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進撃のテーマパーク
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USJに集結する脱東京・優秀人材。大手ITやメーカー出身者、外国人ら惹きつける人事戦略とは

竹下 郁子[編集部]

竹下 郁子[編集部]

Dec 17, 2024, 7:05 AM

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USJ
ユー・エス・ジェイ人事本部長の田口雅子氏。
撮影:竹下郁子

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が躍進している。入園者数は2022年23年と2年連続で世界3位(米テーマエンターテインメント協会調べ)。これはユニバーサル・スタジオの“本家”であるアメリカや、東京ディズニーランドを上回る

世界から客を集めるUSJだが、地元・関西へのフォーカス漫画・アニメIPとのコラボなど、日本独自の経営が成長の源泉だ。

参考記事:USJ副社長「統一された世界観のテーマパーク、息苦しい」。常識覆す“日本流”で世界から集客

USJ副社長「統一された世界観のテーマパーク、息苦しい」。常識覆す“日本流”で世界から集客

USJ副社長「統一された世界観のテーマパーク、息苦しい」。常識覆す“日本流”で世界から集客

一方で、その成長はどのような人たちによって支えられているのだろうか。

東京の大企業を蹴ってUSJで働くことを選ぶ人たち、台湾・韓国などワーキングホリデー制度を活用した外国人人材の採用、テックカンパニーとしての存在感など、「訪れる場所から働く場所」としての存在感を増すUSJの人材戦略に迫った。

関西以外からも採用へ「東京と横浜は今後の主戦場」

USJ
ハロウィーン期間のパーク内にて撮影。
撮影:竹下郁子

人手不足に悩むテーマパークが多い中、USJはアルバイトスタッフの採用方針を大きく転換した。

関西に住む大学生が主な担い手だったところに、「関西以外の遠方に住む人」「外国人」「60歳以上のシニア」を新たな軸として据えたのだ。

遠方採用としては2023年に愛媛県、岡山県、愛知県、福岡県などで採用選考会を開き、約100人を採用。24年も関西以外から100人ほどの採用を見込んでおり、夏には東京都、神奈川県横浜市で選考会を実施した。ユー・エス・ジェイ人事本部長の田口雅子氏は、

東京や横浜は今後も我々の採用における主戦場になると思います」

と意気込む。東京や横浜の選考会には「現在正社員として働いているが、USJでならアルバイトでも働きたい」「これを機に関西にUターン就職したい」という人も。

即戦力になる人材も多かったそうで、

「我々の狙いの1つでもありましたが、関東近郊のテーマパークで働いていた方からの応募もありました」(田口氏)

大阪府への引越しが前提のため、住宅を下見するための交通費や宿泊費、敷金礼金や引越し代、家賃の一部を補助するなど、金銭面でも手厚いサポートで応募を後押しする。

韓国や台湾でワーホリ採用「日本の漫画アニメ好き」集まる

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ワーホリ採用の応募者には自国で順調なキャリアを築いている人も少なくなく、薬剤師として働いていた応募者もいた。
撮影:竹下郁子

加えてユニークなのが、ワーキングホリデー制度を活用した外国人の採用だ。

2023年には台湾で説明会を開催し、16人を採用。24年には台湾に加えて韓国でも説明会を実施し、台湾から40人、韓国から30人と10月末までに70人を迎え入れた。

韓国は今回が初めての採用となったが、韓国語と英語と日本語のトリリンガルの応募者も多かったという。

来園者のうち3〜4割を海外からの旅行者が占める現状において、日々のゲスト対応のみならず、パーク全体のサービスレベルの向上に大きく貢献してくれると期待しています。インクルーシブなテーマパーク運営をするには、園内放送1つとっても、外国人当事者の意見を聞くことがとても大切なんです」(田口氏)

応募者の動機としては、「日本の漫画やアニメが好き」ということ、そして「日本流のおもてなしを学びたい」という2つの共通点があったそうだ。USJは日本発の漫画・アニメIPとコラボしたアトラクションやショーが多く、うってつけというわけだ。

2025年以降はさらに拡大し、ワーキングホリデーだけで100人超の採用を目指す。

さらに、ワーキングホリデーは基本的に1年間の雇用だが、引き続きUSJで働くことを希望する人には、USJが就労ビザへの切り替えをサポートするなど、長期的なキャリアを築ける環境の整備を進めているという。

万博を控えたUSJが目指す「筋肉質な組織」とは

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