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トヨタ自動車は車載用電池の再利用に向けた取り組みを拡大する。ハイブリッド車や電気自動車(EV)など電動車の販売拡大に伴って今後増加すると予想される使用済み電池を電力の需給調整などに二次利用する仕組みを構築し、資源の有効活用や車のコスト低減につなげる。
トヨタは東京電力ホールディングスと中部電力の火力発電事業の共同出資会社JERA(ジェラ)と共同で、ニッケル水素電池を使った2年にわたる蓄電池システムの実証実験を3月末までに終えた。2020年度からはリチウムイオン電池の試験に取り組んでおり、その後にニッケル水素電池とリチウムイオン電池などを組み合わせた大規模な実証試験を行うことも計画している。
両電池ともトヨタのハイブリッド車に採用されている。計画については両社の担当者がインタビューで明らかにした。
ブルームバーグNEF(BNEF)によると、昨年末時点で世界で利用されているEVは700万台で、全体のわずか0.6%にすぎない。しかし、世界各国の環境規制の強化や車載用電池価格の低下に伴ってEV市場の急成長が見込まれており、BNEFはEVが40年までに乗用車全体の58%に達すると見込む。
トヨタのバッテリー事業グループ主幹の木村健治氏は、車載用電池が「役割を終えるのが仮に10年とすると、10年遅れでしかるべきの量の電池が回収される」と指摘。木村氏はトヨタの今後の電池回収量の見通しについてはコメントを控えたが、寿命を10年と想定すると、トヨタが11年度に世界で販売した約63万台分の電動車の電池が来年度に回収されることになる。
木村氏は、回収時の電池は初期性能の7-8割程度まで劣化しているため車向けとしての利用は難しいが、電力網の需給調整など別の用途での使用が可能で、「そのまま資源にするのはもったいない」というのが事業の出発点だったと振り返った。その上で、再利用が事業として成立すれば「最終的には顧客が電動車を買う際のコストに直接、間接的に戻ってくる」との見方を示した。
一方、ジェラの尾崎亮一技術戦略ユニット長は、日本が輸入に依存するコバルトやニッケルといった希少金属(レアメタル)を使用する電池が「国内で循環する仕組みの一部を作る」ことで、再利用は金属資源調達の安定化にも寄与すると述べた。また電池には天候によって出力が影響を受ける太陽光や風力発電を補完し、電力網を安定化させる役割も期待されているという。
15年の会社設立以降、ジェラは親会社の東電と中部電の燃料・火力発電事業を段階的に承継してきた。しかし、同社は世界的な脱炭素化に向けた流れの中で、蓄電池を含む再生可能エネルギーを今後のコア事業の一つと位置付けている。昨年、再生可能エネルギーの発電容量目標を引き上げ、25年度までに500万キロワットにするとした。現在、同社は110万キロワットを保有している。