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    【コラム】ホンダと日産の統合案、ようやく訪れた最適解-リーディー

    経営難に陥った日産自動車はようやく、ホンダという永続的なパートナーを得られるかもしれない。日産が仏ルノーによって救済されたのは四半世紀も前のことだ。救済者から一転して逃亡者となったカルロス・ゴーン氏の衝撃的な逮捕からは6年、ホンダと日産の最初の統合提案からは5年が経った。

      日産とホンダは23日にも経営統合の協議入りを正式に発表する可能性がある。これはまさに、一足早いクリスマスプレゼントと言えるだろう。統合案には多くの問題があるものの、あり得る選択肢であることは間違いない。これ以外の代替案はかなり見劣りする。

      日本の自動車産業が崩壊しているわけではない。実際、トヨタ自動車は過去4年にわたり世界最大の自動車メーカーだ。競合他社が電気自動車(EV)への参入を急ぐ中、ハイブリッド車(HV)にこだわってきたトヨタはますます賢明に見える。これは特に米国で言えることだ。トランプ次期政権はEV支援を削減し、中国からの自動車および部品の輸入阻止を準備をしていると言われている。  

      それでも日産は苦戦を強いられている。数十億ドル規模の社債は約1年で償還期限を迎える。ホンダと同じく、移ろいやすい中国市場への過度な依存は危険であることに気づいている。日産には選択肢も協力者も不足している。日産とルノーの提携は、当初から双方にとって不都合なものであり、それをまとめていたのはゴーン氏の強烈な個性だった。  

      独立志向の強いホンダが正しい選択だろうか。 日産、ホンダ統合協議のニュースが最初に伝えられた後、台湾の鴻海精密工業が日産の経営権取得を模索していたことが報じられた。興味深い選択だが、かつて日産のナンバー3だった関潤氏が鴻海でEV事業の最高戦略責任者であることを考慮すると納得がいく。しかし大きな野望を抱きながらも自動車業界の経験が浅い鴻海では、ルノーと大差はないかもしれない。鴻海が取得したシャープはここ2年間で巨額の損失を計上し、テレビ用パネルの生産から撤退することになった。

      マツダやスズキなど、残る国産メーカーはいずれもトヨタと結びついており、日産には選択肢がほとんどない。日産が筆頭株主の三菱自動車もいずれは今回の統合に加わることになると思われる。

      つまり、日産とホンダの統合が実現すれば、日本の自動車業界は二大陣営に集約されることになる。この取引が歓迎されるべき根拠の一つだ。

      理想とは程遠いものになるのは間違いないだろう。より大規模なホンダと日産が対等の立場を与えられるような面子を保てる統合になるのか、懐疑的になるのは当然だ。規模の異なる企業が尊厳を保つ形で提携することは、長年にわたり日本の企業合併・買収(M&A)では一般的だったが、すぐに主導権争いにつながった。

      このほかにも今回の統合案が弱者の立場から進められ、鴻海による買収を回避すべく焦って進められている可能性があることも懸念材料だ。日本政府当局者が5年前、両社に最初に合併案を持ちかけた際に動いていたら状況はもっと良好だっただろう。

      日産とホンダは部品などでのシナジー効果はあまり期待できない。しかし、両社に選択の余地はあまり残されていない。小規模メーカーが淘汰される時代にあって、統合が実現すれば販売台数世界3位の自動車メーカーになることでの恩恵も受けられるだろう。ゴーン氏失脚後の権力の空白と幹部人事の混乱を経てきた日産はとりわけ、ホンダの安定した経営から恩恵を受ける可能性がある。また日産は、ホンダがソニーグループと提携して立ち上げたEV事業にも参画できるかもしれない。

      結局のところ、自動車を選ぶ時と同じで、完璧な答えなど存在しない。ニーズに合った最適な答えを選ぶしかないのだ。

    (リーディー・ガロウド氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、日本と韓国、北朝鮮を担当しています。以前は北アジアのブレーキングニュースチームを率い、東京支局の副支局長でした。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

    原題:A Honda-Nissan Merger Is a Slow-Moving Savior: Gearoid Reidy(抜粋)

      This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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