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韓国のメッセージアプリ大手カカオの日本法人で、漫画アプリの「ピッコマ」を手掛けるカカオピッコマ(東京都港区、金在龍社長)が2023年上期(1-6月期)にも新規株式公開(IPO)を行う考えであることが複数の関係者への取材で分かった。
関係者らによると、カカオピッコマの上場先は東京証券取引所で、時価総額は8000億円以上を想定しているという。IPOは早ければ1-6月期になる見通しで、野村ホールディングスが引き受け主幹事の1社だという。株式市場の環境によって上場時期は前後する可能性がある。
「ピッコマ」は、販売金額でLINEマンガと国内トップを争っている。ダウンロードすると、試し読みや幾つかのエピソードを無料で読むことができ、累計で4000万部を突破した「東京リベンジャーズ」や「静かなるドン」、「にぶんのいち夫婦」などの人気作品も楽しめる。
全国出版協会・出版科学研究所によると、21年の紙と電子を合わせたコミック市場は前年比10%増の6759億円と2年連続で過去最高を更新した。中でも電子コミックは20%増え、初めて4000億円を突破した。
一方、メディア事業などを手掛けるインプレスホールディングス傘下のインプレス総合研究所によると、21年度の漫画アプリ広告市場は前年度比横ばいの260億円で、22年度は270億円と微増の見通し。新型コロナウイルスの感染拡大による広告単価の下落や海賊版サイト、個人情報保護強化の影響が出ているという。
カカオピッコマの21年の年間累計販売金額は694億円と前年の376億円から大きく拡大し、その後も四半期ベースの伸びは前年同期を上回って推移する。21年12月期の純利益は48億円だった。
韓国のカカオが展開するメッセージアプリ「カカオトーク」は同国内トップで、カカオの時価総額は19日時点で約34兆ウォン(約3兆5000億円)となっている。カカオピッコマは11年に設立され、21年11月に従来のカカオジャパンから社名変更した。現在の社員数は261人、累計ダウンロード数は3500万超。
同社は21年6月、香港・韓国に拠点を置く投資ファンドから約600億円の出資を受け、同12月には東証への上場に向けた準備を開始すると発表した。関係者らによると、資金調達を実施した当時の企業価値は8000億円を超えていて今年12月のIPOを計画していたが、市場環境の悪化で企業価値が過小評価されることを避け、先送りしたという。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員はピッコマの8000億円規模の企業価値評価について、「当時は成長魅力があるということで高いバリュエーションがついたと思うが、今後は難しいだろう」と市場環境の変化を指摘、「利益があまり出ていない会社が、大きなバリュエーションを付けることはなかなか難しい」と語った。
カカオピッコマの広報担当者はIPOの詳細について、コメントを控えるとしている。