『江戸・明治のロゴ図鑑』
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『江戸・明治のロゴ図鑑』友利昴著
[レビュアー] 宮部みゆき(作家)
我が国に商標登録制度が誕生したのは明治十七年のことだそうだ。今年で百四十年になる。写真は、栄えある第一号の登録商標だ。京都の薬屋さんの「養命膏」という膏薬(こうやく)のもので、魚をさばいていて指を切ってしまった人を描いた写実的な絵である。パッと見ただけでは登録商標のデザインだとは思えない。本書に収録されているたくさんの登録商標は、こうした写実調のものからスマートにデザイン化されたものまでバラエティ豊か。現在も私たちの身近で流通している品物もあるので、見比べてみると二重に楽しめる。
私のお気に入りを二つあげておきますと、第四八七八号の「元祖が類似品を叱(しか)っている」一コマ漫画みたいな帯留め金具の登録商標と、第一六〇七〇号の森下仁丹の「毒滅」というお薬のもの。ぜひとも本書で見てみてください。大迫力ですよ。(作品社、2640円)