
- ヘッジファンド世界最大手ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で著名投資家のレイ・ダリオ氏は、イスラエルとハマスの戦いは世界の他の地域でさらなる衝突を引き起こす可能性が高いと警鐘を鳴らしている。
- アメリカや中国を巻き込んだ世界大戦のリスクは50%に上昇したとダリオ氏は話している。
- こうした戦争は激しく、しばしば拡大する傾向があるという。
イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突はまた別の血なまぐさい戦いに飛び火する恐れがあり、アメリカや中国を巻き込んだ世界大戦が勃発するかどうかはもはや"コイントス"だと、著名投資家のレイ・ダリオ氏は警鐘を鳴らしている。
「わたしの考えでは、この戦争はさまざまな場所でさまざまなタイプの紛争につながる危険性が高く、その悪影響はイスラエルやガザを超えて広がる可能性が高い」とダリオ氏は『国際戦争への新たな一歩(Another Step Toward International War)』と題した10月12日付のリンクトイン(LinkedIn)の投稿の中で書いている。
「こうした理由から、わたしには"自制した紛争"から大国を含む"自制のない熱い世界大戦"へと移行する可能性がこの2年で35%から約50%に上昇したように見える」とダリオ氏は述べた。
同氏はヘッジファンド世界最大手ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で、『世界秩序の変化に対処するための原則:なぜ国家は興亡するのか』といった著書でも知られる。
ここ数年は国内および国家間の緊張の高まりに警鐘を鳴らしてきた。直近のリンクトインへの投稿では、アメリカと中国がいわゆる熱い戦争 —— 武力に訴える戦争 —— の「寸前」にあって、イスラエルとハマスの対立が広がれば他の国々の軍事衝突につながる可能性もあると警告している。
世界の勢力変化や歴史に詳しいダリオ氏は、イスラエルとハマス、ロシアとウクライナの紛争はどちらかが明確な勝利者となる「最後まで激しい」戦いになる可能性が高く、この種の戦いは「沈静化するよりも拡大する可能性が高い」と指摘している。
「もしそれが他の国々、とりわけ主要国に広がれば、もっと恐ろしい熱い世界大戦が起こるだろう。イスラエルとハマスの戦いは、より暴力的で多くの国々が巻き込まれる国際戦争への古典的かつ不幸な一歩であるようにわたしには思える」
ダリオ氏はこの2つの戦争を、新しい世界秩序を定義するより大きな権力闘争の一部と捉えている。現在の米中間の緊張関係はまだ制御可能で、必ずしも本格的な戦争に発展することはないだろうと言う。ただ、直接の戦闘が勃発し、死者が続出するようなことになれば、それは「熱い戦争の前の自制した紛争から激しい第三次世界大戦」への道を開くことになるだろうと同氏は付け加えた。
ダリオ氏は世界の指導者たちに自制を求め、戦争当事国の同盟国には物理的な戦闘に引き込まれるのを避け、各国政府には戦争の拡大を防ぐために協力するよう呼びかけた。
同氏は皆が世界大戦の恐ろしさを認識し、それを回避するために団結することを願っているという。
「わたしが考えているより手の届きそうなストレッチ目標は、アメリカと中国が共同でウクライナの和平を仲介することだ」