ツイッター440億ドルで買収完了､マスク氏がＣＥＯ就任へ－関係者

資産家のイーロン・マスク氏は、440億ドル（約６兆4400億円）での米ツイッター買収を完了した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。買収計画をいったん撤回したマスク氏と、合意履行を求めるツイッターとの法廷闘争に発展していたが、両者の対立は決着する。

　　株主は１株当たり54.20ドルを受け取り、ツイッターは非公開化される。

　　マスク氏は、ツイッター買収完了時に他の主要幹部らと共に会社を去るパラグ・アグラワル氏に代わり、最高経営責任者（ＣＥＯ）を暫定的に引き継ぐ方針だが、より長期的にはポストを他に譲る可能性がある。内々の協議であることを理由に関係者が匿名を条件に語った。米電気自動車（ＥＶ）メーカー、テスラと宇宙企業スペースＸのＣＥＯに加え、ツイッターのトップも兼務する。

　　マスク氏は今月４日、当初提示した条件で買収計画を進めることに同意。ツイッターが提起した訴訟を担当するデラウェア州の衡平法裁判所の判事は28日までに双方が取引をまとめられるよう裁判の停止を決定していた。

　　マスク氏が最初に行うツイッター改革の一つが経営陣刷新となる。事情に詳しい複数の関係者によると、アグラワルＣＥＯとビジャヤ・ガッデ最高法務責任者（ＣＬＯ）、ネッド・シーガル最高財務責任者（ＣＦＯ）、ショーン・エジェット法務顧問が退職する。

　　マスク氏のツイッター改革案が同社のこれまでの慣行と相反していることもあり、買収完了直後から同社事業は混乱を来す見通しだ。マスク氏はソーシャルネットワーク上で「言論の自由」を確保する意向を示してきたが、これは投稿コンテンツのチェック基準緩和につながる公算が大きい。

　　ツイッターは規則違反を理由にトランプ前米大統領ら著名人のアカウントを停止しているが、マスク氏はその一部復活を計画している。ツイッター上でのいじめや誹謗（ひぼう）中傷を減らす同社の長年の取り組みが無に帰する恐れもある。関係者によると、ユーザーの永久停止をマスク氏は廃止したい意向だ。

　　ツイッター従業員は４月に買収が提案されて以降、レイオフの対象にされるのではないかとの危機感を抱いてきた。マスク氏は最初に買収資金調達を試みた際、銀行団に対し、コスト削減を進める考えを示した。スタッフの75％を削減する計画も伝えられていたが、マスク氏は26日にツイッター本社を訪れた際、そうした計画はないと従業員に伝えた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

　　マスク氏はツイッターの広告収入を補うため、サブスクリプション・プロダクトを構築する可能性について言及してきたものの、どのようなプロダクトや機能に追加料金が課されるかについては不透明だ。ツイッターが既に提供している有料サブスクサービス「ツイッター・ブルー」についてはマスク氏は酷評している。

原題：Musk Is Said to Take Twitter CEO Role, Reverse Life Bans (1)､Musk Completes $44 Billion Twitter Deal, Ending Months of Enmity、Musk Closes $44 Billion Twitter Deal, Ending Monthslong Saga (1)（抜粋）