アップル、ブロードコム製チップを自社製に切り替えへ－関係者

米アップルは2025年にブロードコム製の主要なチップから自社製に切り替える見通しであることが、事情に詳しい複数の関係者の話で明らかになった。製品に搭載するチップを自社製に置き換える取り組みの一環。

　　アップルはまた、24年末までか25年の早い時期までに、自社製のセルラーモデムチップを準備し、クアルコム製から切り替えることも目指している。関係者は部外秘情報だとして匿名を条件に話した。アップルは早ければ今年、クアルコム製部品を自社製に置き換えると予想されていたが、開発上の問題で先送りされていた。

　　ブロードコムにとってアップルは最大の顧客で、前会計年度の売り上げのうち、同社向けは約70億ドル（約9230億円）と約20％を占めた。また、クアルコムは年間売上高の22％に相当する100億ドル近くをアップルから得ていたが、アップルへの売り上げ依存度が低下すると数年にわたり警告していた。

　　ブロードコムの株価はこのニュースを受けて一時4.7％下落。その後やや持ち直し終値は２％安の576.89ドル。クアルコムの株価は一時1.6％下落した。終値は0.6％安の114.61ドル。アップルは0.4％高の130.15ドル。

 　　アップルのこうした動きは、同社への部品供給で多額の売り上げを計上している半導体業界にさらに大きな影響を与えそうだ。既にアップルはパソコン「Mac」に搭載するプロセッサーの大半をインテル製から自社製の「アップルシリコン」に移行している。

　　ブロードコムはアップル製品のWi-Fiとブルートゥース機能を操作する複合部品を製造しており、決算発表時の電話会見ではアップルを「北米の大手顧客」と呼んでいた。

　　関係者によると、アップルは、こうしたチップの代替品を開発中で、25年から自社のデバイスに搭載し始めたい考え。さらに、セルラーモデムとWi-Fi、ブルートゥースの機能を一つにまとめたフォローアップ版にも取り組んでいる。

　　アップルの担当者はコメントを控えた。ブロードコムとクアルコムのコメントはすぐには得られなかった。

　　ブロードコムは無線用チップやワイヤレス充電用のチップなどの部品については引き続きアップルに供給する。ただ、これらの部品もアップルはカスタマイズに取り組んでいる。ブロードコムのホック・タン最高経営責任者（ＣＥＯ）は先月の電話会見で、同社がアップルでの足掛かりを維持するとの自信を示していた。

原題：Apple Plans to Drop Key Broadcom Chip to Use In-House Design (2) (抜粋)