
- 「iPad mini」シリーズは小型タブレット好きに根強い人気だが、もう4年間も新型が出ていない。
- 5月に発売されたファーウェイの「MediaPad M5」は、軽量で電子書籍やネット動画を観るのにもってこい。
- LTE版はSIMフリー仕様で、国内外の好きな場所でストレス無く使える。

国内大手3キャリアすべてからスマートフォンを発売し、SIMフリー市場でも好調なファーウェイ。実はタブレットも日本で地道に出し続けており、国内Androidタブレット市場ではNo.1のシェアをもっている。同社の最新タブレットが「HUAWEI MediaPad M5」だ。
同機はAmazon.co.jpなどのECサイトや家電量販店で発売中。直販価格はWi-Fi版が4万824円、格安SIMなどが使えるLTE版が4万9464円と、価格の手頃さで注目を集めている。
ちなみに、MediaPad M5のLTE版は、国内向け周波数を含む17種類のLTE周波数帯に対応。国内外を問わず出張の多い人なら、どこでもすぐにつながるLTE版をオススメしたい。
出張先でのメールの確認から、SNSの閲覧などスマートフォンが得意とするシチュエーションに加え、オフィス文章の閲覧や編集、ストリーミング動画の鑑賞などタブレット向けのシーンでも活躍できる。
もちろん予算を抑えたい場合や自宅でしか使わないという方は、8000円ほど安いWi-Fi版を選ぶのもありだろう。
3年近い時を経てiPad miniを追い抜いたMediaPad
MediaPad M5と同じサイズ感の代表格はアップルのiPad miniシリーズだ。けれども、根強いファンがいるものの、実は2015年9月に発売された「iPad mini 4」を最後に、約3年近く新型が登場していない。さらに、Androidタブレットもスマートフォンのディスプレーが大型化していることもあり、画面サイズ10インチ以下のクラスは、製品数そのものが減っているのが現状だ。
iPad mini 4とMediaPad M5の2年半という発売時期の違いは、いまや大きな性能差を生んでいる。
OSが異なるという大きな違いを横に置いて見てみると、ディスプレーはiPad mini 4が7.9インチに対して、MediaPad M5は8.4インチ。MediaPad M5の縦横比が16:10と縦長なので単純比較はできないが、ピクセル密度を比べるとiPad miniが326ppi(2048×1536ドット)に対して、MediaPadが359ppi(解像度2560×1600ドット)と、MediaPad M5のほうがさらに高精細だ。
電子コミックや紙をスキャンして作成したPDFなど、細かい文字があるデータでも、にじまずくっきりと表示できる。高解像度な動画や静止画を見ても描写の精彩さはなかなかのものだ。

2年半の時差は、デザインと機能性にも感じる。画面周囲が狭い狭額縁デザインが当たり前になったことで、画面周囲の余白がすっきりとして、画面の広さのわりにコンパクトに仕上がり、持ちやすい軽量さもそなえた(ちなみに重量に関してはiPad mini4の方が軽く、LTE版約304gに対してMediaPad M5は約320gだ)。
コンテンツを長時間見る際に目の疲れを抑制するというブルーライトカットモードや、周囲の環境に応じて色温度を調整する機能も搭載。このあたりもiOSの「Night Shift」や「True Tone」にならった機能といえる。

iPad miniとの比較で特に進化を感じるのが、サウンド面だ。高音質なハイレゾ音源の再生に対応しており、オーディオメーカーのハーマン社による音響チューニングによる、高品質なサウンドが再生ができる。
高音質のステレオスピーカーの効果を感じるのが音の解像感。iPad mini 4はステレオスピーカーを搭載しているが、音質的には自慢できるほどのものではなかった。一方、MediaPad M5は高音から低音までしっかりとわかり、映画やドラマ視聴時にはセリフが聞き取りやすくなっている。
さらに、本体上部と下部それぞれにスピーカーを配置したデュアルスピーカー仕様に加え、独立したパワーアンプを装備。外部スピーカーに頼らなくても本体での再生でサラウンド感と厚みのあるサウンドが楽しめる。

電子書籍や動画の視聴がストレスフリー、充電スピードも速い
実際使ってみると、画面のスクロールや切り替えなどにもたつくことはなく、キビキビと動作してストレスがたまらない。また文字の入力など細かな操作は両手が必須となるが、画面のスクロールやスワイプといった作業は片手で持って親指だけの操作で問題なし。コミックなどの電子書籍を読むのにちょうどいい。

また動画の再生もナローベゼルかつディスプレーが16:10ということもあり、余計な余白がなく再生可能。作品に集中できるのでオンデマンドの動画サービスのヘビーユーザーにもオススメだ。

個人的に気に入ったのは、バッテリーの急速充電機能。付属のアダプターとケーブルを利用するとファーウェイ独自の急速充電機能が利用でき、最大9V/2Aでの充電が可能。バッテリー容量は5100mAhだが約1.9時間でフル充電になる。バッテリーが切れてもサッと充電できるのはうれしい。

ライバルが不在な10インチ以下の小型タブレット市場
iPad miniシリーズが開発終了に近い状態のため、同じ10インチ以下クラスのタブレットを選ぶなら、Androidから選ぶしかない、というのが今の状況だ。この2年半でAndroidのタブレットも進化しているので、買い換えを考えているならMediaPad M5は十分“買い”と言えるモデルに仕上がっているといえる。
(文、撮影・中山智)
注:この記事では、Business Insider Japan編集部がお勧めの製品を紹介しています。リンクを経由してアマゾンで製品を購入すると、編集部とアマゾンとのアフィリエイト契約により、編集部が一定割合の利益を得ます。
中山智:海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。