
テスラの工場で、労働組合結成に向けて動いている従業員が、同社の取締役会に要求リストを提出した。
カリフォルニア州にある同社フリーモント工場での労組結成の動きは今年1月、生産ラインで働くホセ・モラン(Jose Moran)氏がオンラインメディアMediumに、過酷な労働条件を詳細に記した投稿を行ったことがきっかけ。以来、労働事故を減らすための設備改善への要求が集中している。
労組結成に向けての動きを率いるテスラ従業員組織委員会(Tesla Workers' Organizing Committee)は7月31日(現地時間)、同社経営陣に訴えても状況が改善しないため、取締役会に問題を提起したと発表した。
「問題について繰り返し提起したが、一向に解決されない。アメリカで最も利益が多い、最も生産的な自動車メーカーを目指して働くうえで、我々は取締役会から経営陣への指針の提示を求めたい」と同委員会は述べている。
さらに経営陣に対し、同工場で勤務する際に起こり得るリスクの事前周知や、即時実施可能な安全監査、社内の安全計画に関する工場従業員の発言権、同工場での昇進基準の明確化などを要求している。
7月28日には同社初のマスマーケット向けセダン「モデル3」の引き渡し式が行われた。CEOのイーロン・マスク氏はこの式典で、今後6カ月はモデル3の「地獄のような生産期間」が控えていると述べた。
同委員会の発表は、カリフォルニア州の労働者支援団体「ワークセーフ(Worksafe)」の報告を引用し、2014年と2015年のフリーモント工場の製造ラインでの負傷事故発生率は業界平均よりも多いと指摘している。
さらに経営陣に対し、反労組的な発言や活動を控えることも要求している。4月、全米自動車労働組合(United Auto Workers)とテスラの従業員3人はそれぞれ、同社が労組結成の動きを鎮静化させるために、従業員に協力を強要しているとして、全米労働関係委員会に訴え出た。
「我々従業員も株主として会社の未来に投資していることを忘れないでほしい。我々従業員に発言権が与えられれば、モデル3の生産プロセスにおける問題とその解決法を提示することができ、わが社の歴史的ステージにおける大きな成功を促すことができる」と同委員会は述べている。
テスラの工場従業員の一部からは、新モデルの生産開始時期の過酷な労働状況が報告されている。特に生産の大幅な遅れや自主的なリコールが生じた「モデルX」では顕著だとのこと。テスラはスケジュール通りに生産することに苦心している状態で、その結果、困難な状況での長時間労働につながっていると従業員らは指摘している。
マスク氏は当初、フリーモント工場での事故の訴えに対し、「悪意のある報告か、全くの嘘だ」と一蹴していたが、現在は従業員に対し、負傷については直接自分に報告するようにと述べている。
[原文:Tesla factory workers pushing for a union just sent a list of demands to the company's board]
(翻訳:Tomoko. A)