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電気自動車(EV)メーカーの米テスラは24日の米国株式市場を、約11年ぶりの大幅上昇となる22%高で終えた。23日発表した7-9月(第3四半期)決算が予想以上に強く、同社は来年の納車台数が最大30%増えるとの見通しを示した。
7-9月期の利益を押し上げたのは、初めて黒字化した電動ピックアップトラック「サイバートラック」の販売や、エネルギー貯蔵事業、排出ガス規制の順守を目指す他の自動車メーカーへの規制クレジット販売だった。だが株価は将来への期待感からも追い風を受けた。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はこの日の電話会見の大部分を、テスラを世界で最も価値のある企業にすると約束する長広舌に費やし、手始めに来年の納車台数を20-30%増やすと表明した。
また、今年の設備投資額の見通しを110億ドル(約1兆6700億円)以上とし、従来の100億ドル以上から引き上げた。
過度に楽観的な予定を立てがちなことで知られるマスク氏は、テスラが来年、テキサス州とカリフォルニア州で配車サービスの正式展開を目指すことも明らかにした。公道での走行には規制当局の承認が必要だが、マスク氏の発言を受けてライバル企業のウーバー・テクノロジーズとリフトの株価は下落した。
マスク氏はまた、「サイバーキャブ」と呼ぶロボタクシー(無人タクシー)専用車の生産が2026年に本格的な量産体制に入り、少なくとも200万台、「最終的にはおそらく400万台」を目指す方針も示した。
ディープウォーター・アセット・マネジメントのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は、決算発表に期待していた投資家が「予想を上回る利益と納車台数の伸び見通しを得られた」と述べ、「長期投資家は黄金のニンジンを手に入れた」と指摘した。
マスク氏はさらに、テスラが来年、手頃な価格のモデルを発売する方向だと述べたが、トヨタ自動車の「カローラ」のような大衆車と競合するEVを投入するという一部投資家の長年の期待を打ち消した。代わりにテスラは価格が3万ドル前後からとなるサイバーキャブに重点を置いていると述べ、通常の2万5000ドルのEVは「無意味」だと語った。
電話会見でマスク氏は、トランプ前大統領がホワイトハウスに返り咲き自身が政権で職を得た場合の行動についても触れた。マスク氏はトランプ氏の名前には言及しなかったものの、「政府効率化省」の役割について述べ、トップに任命された場合は、自動運転車について現在存在する州ごとの規制の寄せ集めではなく、連邦政府による承認の道筋をつくると述べた。
「若干増加」
同社は発表文で、「24年の納車台数は若干の増加を見込む」とし、堅調だった7-9月期に続いて10-12月(第4四半期)も好調な納車台数を予想していることを示唆した。ただ、今年前半の納車台数鈍化を考えると、達成は容易ではなさそうだ。23年の水準を上回るか同等の水準に達するには10-12月期に大幅な販売増が必要になる。
調整後1株利益はアナリスト予想平均を上回る72セントで、4四半期連続で市場予想を下回っていた状況に歯止めがかかった。また、7-9月期の自動車事業の粗利益率は、規制クレジットを除いたベースで17.1%となり、前四半期の14.6%から大幅に上昇した。
今回の増益について同社は納入台数の増加に加え、他の自動車メーカーへの規制クレジットの販売が好調だったことを要因に挙げた。7-9月期の規制クレジット売却収入は7億3900万ドルとなり、同期間としては過去最高を記録した。ただ、4-6月(第2四半期)の8億9000万ドルには及ばなかった。
同社はまた、サイバーキャブについての詳細にも言及。ペダルやハンドルなどの操作系装置のないサイバーキャブには、従来の生産ラインとは異なる新しい「アンボックスト」と呼ばれる製造技術を採用するとした。
原題:Tesla Delivers Blowout Quarter and Upbeat Outlook for 2025 (2) (抜粋)
Tesla Soars to Best Day in 11 Years After a Blowout Quarter(抜粋)