旅行情報サイト「トリップアドバイザー」がこのほど、初の「インバウンドレポート2019」(集計期間:2018年1月~12月)を発表した。
毎月4億9000万人がサイトやアプリを利用している、世界有数の旅行プラットフォームサービスが集計したデータからは、訪日旅行客たちの意外な傾向がわかる。
1. インドの人たちが日本への関心を高めている?
日本の情報へのアクセス回数が増えた国と地域は、2017年と2018年を比較してみると、インドが前年比29%増で1位だった。中国、韓国、タイ、シンガポールなどといったアジアの国からの旅行客は既にある程度浸透しているが、中国に次ぐ人口を抱えるインドから、大勢の旅行客が訪れるようになるかもしれない。
2. 訪日中国人は東京より大阪。タイ人に人気の北海道はサッカー効果?
日本の情報を見ている上位の国と地域のなかで、都道府県ごとの関心の違いに注目。基本的には東京、大阪、京都がいずれも上位に入っている。
中国だけが、1位が東京ではなく大阪になっている。筆者の中国の友人たちも、20代、30代といった若い世代を中心に、「東京より大阪の方が楽しい」と答える者が多い。理由として、東京が中国の大都市と変わらないから面白味が無い、大阪の人とのコミュニケーションが面白い、とはよく聞く。
興味深いのはタイ。2位に北海道、5位に山梨が入っている。自然あふれる観光地をより好むのかもしれない。ただ、北海道に関しては、サッカー選手人気が寄与している可能性もある。
サッカーJリーグのコンサドーレ札幌には、タイ代表のエースであるチャナティップ選手が所属している。母国では国民的な人気を誇る選手で、多くの広告にも出演している。また、彼のインスタグラムのフォロワー数は200万人を超える。タイからの日本観光ツアーに、コンサドーレ札幌の練習見学ツアーが組まれるほどだ。
3. 大都市の高級ホテルより人気の地方ホテルがある
日本のホテルについて投稿された外国語の口コミや5段階評価などを元に算出したランキングもユニークだ。結果、1位は北海道占冠村の「クラブメッド北海道トマム」、2位も北海道新得町の「クラブメッド北海道サホロ」と北海道がワンツーフィニッシュだった。いずれも1泊数万円の高級リゾートだ。
一方、旅館で一番高い評価だったのが、静岡県伊東市の「日の出屋」。格式のある日本家屋である同旅館だが、価格は一人一泊約6000円。繁忙期はさすがに2倍以上の価格がつくが、値段がお手頃で立派な和室など日本の雰囲気を味わえるあたりが、人気の理由かもしれない。
4. インバウンド客が食べたいのは日本の「肉料理」
訪日旅行客から人気の、日本レストランは1位から4位まで肉料理の店。ガイドブックや各国の旅行サイトで紹介されているかどうかもランキングに影響しそうだが、「外食するなら肉」というのは多くの国に共通する傾向のようだ。
5. 旅行計画の立て方にも国民性がある
「検索した日からチェックインの日付までの平均期間」というめずらしい調査データもあった。距離の近いアジアが1~3カ月前、ヨーロッパでは2~3カ月以上前、オーストラリアやニュージーランド、イギリスなどは3カ月以上前から予約検討していることがわかる。ただ、謎なのが、隣国・韓国は40日以内なのに、同じく日本から近い台湾は2カ月以上前から。国民性の違いがあるのかもしれない。
他にもさまざまなデータを発表しているトリップアドバイザーのレポートは、こちらで確認することができる。
(文・大塚淳史)