シカゴにある閉鎖されたリンカーン・モール。
Seph Lawless
- アメリカの郊外はここ数十年で大きく変わった。
- かつては郊外に暮らす人々の憩いの場であったショッピングモールは、小売業界が崩壊する中で極めて苦しい状況にあり、その多くが閉鎖に追い込まれた。
- 郊外の不動産やゴルフコースも近年、進化を遂げている。
Business Insiderは今年3月、「郊外の死」をテーマとした連載記事を展開し、我々の知る「郊外の暮らし」が消えつつある現状を報じた。
マックマンション(編集部注:安い建材で作られた大邸宅。過熱する住宅市場の象徴とも言われる)の価格の急落ぶりを見れば、都市部と郊外の線引きが以前にも増して曖昧になっていることが分かる。そして、全米各地で閉鎖されたショッピングモールが増加している。郊外にはもはや、全盛期の頃の輝きはない。
この記事では、アーティストで活動家のセフ・ローレス(Seph Lawless)氏やBusiness Insiderの記者が捉えた、アメリカの郊外の過去の遺産を写真で紹介する。ミレニアル世代が異なる生活スタイルを確立する一方で、こうした建築物の一部は閉鎖されている。
小売業界にとってここ数年は苦しい日々が続き、アメリカ各地でモールの閉鎖が相次いだ。写真にあるシカゴのリンカーン・モールも、2015年1月に閉店した。
Seph Lawless
Source: Business Insider
だが閉鎖間近には、店舗数は40まで減った。
Seph Lawless
中でもシアーズの閉店は、大きな痛手だった。
Seph Lawless
オーナーの弁護士によると、モールのテナント料は、改装や修繕を行うには不十分だった。
Seph Lawless
モール側は、 防火規則に沿った出口の新設、電気設備や空調システムの交換を含む修繕工事を行うことができなかったと報じられている。
Seph Lawless
2014年11月には、クック郡の裁判官がクリスマスショッピングのシーズンが終わった後、モールを閉鎖するよう命じた。
Seph Lawless
その後、モールは2年近く、からっぽのまま放置されていた。
Seph Lawless
看板もそのまま。
Seph Lawless
一部のバナーも、吊り下げられたままだった。
Seph Lawless
オハイオ州アクロンにあったローリング・エーカーズ・モールも似たような運命をたどった。
Seph Lawless
2016年5月から解体工事が始まった。
Seph Lawless
ミズーリ州カンザスシティにあるメトロ・ノース・ショッピング・センターも閉鎖された。
Seph Lawless
モールは巨大だった。その床面積は約11万平方メートルで、かつては150店舗以上が出店していた。
Seph Lawless
2014年に、正式に閉鎖された。
Seph Lawless
当初、2億ドルをかけた改装が行われる予定だったが、テナントの誘致が難しいとの理由から、2015年にデベロッパーはこの計画を断念した。
Seph Lawless
営業は続いていても、ゴーストタウンのように閑散としたモールもある。例えば、写真のバージニア州リッチモンドにあるリージェンシー・スクエア・モールもその1つだ。
Hayley Peterson/Business Insider
空になったテナントスペースが並んでいる。
Hayley Peterson/Business Insider
多くの小売業者は、消費者動向の変化になかなか適応できなかった。バージニア州グレンアレンにあるモールでは、アンカーストアのシアーズがまだ営業を続けているが、陳列商品は驚くほど少ない。
Hayley Peterson/Business Insider
Business Insiderの記者が今年7月にこのシアーズを訪れた時には、靴売り場の棚が空になっていた。
Hayley Peterson/Business Insider
Source: Business Insider
家電売り場にいたっては、陳列棚が壊れている。
Hayley Peterson/Business Insider
旅行用品のコーナーでは、複数のフックに同じ商品がかけられていた。スペースが余っているのだろう。
Hayley Peterson/Business Insider
カーテン売り場も、商品の少なさが目立つ。
Hayley Peterson/Business Insider
写真にある冷蔵庫売り場は、比較的品数が豊富だった。だが、壁はむき出しのままだ。
Hayley Peterson/Business Insider
空の棚の下、壁際のカーペットは破れている。
Hayley Peterson/Business Insider
我々が今年2月に訪れたニュージャージー州ウッドブリッジにあるシアーズも、似たようなものだ。
Sarah Jacobs/Business Insider
バージニア州リッチモンドの店舗でも、商品はほとんど並んでいなかった。
Hayley Peterson/Business Insider
2005年にシアーズと合併したKマートも、年内に合計238店舗を閉店することを発表している。
Hayley Peterson/Business Insider
Source: Business Insider
2016年7月には、我々はマンハッタンにあるメイシーズの旗艦店を訪れた。店内は雑然としていて、セール品ばかりだった。メイシーズは年内に68店舗を閉店する。
Mallory Schlossberg/Business Insider
Source: Business Insider
衣料品コーナーもひどかった。
Mallory Schlossberg/Business Insider
だが、これはモールのアンカーストアに限ったことではない。クロックスも160店舗を閉鎖する計画だ。
Marina Nazario/Business Insider
今年に入って、国内1430店舗の閉店準備を進めていたラジオシャック(RadioShack)では、ほぼ全ての商品が値引きされていた。
Mary Hanbury/Business Insider
ウェットシール(Wet Seal)も171店舗を閉店する。
/Business Insider
アメリカ国内の郊外で変わったのは、モールや買い物だけではない。かつてはコミュニティーの定番だったゴルフ場も、ゆっくり消えようとしている。
ニュージャージー州マファにあるアップル・リッジ・カントリークラブも閉鎖された。
Sarah Jacobs/Business Insider
アメリカでは過去10年で、800以上のゴルフ場が閉鎖された。スポーツ&フィットネス産業協会(Sports & Fitness Industry Association)のデータによると、18歳から30歳の若者はゴルフに興味がない。
Sarah Jacobs/Business Insider
Source: Business Insider
ニュージャージー州マファにあるアップル・リッジ・カントリークラブは、1966年にオープンした。
Sarah Jacobs/Business Insider
イベントスペース、18ホールのゴルフコース、スイミングプール、テニスコートを完備したこのカントリークラブは、コミュニティーの誰もが楽しめる場所だった。
Sarah Jacobs/Business Insider
2015年に正式に閉鎖して以来、カントリークラブは放置されているようだ。この写真は今年2月に撮影したもの。
Sarah Jacobs/Business Insider
今日、ミレニアル世代は、従来のように郊外で暮らすのではなく、あらゆる手段を使ってでも都市部で生活することを選ぶ。
サンフランシスコの小さな家で暮らすカップル。
Melia Robinson/Business Insider
Source: Business Insider
従来の住宅に代わり、輸送用コンテナやヨット、バンで暮らすミレニアルもいる。
輸送用コンテナを小さな家に改装するカップルもいる。
Melia Robinson/Business Insider
派手な消費を好まない若い住宅購買層は、マックマンションのような華美な大邸宅を敬遠する。住宅用不動産サイトのトゥルーリア(Trulia)の調査によると、マックマンションの住宅価格は下落していると見られる。
Scott Olson/Getty Images
Source: Business Insider
[原文:These photos of abandoned malls and golf courses reveal a new era for the American suburb]
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:山口佳美)