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リベラル派の牙城であるサンフランシスコでさえ、米国の右傾化の波に飲み込まれた。
サンフランシスコは保守派の格好の標的となっている。カリフォルニア州務長官のデータによると、5日の米大統領選で、同市の有権者の15%強がドナルド・トランプ氏に投票。共和党の大統領候補としては過去20年間で最高の得票率となった。2016年の初出馬の際は9.3%だった。
この結果は全国的な傾向を反映しているものの、サンフランシスコでは特に大きな意味を持つ。同市では共和党員として登録している有権者が7%にとどまっている上に、民主党候補のハリス副大統領がかつてカリフォルニア州司法長官を務めていたからだ。
今や地元の共和党支持者はこの勢いに乗り、これまで同市に見切りをつけていた富裕層の献金者を取り戻すことができると期待している。
より穏健な都市を目指す共和党系の団体、サンフランシスコ・ブリオネス・ソサエティーの共同創設者、ジェイ・ドンデ氏は「現在、共和党はサンフランシスコでは成功できないという自己実現的な予言があり、だからわざわざ同党を支援する必要はないという考え方がある」とした上で、「これは成功を収められる共和党候補にはチャンスがあることを示している」と述べた。
ただ、サンフランシスコは依然としてリベラル派の牙城であり、すぐに共和党支配に変わる可能性は低い。しかし、ホームレスの問題や路上犯罪、記録的なオフィス空室率といった難題に見舞われる中、今回の選挙結果は、全米で広がる現状への不満を反映する形となった。
大統領選と同時に行われたサンフランシスコ市長選では、リーバイ・ストラウス創業家の相続人で非営利団体(NPO)の幹部を務めるダニエル・ルーリー氏が民主党穏健派の候補として出馬。全く政治経験がないにもかかわらず、現職のブリード市長を破った。ルーリー氏は、就任初日に合成麻薬「フェンタニル」まん延に対する緊急事態宣言を発令する計画だと表明している。
カリフォルニア州全体では40%近くがトランプ氏に投票し、ハリス氏は民主党候補としては過去20年間で最低の得票率を記録した。同州の動向は、2026年の州知事選にも影響を及ぼす可能性がある。現職のニューサム知事が任期満了を迎えるため、既に複数の知名度の高い人物が共和党からの出馬を検討している。
サンフランシスコの共和党系有力弁護士でトランプ陣営と緊密に連携したハーミート・ディロン氏は「リベラル派は強盗に遭ったりすることで、より保守的になっている。これはごく人間的な現象だ」と指摘。「人々はうんざりしているのだと思う。納税者の愛想が尽きたことで、ここではより穏健派的な動きが見られる」と述べた。
(ブルームバーグ・ニュースの親会社ブルームバーグ・エル・ピーの創業者で、過半数株式を保有するマイケル・ブルームバーグ氏は、ブリード氏の再選キャンペーンを支援するため145万ドルを寄付しています)
原題:Drugs and Crime Nudge Even Liberal San Francisco to the Right(抜粋)