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全国の物価の先行指標となる7月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比3.0%上昇となり、前月の3.2%上昇から伸び率が縮小した。エネルギー価格の下落幅の拡大が押し下げに寄与した。総務省が28日発表した。
市場予想は2.9%上昇だった。電気代は16.7%減、都市ガス代は9.1%減と前月から下落幅が拡大した。一方、価格転嫁が続く中で生鮮食品を除く食料は9.0%上昇と、前月から小幅に伸びが拡大。宿泊料や携帯電話通信料もプラス方向に寄与した。
エネルギーも除いたコアコアCPIは4.0%上昇と前月の3.8%上昇から伸びが拡大した。4%台は1982年4月(4.2%)以来、41年3カ月ぶりの高水準。市場予想では3.7%上昇への伸び鈍化が見込まれていた。
市場は日本銀行が28日の金融政策決定会合後に公表するコアCPIの新たな見通しに注目している。足元は日銀の想定を上回っており、2023年度の前年度比上昇率は従来の1.8%から2.5%程度へ大幅に上方修正される見込みだ。24、25年度は大きく変わらず、会合では緩和継続が決まる公算が大きいが、強めの物価動向を受けて市場では政策修正への思惑が強まっている。
住友生命保険の武藤弘明エコノミストは、「東京都区部の数字は上振れ気味だったが、基本的にインフレは世界的に鈍化方向で、日本だけ上がっていくということはない」と分析。足元の上昇はコストプッシュで押し上げられている面が強く、日銀は「まだ本当の意味でディスインフレ傾向から脱却したとはみていないだろう」と語った。
東京CPI発表後、債券市場では長期金利が一時0.505%に上昇。日銀のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の許容上限である0.5%を上回るのは、3月3日以来。外国為替市場では円が対ドルで一時1ドル=138円71銭まで強含んだ。
日本経済新聞は先に、日銀が28日に開く金融政策決定会合でYCC政策の修正案を議論すると報道。長期金利の許容上限は据え置くものの、市場動向に応じて0.5%を一定程度超えることも容認する案が浮上していると伝えていた。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田隼平副主任研究員は、CPIが安定して目標の2%を超える中、実体経済も徐々に持ち直しているとの認識を示した。その上で、「変動許容幅を上げて、それで長期金利が上昇しても、経済が耐えられるようになってきたのではないかという判断につながる可能性はある」との見方を示した。
植田和男日銀総裁は16日、金融政策における最大の決定要素の一つとして、依然として粘着的なコアインフレ率の今後の推移を挙げた上で、「それに伴って中央銀行がどういう対応を取るかという点が一番大きい」と述べていた。
総務省によれば、政府による電気・ガス価格激変緩和対策事業と全国旅行支援のコアCPIへの影響は合わせてマイナス1.0ポイント。政策効果がなければ、コアCPIは4.0%上昇となるとしている。
詳細(総務省の説明)
- エネルギーが前年比で下落幅を拡大したのは燃料費調整単価の引き下げを受けたもの
- 生鮮食品除く食料は1976年5月(9.1%上昇)以来、47年2カ月ぶりの高水準。原材料価格の上昇を背景にプリンなどの値上げが影響
- 前月から最も大きくプラスに寄与した宿泊料は、全国旅行支援を終了した自治体が増えたため
- 携帯電話通信料のプラス幅拡大は一部の事業者で新たな料金プランが導入されたことによるもの
- サービスの1.9%上昇は消費税率引き上げの影響を除いて94年3月(2.0%上昇)以来、29年4カ月ぶりの高水準。宿泊料と通信料の影響が中心
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