最近、各分野で活躍するビジネスパーソンが、朝早く起きて勉強や運動、仕事の準備に、朝の時間を充てているという話を、しばしば耳にする。組織の幹部は毎晩遅くまで、会議や接待漬けで忙しいというのは時代遅れで、現代のエグゼクティブは早起きなのか?
パーソルキャリアによるハイクラス人材のキャリア支援サイト「iX」は、ハイクラスの目安として「1000万円プレイヤー」を対象に、睡眠と朝の過ごし方について聞いた。日本の平均年収432.2万円に対し、倍以上の報酬を得ているビジネスパーソンの朝の時間の使い方には明確な特徴があったという。
※東京、千葉、神奈川、埼玉に住む会社員男女(経営者とフリーランス除く)計800人に、iXが調査。30〜50代で年収1000万〜1100万円未満400人、20〜40代で年収400万〜500万円未満400人にインターネットによるアンケートを実施し、比較した。
1. 午前6時より早く起きている人が多い
1000万円プレイヤーは平均年収層に対し、5時起きの人が圧倒的に多い。5時台起床の人は平均年収層で10%程度が、1000万円層の人では22%だった。4時起床の人も1000万円プレイヤーが平均年収層を上回る。
眠りに就く時間はどうだろう。年収1000万円層の人の就寝時間で、もっとも多いのが午前0時。続いて23時。多くの人が、終電前には帰宅しているようだ。
2. 仕事を始める時間が早い
年収1000万円層の人は、仕事を始める時間が早いようだ。収入1000万円の人の6割以上が午前8時までに出社している。平均年収層でもっとも多かった9時台より1時間早い。 なんと5人に1人は7時台に出社。ランチまでにそれなりの仕事をこなしていそうだ。
3. 通勤時間にも趣味よりニュースチェック
通勤時間の過ごし方でも、明らかな違いが。1000万円プレイヤーは、ニュースサイトなどの閲覧が約50%でもっとも多く、平均年収層の約4割をはっきり上回った。「新聞を読む」と答えた人も、13.5%で、平均年収層の5.5%よりとかなりの差が開いた。
4. そもそも睡眠はそれほど長くない?
1000万円層の睡眠時間は平均年収層に対し、短めの傾向がある。どの層も約6時間が最も多かったが、年収1000万円層では、およそ3割が睡眠時間は「5時間以下である」と回答。ただし、7時間という人も2割超いた。
5. 決断は朝に行う
iX事業責任者の清水宏昭さんは調査結果を受けて、1000万円プレイヤーに象徴されるような年収の高い層について「総じて朝は早い。役職者の場合も多く、前日まで考えていたことを一晩寝かせ、朝イチで意思決定する習慣にしている人も少なくないです」と話す。
ちなみに全国でもっとも早起きは岩手県民、もっとも遅いのは……
ところで、総務省の2016年「社会生活基本調査」によると、起床時間を地域別でみてみると、1位岩手県、2位青森県、3位静岡県、4位富山県・岐阜県と、北の方が早起き傾向があるようだ。
ちなみに最も遅いのが京都府、次に遅いのが東京都だった。
日本人全体が朝型にシフトしつつある
さらに言うと、日本人全体で働く時間は、朝型にシフトしつつあることが、NHK放送文化研究所が5年ごとに行っている「国民生活時間調査」で明らかになっている。職を持っている人の中で平日の午前8時より前に仕事をしている人は、1995年、2005年から2015年までには段階的に増えている。1995年で10%台だったのが、2015年では2割程度に。
一方で、午後5時半以降に仕事をする人は、2005年以降は減少傾向にある。同僚らとの食事や飲み会といった「仕事の付き合い」をする人も減っていて、販売職・サービス職、事務・技術職、経営者・管理職でいずれも2015年は1995年から半減している。
朝型のビジネスパーソンが増えているように感じるのは、遅くまでの会議や、飲み会や接待など、「就業時間後の過ごし方」が変わりつつあるからかもしれない。
そもそも1000万円超の高年収層も朝型であることが浮かび上がっている。「仕事が忙しくて毎晩遅く、朝は苦手……」という人は、時間の使い方を見直してみてもいいかもしれない。
(文・滝川麻衣子、写真は全てイメージです)