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希望の党の会見場に行ったら、「徹底した情報公開」をしてもらえなかった話

事前に選ばれたメディアしか入れなかった。

10月22日に投開票日を迎えた第48回衆議院議員選挙。当初、話題の中心になったのは、民進党を吸収する形で立ち上がった希望の党だった。

一時は「政権奪取か」と騒がれたが、その後は各メディアで失速が報じられた。開票速報でも、早々に野党第1党は「排除」したはずの立憲民主党とされている。

小池百合子代表は、都知事の公務でパリにいる。トップが留守の中、希望の党の選挙に関する会見場はどうなっているのか。BuzzFeed Newsは現場に向かった。

ところが、入ることさえ許されなかった。なぜ、こうなったのか。

問い合わせ先が見つからず、困惑

開票日に希望の党を取材するように編集長から指示を受け、最初に困ったのは問い合わせ先だった。

公式サイトには、電話番号や住所が掲載されていない。広報窓口の統一は不十分で、結党当初から報道各社が問い合わせに苦慮していた。

東京都選管によると、党に所属する松原仁氏の事務所が「党選挙対策本部」。しかし、事務所は「あくまでも暫定的なもの」で、開票時の会見場は「把握していない」のだという。

なんとか、関係者から党本部の連絡先を入手し、会見について問い合わせた。広報担当者は、会見の場所や時間を記者(朽木)に教え、「直接会場に来るように」と伝えた。

「取材はお断りさせていただきます」

いよいよ10月22日、都内のホテルで会場オープンを待つ報道陣の列に並び、受付開始まで30分ほど待った。順番が回ってきた受付で「直接会場に来るように」言われたと伝えると、係員の表情が曇った。

「少々お待ちください」

スタッフ間で相談が始まる。10分ほど経って、現場のリーダーらしきスタッフが記者の元を訪れ、こう伝えた。

「今回の取材はお断りさせていただきます」

事前の申し込みがなかったから、会見場に入れないという。しかし、記者は党本部に電話で取材を申し込み、直接来るように伝えられていた。それなのになぜ「お断り」なのか。

聞けば、開票日の会見取材は事前登録制で、しかも、「党側が選んだメディアにしか案内状を送っていない」という。そのスタッフは「BuzzFeedさんに情報が回っていること自体が問題」と言い放った。

中に入れたのは、選ばれたメディアだけ

BuzzFeed Newsが後から入手した案内状には、「当情報の他メディアの方へのご共有はお控え頂くよう、ご協力の程宜しくお願い致します」と明記されていた。

つまり、会見の情報は、希望の党が選んだメディアだけに伝えられ、しかも、それ以外のメディアと共有することは禁じられていた。

「BuzzFeedさんにはこれまでに何度か取材していただいておりますし、今回はたまたま選定から漏れてしまったのかも……。またよろしくお願いします」ーースタッフは申し訳なさそうに、そう語った。

「徹底した情報公開」?

仕方ないので、会社に戻り、希望の党の会見をネットメディアなどの中継で見た。樽床伸二・選対事務局長の冒頭挨拶だけで、それ以降は音が入らない。

しばらくして「各社個別インタビュー中は音声を下げております」とテロップが流れた。

希望の党は公約の中に「隠ぺいゼロ」を掲げ、「徹底した情報公開による透明性の高い政治を実現」を謳っている。

その姿勢と今回のメディア対応は、矛盾するのではないか。画面の向こう側の希望の党の会見場には、すし詰めになっている自民党の会見場と違い、十分なスペースが映っていた。