ネットで募った数十人に妻をレイプさせてきたとして夫を起訴 フランス社会に衝撃

公判が行われる裁判所(2日、フランス南部アビニョン)

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画像説明, 夫が強力な鎮静剤で妻の意識を失わせ、インターネット上で募った数十人にレイプさせていたとされる事件は、フランスに衝撃を与えた。画像は公判が行われる裁判所(2日、フランス南部アビニョン)

※この記事には心痛を覚える恐れのある記述が出てきます。

フランスで、夫が強力な鎮静剤で妻の意識を失わせてレイプし、インターネット上で募った見知らぬ数十人にも妻をレイプさせていたとされる事件があった。起訴された夫の裁判が2日、南部アヴィニョンで始まった。

ドミニク・P被告(71)は10年以上にわたり、インターネット上で見知らぬ人々を募り、自宅に招き入れて妻に性的暴行を加えさせた罪に問われている。

妻は強力な鎮静剤を盛られていたため、こうした虐待行為を繰り返し受けていたことに気づいていなかったと、妻の弁護団は述べている。

この重大犯罪がこれほどの規模で行われていた事実に、フランス中が震撼(しんかん)している。

警察は少なくとも92回のレイプが行われ、72人が関与したとしている。このうち50人は身元が特定されて起訴され、被害女性の夫と共に裁判にかけられている。

現在72歳の被害者は、2020年に警察から知らされるまで、自分が虐待行為を受けていたことを知らなかった。

女性の弁護人アントワーヌ・カミュ氏は、この裁判は女性にとって「恐ろしい試練」となるだろうと述べた。

「彼女は初めて、10年以上にわたって耐えてきたレイプに直面しなければならない」と、AFP通信に語った。

盗撮きっかけに警察が捜査

ドミニク・P被告は2020年9月、ショッピングセンターで女性3人のスカートの中を盗撮しているところを警備員に見つかった。これをきっかけに、警察の捜査を受けることになった。

警察はその後、意識を失っているように見える被告の妻の画像と動画数百点が被告のパソコンに保存されているのを見つけた。

これらには、夫妻の自宅で行われた数十回もの暴行の様子が写っていたとされる。虐待は2011年に始まったとされる。

捜査官はまた、ドミニク・P被告が自宅で妻をレイプするよう見知らぬ人を勧誘していたとされるウェブサイト上のチャットも発見した。

被告は、妻に不安を軽減する薬など、強力な鎮静剤を与えたことを捜査当局に認めた。

検察によると、被告はレイプに関与し、犯行を撮影し、下劣な言葉を使って他の人々をけしかけていたとされる。

金銭の授受はなかったとされる。

被告と共にレイプ罪などで起訴された人々は26~74歳で、職業は多岐にわたっている。検察によると、ほとんどは一度だけ犯行に及んでいだが、最大6回関与した者もいたという。

これらの男性らは、夫妻が望む行為を実現するのを手助けしたと主張している。しかしドミニク・P被告は、妻が知らないうちに薬物を投与されていたことは全員認識していたと、捜査当局に語った。

ある専門家は、妻の状態は「眠っているというより昏睡状態に近かった」と指摘した。

ドミニク・P被告の弁護人ベアトリス・ザヴァロ氏はAFP通信に対し、被告は「家族と妻」と向き合う準備ができていると語った。被告は9歳の時にレイプされたと話しているとされる。

被告は1991年の事件で殺人とレイプの罪でも起訴されているが、起訴内容を否定している。1999年のレイプ未遂事件でも訴追され、DNA鑑定の結果を受けて罪を認めた。

今回の裁判は12月20日まで続く見通し。

初公判の2日、被害女性は3人の子供のサポートを受けながら出廷したと、AFP通信は報じた。

弁護人のカミュ氏は、女性は非公開審理を選ぶこともできたが、「彼女を襲った加害者たちがそれを望むであろう」として、そうしなかったのだと説明した。

(英語記事 Man accused of recruiting dozens of strangers to rape his wife)