本文へ移動

被弾した球種から入る…『18歳の配球』に中日の歴戦投手陣ざわつく 興味そそられる山浅の“野球履歴書”

2023年2月8日 11時40分

このエントリーをはてなブックマークに追加
');
シート打撃で外野フライに倒れたアキーノ。投手橋本、捕手山浅=5日、沖縄・北谷で

シート打撃で外野フライに倒れたアキーノ。投手橋本、捕手山浅=5日、沖縄・北谷で

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って
 歴戦の投手陣が「18歳の配球」にざわついている。発端は5日のシート打撃。本塁打を打たれた橋本が、再びアキーノを打席に迎えていた。捕手は加藤匠からドラフト4位・山浅龍之介に交代。数秒間の打ち合わせで、こんな会話があった。
 「さっき打たれたのは何でした?」
 「スライダーだよ」
 出したサインが、何とスライダー。さすがに橋本は首を振った。出し直してもスライダー。戸惑いつつ投げ、中飛に打ち取った。打たれた球を確認した上で出す発想、先輩にNOと言われても押す度胸。この話はたちまち投手陣に広まった。
 「まさかですよね。でもこいつ、すげえなって思いました」。橋本は目を丸くしていた。続いて山浅に聞いた。
 「打った球がまた来たら、絶対に振ってくると思いました。橋本さんのスライダーはいいですから、しっかり投げきればファウルになる。見逃されても次に真っすぐかツーシームをと考えていました」。結果よりも大切なのは、意図と根拠。配球の大原則を、彼はすでに持っていた。
 履歴書からして興味をそそられる。秋田県の由利本荘市で生まれ、中学は宮城県の富谷市へ。15歳ならよくある野球留学だが、彼は12歳で越境した。日本で唯一、プロ野球チームが運営する楽天シニア。三木谷オーナーの「サッカーにはユースがあるのに、なぜ野球にはない?」のひと言で誕生した。学年10人。みちのくのエリート。当時の監督は、僕もよく知る人だった。
 「山浅は1を言えば2、3と増やしていける賢い選手でした。ご両親も本当にすばらしく、すてきな家族なんです」
 中日にも在籍した川岸強さん。現在は台湾の楽天モンキーズ2軍チーフ投手コーチを務めている。宮城で技と心を磨いた山浅は、15歳で福島(聖光学院高)へ、そして18歳で名古屋へ移った。
 「宮城には母と妹も一緒に引っ越して、本当に振り回してしまった。だから家族には感謝しかありません」
 12歳で決めた道を、迷いなく突き進んでいる。もう先輩投手たちも、ルーキーだとは思っていない。

関連キーワード

おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ 電子版