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トヨタ自動車の株主であるデンマークの大手年金基金は、トヨタによる気候変動関連のロビー活動について同社の価値あるブランドを危機にさらす「深刻な懸念」を表明し、15日に開催される株主総会に質問状を送ったことを明らかにした。
190億ドル(約2兆5000億円)超の資産を運用するアカデミカーペンションは発表で、トヨタがロビー活動によって内燃機関車の廃止と完全な電気自動車(EV)の導入に向けた各国政府による取り組みを弱めようとしているように見えるとした。
その上で、トヨタの発表内容やロビー活動と地球温暖化対策の国際合意「パリ協定」の目標との整合性、環境政策のロビー活動などによるレピュテーショナル(評判)・リスク削減に向けた措置、輸送の完全電化への移行を妨げる声明やロビー活動を控えることの約束の3つについて質問状を送ったことを明らかにした。
アカデミカーペンションの発表によると、トヨタは同基金が今回の株主総会のため提出した株主提案を期限に遅れたとして拒否。これを受けて、アカデミカーペンションは質問状を送付した。
トヨタ広報担当の橋本史織氏は、同社の渉外活動への基本的な考え方の根底には「社会に貢献したい」という思いがあるとした。その上で、2050年カーボンニュートラル実現に向け、電動車を世界的に広めていくためには各国政府と政策が果たす役割は大きく、同社は各国の政策、技術の進化、社会や消費者のニーズが最大限同じ方向を向くよう努力していると説明した。
橋本氏はさらに地域ごとの二酸化炭素排出低減に向け、トヨタは「現地社会や公共政策に貢献していくとともに、各国の経済団体・業界団体での活動を通じて政策提言策定などにも関与・貢献」していくと述べた。アカデミカーペンションの質問状についてはコメントを控えるとした。
株主総会で出されるESG(環境・社会・ガバナンス)関連の質問や株主提案は増加傾向にある。国内でも5月に石炭火力国内最大手の電源開発(Jパワー)に対して脱炭素戦略の強化を求める株主提案が出されるなど、ESGを重視する投資家からの圧力が高まる中、企業には取り組みの強化が求められている。
欧米勢に比べEVの取り組みが不十分とみられがちなトヨタでは、昨年の株主総会でも同社の電動化の取り組みに多くの質問が寄せられ、会社側はハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)も開発する同社の「全方位戦略」に対し株主の理解を求めた。
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