5時間睡眠が最低限 それ以下だと疾患リスクが相対的に増加=研究
ミシェル・ロバーツ、デジタル保健編集長

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1日に少なくとも5時間の睡眠をとることで、50代以上の人は複数の慢性的な健康問題を抱える可能性を減らせるかもしれない――。そんな研究結果が発表された。
健康状態が悪いと睡眠が妨げられることがあるが、睡眠不足は病の前兆あるいはリスクそのものである可能性があると、研究者たちは指摘している。
睡眠が心身の回復や休息、若返りに役立つことを示す証拠はあるものの、この「黄金の睡眠時間」がなぜ重要なのかはまだわかっていない。
医学サイト「PLOS Medicine」に18日に掲載された研究では、イギリスの公務員の健康状態と睡眠を追跡調査した。
約8000人の参加者全員に、「平均的な平日の夜の睡眠時間は何時間か」と聞き取りを行った。
一部の参加者は腕時計型の睡眠記録計を装着した。
そして、糖尿病やがん、心臓病などの慢性疾患について20年にわたり追跡調査を行った。
すると、以下の結果が得られた。
- 50歳前後で睡眠時間が5時間以下の人は、7時間の人に比べて、複数の病気にかかるリスクが30%高かった
- 50歳の時点で睡眠時間が短い人は、調査期間中に死亡するリスクが高かった。主に慢性疾患のリスク上昇が関係していた
英ユニバーシティ・コレッジ・ロンドンと仏パリ・シテ大学の研究者たちによると、専門家は7~8時間程度の睡眠をとることを一般的に推奨しているとしている。
私たちはなぜ眠るのか
私たちはなぜ眠るのか。その答えは科学者たちもはっきりとはわかっていない。ただ、睡眠が脳の記憶処理を助けたり、気分を良くしたり、集中力や代謝に良いことは明らかになっている。
また、睡眠が脳内の老廃物の除去を助けることもわかっている。
英サリー大学睡眠研究センターのディレクター、デルク=ヤン・ダイク教授はBBCニュースに対し、「この研究は、短い睡眠は私たちにとって良いことではないという考えを補強するものです。一般的に(短時間しか眠らないのは)健康的なことではありません。ただ、一部の人は大丈夫かもしれません」と話した。
「大きな疑問は、なぜ睡眠時間が短い人が存在するのかということです。何が原因なのか、そのことについて私たちにできることはあるのか、という疑問があります。睡眠は生活習慣においてある程度、修正可能な要素なので」
質の悪い睡眠が長期にわたって続くと、健康に深刻な影響を及ぼすことになる。
睡眠薬には深刻な副作用があり依存症を引き起こす可能性があるため、現在では一般開業医(GP)が処方することはほとんどない。
それでも睡眠に関する問題は解決できる場合が多く、英国民保健サービス(NHS)はサポートを提供している。

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