Knightscope
- セキュリティロボットがサンフランシスコで稼働し始めた。目的は、ホームレスがテント村を作るのを阻止すること。
- ロボットはレーザーとセンサーを使って、犯罪行為を監視する。犯罪行為に介入するのではなく、当局にアラームを送る。
- ロボットのオーナー、動物愛護団体のサンフランシスコSPCAはロボット導入後、テントの件数と車上荒らしの件数は減少したと述べた。
サンフランシスコに、通常、駐車場、スポーツアリーナ、テック企業の本社などをパトロールするために使われるセキュリティロボットが、ホームレスを排除するために導入された。
動物愛護団体サンフランシスコSPCAは開発が進むミッション地区にある施設にセキュリティーロボットを導入したと先週、The San Francisco Business Timesが報じた。ホームレスが歩道にテントを設置することを阻止することが目的だ。
また同報道によると、サンフランシスコ市はロボットの撤去をSPCAに命じた。従わない場合は、許可なく路上で稼働しているとし、1日最大1000ドルの罰金となる。
サンフランシスコSPCAの広報マネージャー、クリスタ・マロニー(Krista Maloney)氏は、路上にテントが設置されていたため、スタッフが歩道を安全に使用できないことがしばしばあったとBusiness Insiderに語った。SPCAがK9と呼ばれるロボットを使って施設の監視を1カ月前に開始してから、ホームレスのテントの数は減り、車上荒らしの件数も減少したとマロニー氏は付け加えた。
そう、2017年はサンフランシスコでロボットがホームレスのテント設置を阻止することに使われた最初の年になった。信じられないが、現実だ。
K9は犯罪防止用ロボットの一つ。カリフォルニア州マウンテン・ビューにあるスタートアップ企業ナイトスコープ(Knightscope)が製造している。同社のロボットが人と戦うことはない。レーザーやカメラ、温度センサー、GPSといった装備を使って、犯罪行為を検知し、管理者にアラートを送る。
ロボットの目的は、人間の警備員に「超人的」な目と耳を与えることと同社CEOビル・サンタナ・リー(Bill Santana Li)氏は2017年5月、Buiness Insiderに語っている。
ナイトスコープは、ロボットを1時間7ドルでレンタルしている。警備員の時給よりも安い。同社は5つの州に現在19社の顧客を持つ。マイクロソフトやUber、ジュニパーネットワークスといった顧客の多くは、ロボットに駐車場とオフィスビルのパトロールをさせている。
犯罪防止という名目で、同社は新規顧客を獲得している(警官の数を増やすことは犯罪防止につながる。だが、いつも有効な手段とは限らない)。
「家やオフィスの前にパトカーを配置すると、犯罪者の行動は変わる」とリー氏。
K9がサンフランシスコSPCAの周辺をパトロールし始めると、さまざまな反応が寄せられた。ロボットが導入された最初の週には、近くでホームレスキャンプを設置していた人たちが、ロボットに「シートを被せたり、蹴り倒したり、センサーにバーベキューソースをかけたりした」ようだとSPCAの代表ジェニファー・スカーレット(Jennifer Scarlet)氏は語った。あるツイッターユーザーはロボットに排泄物をかける様子を目撃した。
同団体に対する失望をツイートで表明した人もいた。
@sfspcaがホームレスを無情に扱うことにはがっかりした。
@sfspcaはセキュリティーロボットを使って、近くにテントを作っているホームレスに「対応」しているだって? ホームレスアニマルを保護する組織なのに、ホームレスに対してもっと良い方法を思い付けなかったのか?
ロボットの登場で、通りがきれいになったとするツイートもあった。
歩道を占拠していたテントをなくし、使用済みの注射針や犯罪を減らしたセキュリティーロボットを撤去しようとしているサンフランシスコ市(
#SanFrancisco)はどうかしている。
ナイトスコープの広報担当者はコメントを拒否した。
[原文:Robots are being used to deter homeless people from setting up camp in San Francisco]
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:増田隆幸)