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政府は24日発表した5月の月例経済報告で、日本経済の総括判断を2カ月ぶりに下方修正した。総括判断が下方修正されたことで、予想を上回る2019年1-3月期の実質国内総生産(GDP、速報値)プラス成長でいったん下火となった消費増税延期を巡る議論が再燃する可能性がある。
国内景気の総括判断は、中国経済の減速などの影響を受けて、「このところ輸出や生産の一部に弱さも見られる」から「輸出や生産の弱さが続いている」に下方変更したものの、「緩やかに回復している」との文言は残した。
安倍晋三首相や麻生太郎財務相らはリーマンショック級の出来事が起こらない限り、予定通り10月に消費増税に踏み切る方針を繰り返し表明している。米中貿易摩擦の激化や中国経済減速の影響を受け、複数の景気指標に減速傾向が見られるため、政府の景気判断に注目が集まっていた。
今月発表された3月の景気動向指数では、一致指数の基調判断が景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」に引き下げられた。過去、同判断が悪化に転じた時に、政府の景気判断が「回復」に維持されたことはなかった。1-3月期実質GDPは小幅のマイナス成長の市場予想に反して前期比年率2.1%増となったものの、個人消費や設備投資はマイナスで、民需の弱さを背景とした輸入の減少が成長率を押し上げた。
今回の月例経済報告では、設備投資を32カ月ぶりに「増加している」から「このところ機械投資に弱さも見られるが、緩やかな増加傾向にある」に引き下げたほか、生産も「一部に弱さがみられ、おおむね横ばいとなっている」から「このところ弱含んでいる」へと2カ月ぶりに下方修正した。
先行きについては「当面弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待される」との認識を継続する一方、通商問題の動向について、世界経済に与える影響に「一層注意する」と警戒レベル引き上げた。米中貿易摩擦のあおりを受け、輸出は「弱含んでいる」との判断を5カ月連続で据え置いた。
減速傾向が見られる輸出のGDPに占める割合は18%、今回判断が引き下げられた設備投資は同16%と、同56%を占める個人消費に比べると割合は小さい。個人消費は「持ち直している」との判断を17カ月連続で維持しており、雇用・所得環境の改善や高水準の企業収益を背景に、内需中心の緩やかな景気回復が続くとしている。
公共投資は「弱含んでいる」から「このところ底堅い動きとなっている」に21カ月ぶりに上方修正された。
政府は1月の月例報告時に、第2次安倍内閣が発足した12年12月からの景気拡大局面が1月で74カ月と「戦後最長になった可能性がある」との認識を示し、その後も維持してきた。景気の山と谷は専門家で構成する内閣府の景気動向指数研究会の議論を基に決定され、通常は判定に1年以上を要する。
月例経済報告に関する関係閣僚会議後に会見した茂木敏充経済再生相は、「米中貿易協議の見通しや世界経済への影響には注意が必要」としながらも、「内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしている」との従来の認識を繰り返し、「政府として現時点として景気回復が途切れたとは考えていない」と述べた。その上で、消費増税は予定通り10月で変わりはないかとの質問に「ありません」と答えた。