れが襲い、その度にスマートフォンの緊急地震速報のアラームが鳴り響いている。近くの公立宇出津総合病院では、入院患者を5階に集め避難させた。病院ロビーにも数人の避難者がいた。
 町役場には災害対策本部が設けられたが、町内の他地区と結ぶ道路が寸断されており、備蓄倉庫や避難所に行こうとする町職員も度々仕方なく帰ってくる状況。通れる道を探しながら各地への備蓄物資の配分を進めているが、ある職員は「避難者が多い。倉庫から出しても、水がもたないかもしれない」とつぶやいた。
 公立宇出津総合病院では、透析患者に危機が迫っている。病院は断水し、漏水もあるため「水がなくなりつつある状態」。職員は「今対処しているが、とにかく水がない」と必死な様子で役所など各地に電話をかけていた。
 能登町の宇出津港では、津波で流されたとみられる車両やタイヤが散乱している。同町では電気が復旧した地区もあるが、港の周辺は停電しており、明かりはない。町役場に避難している坂一幸さん(65)は、港のすぐそばの家に電気が復旧してないか確認しに来ていた。
 地震直後は港の反対側にある高台に逃げようとしたが、川を遡る津波を見たため、逆側の高台に逃げたという。1時間半ほどして自宅に戻ると、家の奥に置いていたはずの履物が流されたのか、玄関に集まっていた。廊下にも泥があった。「津波は60センチぐらいはあったのではないか」と話す。
 隣にある、昔住んでいた家は倒壊した。坂さんは「未だかつて経験したことない揺れだった。掃除しないといけないが、まずは電気が戻ってくれないと」と話しつつ、町役場にいる妻と娘のために食料を持って行っていた。

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