フランス教師殺害事件、事件前にうそをついた女子生徒などに有罪判決

勤務していた学校には殺されたサミュエル・パティ氏の肖像画が飾られている

画像提供, Reuters

画像説明, 勤務していた学校には、殺されたサミュエル・パティ氏の肖像画が飾られている

フランス・パリ近郊で2020年10月に起きた男性教師の殺害事件に関与したとして、同国の裁判所は8日、10代の6人に有罪判決を言い渡した。いずれも執行猶予や減刑の対象になっている。

被害者のサミュエル・パティ氏(47)は、表現の自由に関する授業で、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を生徒に見せ、後日に首を切断されて殺害された。

パティ氏をめぐっては、当時13歳だった女子生徒の苦情をきっかけに、同氏を批判するキャンペーンがオンラインで起きていた。

しかしこの女子生徒は2021年3月、事件前にうそをつき、同教師に関して誤った情報を広めていたことを認めた。裁判所は、虚偽の告発と誹謗中傷の罪で、この女子生徒を有罪とした。

また、当時14~15歳だった被告人5人が、パティ氏の身元を殺害犯に教えたとして、加重暴力を準備するグループに関与した罪で有罪となった。

刑期は14カ月~2年で、全員が執行猶予あるいは減刑となっている。

パティ氏は授業で、風刺週刊紙「シャルリ・エブド」に掲載されていた絵を生徒に見せた。その後、パティ氏の名前がソーシャルメディア上で公開された。

女子生徒は当初、パティ氏について、言論の自由と不敬行為に関する授業で風刺画を見せる間、イスラム教徒の生徒に教室を出るよう求めたと、両親に話した。

だが後に、実際にはこの授業の時に教室にいなかったことを認めた。

殺害犯とされるアブドゥラフ・アンゾラフ容疑者(18)は、事件発生からまもなく警官に射殺された。

預言者ムハンマドを絵などで描くことは、イスラム教の世界で広くタブーとされる。イスラム教徒からは、きわめて侮辱的な行為だとみなされる。

イスラム教と表現の自由をめぐる問題は、フランスでは極めて繊細な事柄となっている。

2015年には、「シャルリ・エブド」の編集部がイスラム教過激派に襲撃され、12人が殺害された。

(英語記事 Teenagers convicted for roles in teacher's beheading in 2020)