シリア士官学校にドローン攻撃、死者100人以上 卒業式を狙ったか

Screengrab of video showing aftermath of drone attack on Syrian military academy graduation ceremony in Homs, Syria (5 October 2023)

画像提供, Reuters

画像説明, インターネット上には攻撃を受けた士官学校の生々しい様子の動画が投稿された。画像は動画のスクリーンショット

シリア中部ホムスにある士官学校で5日、ドローン(無人機)攻撃があり、少なくとも100人が死亡、数十人が負傷した。

爆発物を搭載したドローンは、士官候補生とその家族が集まる卒業式を狙ったとみられる。死者には女性や子どもも含まれる。

シリア軍は「既知の国際勢力から支援を受けるテロリストグループ」によるものだと非難した。

攻撃について、シリア内戦で政府との戦闘を続ける反体制派やジハーディスト(イスラム聖戦主義者)は即座には反応しなかった。

ドローン攻撃は、ホムス北西の反体制派支配地域から行われたとみられる。

その後、シリアで活動する民間救助団体「ホワイト・ヘルメッツ」の救助隊員たちは、反体制派の拠点であるイドリブ県のいくつかの市町村に対する、政府軍の激しい砲撃とミサイル攻撃で民間人5人が死亡したと報告した。

シリア国営通信(SANA)は軍総司令部の声明を引用し、爆発物を搭載した複数のドローンがホムス陸軍士官学校を標的にしたと伝えた。午後の卒業式が終わった直後だったとしている。

同声明は、軍は「この行為を前例のない犯罪行為とみなしており、テロリスト集団がどこにいようとも、すべての力と決意で対応すると断言する」としている。

SANAは後に、ハッサン・アル・ガバシュ保健相の話として、ドローン攻撃で200人以上が負傷し、死者には女性6人と子ども6人が含まれると報じた。

国防相も卒業式に出席

卒業式の飾りつけを手伝ったという男性は、「式の後にみんなが中庭に降りたところ、爆発物が着弾した。どこから飛んできたのか私たちにはわからない。地面には遺体が散乱していた」と話した。

攻撃を受けた後の生々しい映像には、巨大な壁に囲まれた練兵場で何十人もが死傷し、その親族らが助けを求めて叫ぶ様子が映っている。銃声も聞こえる。

イギリスに拠点を置くシリア人権監視団(SOHR)は、シリアの国防相も卒業式に出席していたが、攻撃の数分前に会場を離れていたと伝えた。

シリアの内戦は、2011年にバシャール・アル・アサド大統領が平和的な民主派デモを武力で鎮圧したことで始まった。以来、50万人以上が殺害された。

約680万人が国内避難民となり、さらに600万人が国外で難民や亡命希望者になっている。

国連のガイル・ペデルセン・シリア担当特使は、士官学校に対する攻撃は「恐ろしい」ものだとし、すべての紛争当事者に「最大限の自制」を求めた。

「すべての当事者は国際法上の義務を尊重し、民間人と民間インフラの保護を保証しなければならない」

「今日の進展は、シリアの現状が持続不可能であり、意味のある政治的道筋がないことをさらに浮き彫りにしている。(中略)治安情勢を含め、状況がさらに悪化する一方ではないかと、私は恐れている」

北東部ではトルコのドローン攻撃

こうした中、シリア北東部のクルド人勢力の支配地域で5日、トルコのドローン攻撃があり、少なくとも10人が死亡したと報じられた。トルコの首都アンカラでは1日に自爆攻撃があり、過激派民族主義組織「クルド労働者党」(PKK)が同組織とつながりのあるグループの犯行だと主張。トルコはPKKの拠点を空爆するなどしている。

SOHRによると、アメリカの支援を受けるシリア民主軍(SDF)の関連施設やカミシュリの発電所、ハサカ近郊の給水所、油田など17カ所が標的になった。SDFの大部分は、クルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」が占めている。

米軍はシリア駐留部隊の近くで活動していたトルコの武装ドローンを撃墜したと、米政府関係者はロイター通信に語った。