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    ウォール街、トランプ氏勝利に16年と同じ熱狂-株式市場の現実は24年

    • 24年の市場環境は16年と大きく異なる、バリュエーションは高騰
    • インフレや政策への懸念にもかかわらず投資家は市場の先行きを楽観
    A trader wearing a Trump hat 

    A trader wearing a Trump hat 

    Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

    先週のウォール街は既視感に覆われた。ドナルド・トランプ氏の大統領再選は米株式市場を、8年前の勝利後と同じように揺さぶった。小型株は急上昇し、銀行株は急伸、S&P500種株価指数は米選挙日として史上最高のパフォーマンスを記録し週間ベースでは1年ぶりの大幅上昇となった。

      しかし、今は2016年ではなく24年だ。状況は大きく変わっている。

      「マーク・トウェインがかつて言ったように、『歴史は繰り返さないが、しばしば韻を踏む』。だから、投資家は古いプレーブックを覚えておくべきだが、暗記すべきではない」と、ミラー・タバックのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏が述べた。

      トランプ氏が大統領選に出馬した16年初頭、米国株は不安定な足取りで、S&P500種は1月には5%を超える下落を記録し金融危機以来最悪の年明けとなっていた。9.5%上昇で年を終えたが15年は下落だった。

      トランプ氏の大統領就任時、同指数の予想株価収益率は17倍で、10年物米国債利回りは2.5%、フェデラルファンド(FF)金利は0.75%だった。

      8年後の現在、状況は大きく変わっている。株式のバリュエーションは急上昇。S&P500種は最高値を更新し、過去2年で56%上昇した結果、一時的に史上初めて6000を突破した。ハイテク株の比重が高いナスダック100指数も、23年の年初以降でほぼ2倍となり、過去最高値を更新している。

      S&P500種は予想利益の23倍で取引されており、これは2000年以降の平均を40%上回る水準だ。10年物米国債の利回りは4.3%で、フェデラル・ファンド金利は4.75%。

      つまり、米株市場はトランプ大統領の就任時には大きく上昇する準備ができていた。しかし、今回は株価がピークに達しているか、あるいはそれに近い状態にあるように見え、これ以上の上昇余地はあまりないかもしれない。

    S&P 500 Valuations Soar
     
     

      カタリスト・ファンズの共同創業者で最高投資責任者(CIO)のデービッド・ミラー氏は「金利が大幅に上昇し、金利の上昇に伴って株式相場も大幅に上昇する、というようなことは、インフレも同時に進行している場合を除いてはあり得ないが、これが今まさに起こっていることだと思う」と語った。

      トランプ氏の勝利に対するトレーダーの反応の前提は、減税と規制緩和という同氏の公約が株式を新たな高みへと押し上げ続けるという考えだ。しかし、その反対側には、次期大統領の保護貿易主義的な通商政策や不法移民労働者の大量強制送還計画がインフレを招き、成長を脅かす可能性があるという見方がある。

      「トランプ氏の勝利は、関税政策と移民政策により、インフレ圧力を高める可能性が高い」と、オスカー・ムニョス氏とジェナディー・ゴールドバーグ氏を含むTDセキュリティーズのストラテジストは8日のリポートで指摘した。

      ウォール街の予測担当者が米連邦準備制度理事会(FRB)の7日にの利下げ後に最終的な利下げ幅予測を下方修正している理由が、これで説明できる。

      TDセキュリティーズは、FRBが25年前半に利下げを一時停止し、トランプ氏の経済政策の影響を評価するだろうと予測している。ゴールドマン・サックス・グループは、5月と6月の利下げを予想していたが、現在は6月と9月に変更し、より緩やかなペースを見込んでいる。バークレイズのエコノミストは25年の利下げ回数予想を3回から2回に減らした。

      BMOファミリー・オフィスのキャロル・シュレイフCIOは「債券市場が、トランプ氏の政策が実施されるかどうかを左右することになるだろう」と述べた。

    Bond Market Looks Different for Trump This Time | The 10-year Treasury yield was markedly lower in his first presidency
     
     

      株式市場では、16年と24年の違いは選挙前から明らかにだった。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のチーフ株式ストラテジストであるジーナ・マーティン・アダムス氏によると、10月には米国株がその他の国の株式をアウトパフォームしたが、これは選挙の年としては珍しいことだという。

      投票後は、バリュー株への傾倒は16年ほど強くない。16年には、ラッセル1000グロース指数が選挙日後の3営業日にほぼ横ばいだったのに対し、ラッセル1000バリュー指数は急上昇した。今回はその逆で、グロース指数がバリュー指数を大きくアウトパフォームした。

      セクター別に見ると、選挙から週末までで下落したグループは一つもない。16年には、11のセクターのうち5つが11月9日(水)から週末にかけて下落した。

    relates to ウォール街、トランプ氏勝利に16年と同じ熱狂-株式市場の現実は24年
     
    Source: Bloomberg

      16年と24年では状況が大きく異なるが、一つだけ変わらないことがある。それは株式市場の投資家たちがトランプ大統領就任に熱狂していることだ。

      バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストとEPFRグローバルのデータによると、大統領選でトランプ氏が勝利宣言をした翌日の6日には、なんと200億ドル(約3兆円)もの資金が米国株ファンドに流入し、過去5カ月で最大の1日当たり流入額となった。

      これまでのところ、米国債利回りは上昇し、インフレ加速のリスクは依然として深刻な状況にあるものの、ウォール街の専門家たちはトランプ氏の政策が米企業をさらなる成長へと押し上げるという楽観的な見方から、株価は上昇を続けるとみている。

      カタリスト・ファンズのミラー氏は「インフレ率と金利が上昇し、株価も上昇するだろう。人々がインフレを容認するつもりなら、株価もそれに伴って上昇するだろう」と述べた。

    原題:Wall Street Turns to 2016, While Stock Market Has to Live in ‘24(抜粋)

     

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