ロシアの予備役は「シャベル」で戦闘、弾薬不足で「接近戦」か=英国防省報告

MPL-50

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画像説明, ロシア製の小型歩兵シャベルMPL-50。英国防省はその殺傷能力について、ロシアで特にあがめられているとしている

イギリス国防省は5日、ウクライナ侵攻を続けるロシアの予備役が、弾薬不足のために「シャベル」を使って「接近戦」を行っている可能性が高いとの見方を示した。

英国防省の最新のアップデートによると、ロシアの予備役が2月下旬、「『銃器とシャベル』のみで武装して」ウクライナの陣地を攻撃するよう命じられたと述べたという。

このシャベルは、ロシア製の小型歩兵シャベルMPL-50。同省によると、1869年に設計されたMPL-50は、その後ほとんど変更は加えられていないという。

「標準装備である、塹壕(ざんごう)を掘る道具のMPL-50の殺傷力は、ロシアで特にあがめられている」と、同省は指摘している。

また、同シャベルを「武器として」使い続けていることは、「戦争の大半を特徴づけることになった、残忍かつローテクな戦闘を浮き彫りにしている」とした。

予備役の1人は、「肉体的にも精神的にも」戦闘への準備ができていなかったと語ったという。

英国防省は、「最新の証拠は、ウクライナで接近戦が増加していることを示唆している」とし、こう分析している。

「これはおそらく、ロシアが弾薬不足に陥っていることから、同国の司令部が、砲撃による援護を減らし、主に下車歩兵からなる攻勢を強く要求し続けた結果だろう」

BBCはこれらの報告を独自に検証できていない。

英国防省は、こうした戦闘がどこで行われているのかについて、情報を公開していない。

東部前線の状況

こうした中、ロシア軍に包囲されたとみられるウクライナ東部バフムートで、同軍が十分な位置的優位性を確保したようだと、米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は指摘した。

ロシアは約4000人の市民が残るバフムートを支配下に置こうとしており、数カ月にわたり戦闘が続いている。

バフムートを占領すれば、ロシアにとってはここ数カ月で数少ない、戦場での成功となる。しかし、この街の戦略的価値は疑問視されている。

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ISWは、ロシアの位置的優位性から、バフムートでの「転換行動」が可能になるかもしれないと指摘する。これは、準備が整った防御陣地を敵に放棄させることが目的で、敵軍を閉じ込めて破壊する包囲作戦とは異なるものだという。

「ロシア軍はバフムートでウクライナ軍を包囲するつもりだったかもしれないが、ウクライナ司令部は包囲されるリスクを冒すよりも撤退を選ぶ可能性が高いことを示唆している」

ただ、ウクライナ軍は5日、バフムートから撤退するつもりはないと述べた。

ウクライナ軍の陸軍参謀本部は声明で、ロシア軍が依然としてバフムートを包囲しようとしていることを認めつつ、過去24時間に東部ドンバス地方で100以上のロシア軍の攻撃を撃退したとした。

開戦前は人口約7万5000人だったバフムートをめぐる戦闘では、これまでに数千人のロシア兵が死亡している。

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(英語記事 Russian reservists fighting with shovels - UK)