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ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事をはじめとする3人の当局者は2日、米金融当局が来年にかけて利下げを継続するとの見通しを明らかにした。ただ今月の追加利下げを確約するまでには至らなかった。
ウォラー理事は、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での追加利下げ支持に自身は傾いていると述べた。ただ、それ以前に発表されるデータ次第では金利据え置きの論拠となる可能性があると指摘した。
同氏は「現時点で12月会合での政策金利引き下げを支持する方向に傾いている」とした上で、「ただ、会合までに得られるデータが予想外に上振れして、私のインフレ予測が変わるかどうかに判断は左右される」と説明した。ワシントンで開かれた米国経済研究所(AIER)主催の米金融政策枠組み見直しに関する会議の講演テキストで明らかになった。
ウォラー氏は直近のデータを受けてインフレ率が目標の2%を上回る水準で停滞するのではないかとの懸念が生じているが、主要サービス分野の物価が横ばいないし上昇する「兆候は見られない」とも述べた。
その上で、「政策は引き続き極めて景気抑制的であり、追加利下げを行ってもブレーキペダルの踏み込みを弱めるに過ぎないことを裏付ける強力な証拠がある」とし、「労働市場がようやく均衡状態に至ったと見受けられる点も追加利下げを支持する一因だ。われわれはこの状態を維持すべきだ」と語った。
NY連銀総裁らも発言
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁とアトランタ連銀のボスティック総裁の発言はわずかに異なる程度だった。両氏とも、経済は引き続き堅調とみられ、インフレ率は目標に向かって引き続き低下する可能性が高いとし、追加利下げが正当化されるとコメント。ただ12月の利下げを支持するかどうかについては明言を避けた。
ウィリアムズ氏は、ニューヨークのクイーンズ商工会議所でのイベントで「政策の道筋はデータ次第になる。過去5年間に学んだことがあるとすれば、見通しは依然として極めて不透明だということだ」と話した。
講演後の質疑応答では、ウィリアムズ氏は金利はより正常な水準まで低下すると予想しているが、その水準がどこになるのかはまだ分からないと指摘。また、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降、インフレ環境は変化しており、多くの小売業者は価格上昇を消費者に転嫁することが一段と難しくなっていると述べた。
イベント終了後には記者団に対し、12月会合までには多くのデータが発表される予定で、金利を巡る判断にはデータの「全体像」を考慮すると発言。インフレ率が当局目標に近づくにつれ、政策は「幾分」景気抑制的であることが適切としながらも、経済が予想通り推移すれば、金融当局は緩和すべきだとの見方を示した。
一方、ボスティック氏は記者団との電話会見で、17、18両日のFOMC会合で利下げを支持するかどうかについて、「引き続き選択肢をオープンにしている」と語った。
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政策枠組み見直し
ウォラー氏は来年1月に始まる次の金融政策枠組み見直しについて短く発言。インフレ率が低過ぎる期間を埋め合わせるために、2%の当局目標よりやや高めにすることを志向した柔軟性のある平均インフレ目標という現在の戦略について、後ろ向きだと指摘した。
低インフレの問題が続くと考えて枠組みを設計したが、インフレ率が上昇して「1年もたたないうちに全てが吹き飛んでしまった」とし、「金融政策戦略は、経済状況がどうであれ、頑強であるべきだ」と強調。また、柔軟性のある平均インフレ目標は直感的でなく、国民にとっても明確でないと批判した。
米金融当局は9月と11月の会合で利下げを実施したものの、最近のデータがサービスインフレの下げ止まりを示したことから、金利先物市場は12月について利下げ停止の可能性を織り込み始めている。10月の米個人消費支出(PCE)価格指数のうち、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比2.8%上昇に加速した。
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当局は金融政策が「景気抑制的」だとしているものの、7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率2.8%増と底堅いペースで拡大した。個人消費と企業の設備投資も堅調に推移している。
パウエルFRB議長は労働市場の悪化リスクを注視しているが、ストライキや悪天候の影響で労働市場データの正確な判断は難しくなっている。11月の米雇用統計は6日に発表の予定。
原題:Fed Officials Keep Options Open for December Rate Decision、Fed’s Williams Says More Rate Cuts Likely Needed ‘Over Time’(抜粋)